投稿日: Dec 8, 2022

インド、英国、米国における新たな淡水資源還元プロジェクトを発表し、世界各地の地域社会に不可欠な水の供給に貢献

※本プレスリリースは、現地時間 2022 年 11 月 28 日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳版です。

(ラスベガス – 2022 年 11 月 28 日発表)Amazon.com, Inc. の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(以下、AWS)は 11 月 28 日、AWS re:Invent において、2030 年までにウォーターポジティブ(Water+)を達成し、AWS の事業で使用した量以上の水を地域社会に還元することを発表しました。また、2021 年の同社の世界全体の WUE(水利用効率性)指標が 1kWh(キロワットアワー)あたり 0.25 リットルであったことを発表し、クラウドプロバイダーの中で水利用効率におけるリーダーシップを発揮していることを示しました。AWS はすでにウォーターポジティブの達成に向けて着実に歩を進めており、この新しい取り組みの一環として、最新の WUE 指標、水の再利用・リサイクルのための新たな取り組み、施設での水利用削減に向けた新たな活動、そして、新規および既存の淡水資源還元プロジェクトなどに関する年次レポートを公開していきます。AWS のウォーターポジティブに向けた取り組みの詳細についてはこちら(英語)をご覧ください。

AWS の CEO であるアダム・セリプスキー(Adam Selipsky)は、次のように述べています。「水不足は世界共通の重要な課題の一つです。今回発表したウォーターポジティブに向けた取り組みにより、私たちはこの課題解決に貢献していきます。数年後には世界人口の半分が水需給のひっ迫度(水ストレス)の高い地域で生活することになると予測されており、誰もが水を利用できる環境を維持するためには、貴重な水資源を保全し、再利用するための新たなアプローチを開発する必要があります。当社はこれまでの歩みを誇りに思う一方、さらに多くの点で貢献できると考えています。クラウド事業においてウォータースチュワードシップ(水資源管理責任)を推進し、当社が事業を行う地域社会で使用量以上の水を還元することが、環境とお客様にも正しい行動であると確信しています」

AWS は、2030 年までにウォーターポジティブを達成するために、水利用効率の改善、持続可能な水資源の利用、地域社会での再利用に向けた水の還元、そして淡水資源の還元プロジェクトの支援という、4 つの戦略を推進していきます。

水利用の効率化:AWS は、水利用削減のためにインフラストラクチャ全体で常に革新的な取り組みを行っています。IoT(モノのインターネット)技術などの高度なクラウドサービスを利用して、水使用量をリアルタイムで分析し、水漏れを特定して修復するなど、業界トップクラスの水利用の効率化を実現しています。AWS はさらに、多くの施設において、1 年の大半で冷却水を使用しない代わりに外気を活用することで運用効率を高めています。たとえば、アイルランドとスウェーデンでは、1 年のうち 95% の期間、データセンターの冷却に水を使用していません。また、AWS は水を何度も再利用できるオンサイトの水処理システムに投資し、冷却に使用する水量を最小限に抑えています。

持続可能な水資源:AWS は、再生水や雨水利用など、持続可能な水資源を可能な限り使用しています。灌漑や工業用など限られた用途にしか適さない再生水を利用することで、地域社会の貴重な飲料水を守ることができます。米国バージニア州北部では、AWS は Loudoun Water 社と協力することで、直接蒸発式冷却システムにおける再生水の使用が認められた州内初のデータセンター事業者になりました。AWS はすでに世界各地の 20 のデータセンターで冷却に再生水を使用しており、より多くの施設に再生水利用を拡大し、ウォーターポジティブの達成に向けて取り組む計画です。

地域社会での水の再利用:データセンターで水を最大限に利用した後も、使用済みの液体は他の多くの用途に安全に利用できるため、AWS は使用済みの水を地域社会に還元する方法を模索しています。オレゴン州では、データセンターの冷却水の最大 96% を地元の農家に無償で提供し、トウモロコシ、大豆、小麦などの農作物の灌漑に利用しています。

淡水資源の還元:AWS は、ウォーターポジティブを達成するために、事業を展開する地域社会での淡水資源の還元プロジェクトに投資しています。淡水資源の還元プロジェクトは、流域を回復し、水不足の地域社会に清潔な水、公衆衛生、衛生サービスを提供することで、水へのアクセスおよび利用可能性、品質を向上させるプロジェクトです。現在までに、AWS は、ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカで淡水資源還元プロジェクトを完了し、これらの地域社会の人々に毎年 16 億リットルの淡水を供給しています。たとえば、インドのマハーラーシュトラ州やハイデラバード、インドネシアの西ジャワ州といった地域では、AWS は世界的な浄水 NPO である Water.org と提携し、25 万人の人々に安全な水と公衆衛生へのアクセスを提供することに成功しています。AWS は、既存の淡水資源還元プログラムのポートフォリオに加え、今回以下の新しいプロジェクトを発表しました。これらのプロジェクトが完了すると、毎年 8 億 2,300 万リットル以上の水を地域社会に提供することができます。

