投稿日: Dec 12, 2022

  • データを活用する日本の組織には 3 億 8,300 万円のビジネスチャンスがあることが明らかに
  • 日本の組織のデータ成熟度のさらなる向上と、分析、人工知能、機械学習の活用には、予算・データ品質・デジタルスキルの 3 つの向上がカギに

Amazon.com, Inc. の関連会社であるアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS ジャパン)は本日、データを活用する日本の組織は平均 8.5%の年間収益増を見込める可能性を示す、新しい調査レポート「Demystifying Data 2022 - データ活用の最新動向」を公開しました。大規模な組織※に当てはめた場合、これは 3 億 8,300 万円の年間収益増に相当します。

AWS が Deloitte Access Economics に作成を委託した本レポートは、日本の組織の管理職 511 人を対象に調査を行いました。本レポートでは、データ成熟度(組織が生成したデータをどの程度、利活用しているか)を、「ベーシック(基礎)」、「初級」(データ戦略が不在または限定的で、データを効果的に取得または分析していない)、「中級」(データ戦略を持ちつつあり、データをその都度の目的のために分析している)、「上級」、「マスター(熟練)」(組織全体にわたるデータ戦略を掲げ、意思決定にデータ分析を頻繁に組み入れている)の 5 段階評価で評価しています。

日本の調査対象企業の半数近く(46%)が、効果的にデータを取得し、分析することで得られるメリットとして、「生産性の向上」を挙げており、次いで「リスク軽減(39%)」、「営業費用の削減(35%)」となりました。しかし、デジタル変革が進む中でデータ活用の重要性が高まっているにもかかわらず、日本の組織の 77%がデータ活用の成熟度において「ベーシック」または「初級」の段階にとどまっていることも明らかになりました。

データ成熟度が「上級」または「熟練」に達している企業の割合が最も高い業種は、「情報・メディア・通信業(27%)」で、次いで「ヘルスケア・社会福祉(20%)」、「金融・保険(19%)」となりました。逆に、データ成熟度が「上級」または「熟練」に達している企業の割合が最も低い業種は「卸売業・製造業(10%未満)」でした。

データ成熟度を高めることで企業は多様なメリットを得ることができますが、日本の組織の場合、データ成熟度を高めていく上でいまだ多くの課題に直面しています。日本の組織がデータとその分析を利用する際の課題として最も多く挙げたのは「予算不足(41%)」で、回答者のほぼ 4 分の 1(24%)が「データ収集やアナリティクスツール、ソフトウェアへの投資に決まった予算を持っていない」と回答しました。その他の課題としては、「データ品質の低さ(37%)」、「人材不足(37%)」などが挙げられました。

デロイト トーマツ コンサルティング パートナー 藤 顕信氏は、次のように述べています。「組織がデジタルトランスフォーメーションへの投資を拡大するにつれ、データをより効果的に活用することで生産性を向上し、ビジネスに財務的リターンを生み、経済にプラスの影響を与える機会が生まれました。しかし、当社の調査から、データの潜在能力を最大限に引き出すのに必要なテクノロジー、人材、プロセスに投資している日本の組織の割合はわずか 11%にとどまることがわかりました。クラウドソリューションに投資することで、企業はデータ成熟度を向上し、データ駆動型インサイトを得られるようになります。実際、すでにクラウドを利用している企業は、クラウドを導入していない企業と比較して、データとアナリティクスの効果として『生産性の向上』を挙げた割合が 38%高い結果となっています。データを効果的に活用し、ビジネスのアドバンテージにつなげるには、企業はデータ成熟度を高める明確かつ現実的なロードマップを描き、人材を引きつけ、維持するための投資を行い、適切なテクノロジーを活用してその恩恵を最大限に引き出す必要があります」

企業のデータ成熟度を加速させるAWSの取り組み
本レポートによると、日本では 3 分の 1 以上の組織(37%)が、データとその分析能力を高める際の課題として、「スキルを有する人材不足」を挙げています。調査対象企業がデータ成熟度を高める方法として最も挙げたのは、「既存の従業員のスキルアップを通じてデータとその分析能力を高めたい(35%)」で、次いで「人材を雇用することで、スキルを獲得したい(30%)」となりました。

AWS はこれまで、教育を通じて、各国の企業がデジタルおよびクラウドのスキル不足に対処し、データ成熟度のギャップを埋められるように支援してきました。AWS は 2017 年以降、日本で 40 万人以上を対象にクラウドスキルのトレーニングを実施しています。また、「Data Analytics Fundamentals」などの自習型デジタルコースや、AWS のサービスを利用して分析ソリューションを設計、構築、セキュリティ保護、保守した経験や専門知識を有する個人を対象とした「AWS Certified Data Analytics – Specialty認定」などの資格認定を提供しています。

アマゾン ウェブ サービス アジア太平洋地域・日本担当 AI および機械学習部門マネージングディレクタであるルーク・アンダーソン(Luke Anderson)は、次のように述べています。「データは、日本の組織にとってかけがえのない成長の源泉となり得ます。重要なのは、データ本来の価値を認識し、効果的に分析し、データ駆動型のカルチャーを創造することです。AWS は、日本のお客様がクラウドの拡張性、コスト効率、セキュリティを活用することで、データプロジェクトを拡張し、データを統合しながら、生産性を高め、最終顧客のためにイノベーションを起こせるように支援しています。また、OJT やトレーニングコースを通じて既存の従業員のスキルアップを図ったり、AWS パートナーネットワークの広範な企業と連携することで、チーム内にデータスキルを構築することも有益です。データの成熟度が高まることで、日本の組織の課題解決や顧客体験の構築に向けた取り組みが変化し、医療、電子商取引、製造業などあらゆる分野でブレークスルーがもたらされることが期待されます」

IoP プロジェクト(Internet of Plants、植物のインターネット)は、2018 年に内閣府の助成を受けて実施された、産学官連携による高知県のスマート農業プロジェクトです。高知県 農業振興部 農業イノベーション推進課 IoP 推進室 主幹の松木 尚志氏は、次のように述べています。「データの活用は農業において極めて重要です。収穫量の向上、異常気象に対する改善計画、手作業の軽減など、生産者の戦略・経営に関する意思決定に欠かせません。生産者が植物の成長、収穫量、収穫時期を予測できるように、高知県ではハウス内に設置された環境測定装置から得られる環境データと、気象庁が提供する気象データと卸売市場の市況データを取得し、活用する IoP プラットフォームを AWS 上に開発しました。この一元管理されたデータに分析を適用することで、植物に関するインサイトを得ながら、情報を可視化し、地域内の生産者と安全にデータを共有できるようになりました。将来的には人工知能を活用し、これまで手作業で行なっていた、温室内の作物の花や実を数える作業を自動化することも目指します。これにより、収量予測のさらなる向上と、生産者の効率化が期待されます」

調査レポート「Demystifying Data 2022 - データ活用の最新動向」は、 こちらよりダウンロード可能です。

※日本国外に複数の事業所を保有する、日本国内に本社を置く企業を指します。