  • インド:AWS は、2022 年 3 月に開始したハイデラバードとアーンドラ・プラデーシュ州でのプロジェクト完了に向けて、WaterAid に継続的な支援を行っています。WaterAid はすでに 5 つの配管式給水システムと新たな地下水涵養(かんよう)プロジェクトを完成させ、500 世帯(約 2,100 人)に年間推定 4,700 万リットルの水を供給する予定です。また、WaterAid はこれらの地域社会で節水に関する教育キャンペーンを実施し、住民に対し、きれいな水を保全するための実践的な方法、雨水利用、水質監査などを啓発しています。
  • 英国:AWS は、The Rivers Trust および Action for the River Kennet と協力して、英国で最も重要な集水域の一つであるテムズ川の支流に 2 つの湿地を造成しています。この湿地は、年間 5 億 8,700 万リットル以上の地下水を涵養し、農場や道路からの汚染された流出水を受け入れて処理することで水質を改善し、増大する水不足に対処してテムズ川流域の水質を向上させることが期待されています。
  • 米国(カリフォルニア州):AWS、自然保護非営利団体 Freshwater Trust と Omochumne-Hartnell Water District は、今年の冬からコズミネス川の冬季の水を利用して、年間 1 億 8,900 万リットルの地下水を涵養する予定です。これにより、水は地下水面を通って徐々に流れてサクラメントとサンホアキン流域に戻り、乾燥した夏の間の流量を増加させます。また、このようにして川の水温を下げることで、サケの生息環境を改善し、同地域社会にとって重要な水源であるサンフランシスコ湾デルタへの夏の流量の増加に貢献します。

今回の発表に加え、Amazon は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの 1 億人に、気候変動に左右されない水と衛生のソリューションを提供する「水と気候基金(Water & Climate Fund)」の立ち上げを支援するため、Water.org に 1 千万ドルの寄付を行うことを発表しました。この寄付により、2025 年までに 100 万人が水にアクセスできるようになる見込みで、水不足が進む地域の人々に毎年30億リットルの水を提供できるようになります。

Water.org の共同創設者であるマット・デイモン(Matt Damon)氏は、次のように述べています。「Amazon との協力は、世界が直面する水危機を解決することは可能であるという共通の信念に支えられています。AWS が 2030 年までにウォーターポジティブを達成することを発表し、使用した量以上の水を還元していくとコミットしたことを賞賛します」。また、Water.org の CEO 兼共同創設者であるゲイリー・ホワイト(Gary White)氏は、次のように述べています。「Amazon および AWS との協力により、すでに毎年 8 億 500 万リットル以上の安全な水を世界中の地域社会に届けています。今後も Amazon との協力関係を継続し、より多くの安全な水を必要としている家族に届けられることを楽しみにしています」

WateReuse Association のエグゼクティブディレクターであるパトリシア・シニクロピ(Patricia Sinicropi)氏は、次のように述べています。「AWS が 2030 年までにウォーターポジティブを達成することにコミットし、水資源と地域の生態系を保護し、経済発展を促すという目標の重要な要素として、水の再利用を組み込んでいることを称賛します。AWS が 20 のデータセンターにおいて冷却に再生水を使用していることは、業界にとって大きなリーダーシップを発揮していることをすでに示しています。私たちは Amazon と協力し、AWS の事業と地域社会のために水の再利用を促進していくことを楽しみにしています」

The Nature Conservancy のコーポレートエンゲージメント担当マネージングディレクターであるメアリー・ウェンゼル(Mary Wenzel)氏は、次のように述べています。「AWS が 2030 年までにウォーターポジティブを達成すると発表したことは、ウォータースチュワードシップと持続可能性に対する明確なコミットメントを示すものです。AWS の支援により、南アフリカやブラジルといった水不足の地域において、人々と自然のための水の安全保障が向上しました。今後も AWS との関係を継続し、世界中の流域を保護・回復することで水の質と量を改善していきたいと考えています」

AWS は、水利用の効率化、地域社会での水の再利用、淡水資源の還元プロジェクトなど、ウォーターポジティブの達成に向けた新たなイノベーションなどに関する年次レポートを公開する予定です。2030 年までに AWS がどのようにウォーターポジティブを達成するのかに関する概要はこちらをご覧ください。

AWS のウォーターポジティブに向けた取り組みに関する詳細は、Amazon's Water Stewardship in Data Centers をご覧ください。