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新規開設 – オーストラリアの AWS アジアパシフィック (メルボルン) リージョン

メルボルンリージョンの発表に関する Jeff の投稿に続いて、1月23日、3 つのアベイラビリティーゾーンを備え、API 名が ap-southeast-4 である AWS アジアパシフィック (メルボルン) リージョンが一般的にご利用いただけるようになったことをお知らせします。

AWS アジアパシフィック (メルボルン) リージョンは、アジアパシフィック (シドニー) リージョンに次ぐオーストラリアの 2 番目のインフラストラクチャリージョンであるとともに、アジアパシフィックリージョンでは 12 番目のリージョンであり、シンガポール、東京、ソウル、ムンバイ、香港、大阪、ジャカルタ、ハイデラバード、シドニー、中国本土の北京および寧夏リージョンの既存のリージョンに加わることになります。

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オーストラリアにおける AWS: 長年の歴史
2012 年 11 月、AWS はオーストラリアに AWS アジアパシフィック (シドニー) リージョンを開設しました。それ以降、AWS はオーストラリアのデジタルトランスフォーメーションを促進するために、インフラストラクチャとテクノロジーに継続的に投資し、毎月何十万ものアクティブなお客様をサポートしてきました。

Amazon CloudFront – Amazon CloudFront は、高いパフォーマンス、セキュリティ、デベロッパーの利便性を実現するために構築されたコンテンツ配信ネットワーク (CDN) サービスで、アジアパシフィック (シドニー) リージョンとともに、2012 年にオーストラリアで最初にリリースされました。オーストラリアに所在するエンドユーザーへの静的および動的なウェブコンテンツの配信をさらに加速するために、AWS は 2014 年、シドニーとメルボルン向けに CloudFront ロケーションを追加することを発表しました。さらに、AWS は 2016 年にリージョナルエッジキャッシュを、2018 年にはパースに CloudFront の Point of Presence (POP) を追加することを発表しました。CloudFront の Point of Presence により、人気のコンテンツを視聴者に迅速に配信できます。リージョナルエッジキャッシュは CloudFront ロケーションとオリジンの間に (ネットワーク的に) 配置され、コンテンツのパフォーマンスをさらに改善するのに役立ちます。AWS は現在、オーストラリアに 7 つのエッジロケーションと 1 つのリージョナルエッジキャッシュロケーションを設けています。

AWS Direct Connect – CloudFront と同様に、2012 年にアジアパシフィック (シドニー) リージョンが開設されたときに、最初の AWS Direct Connect ロケーションが利用可能になりました。オーストラリアに所在するお客様がアプリケーションのパフォーマンスを改善し、データを保護し、ネットワーキングコストを削減するのを引き続きサポートするため、AWS は、シドニー (2014 年)、メルボルン (2016 年)、キャンベラ (2017 年)、パース (2017 年) における追加の Direct Connect ロケーションの開設を発表し、さらにシドニー (2022 年) にも追加のロケーションを設けました。これにより、合計ロケーション数は 6 か所となりました。

AWS Local Zones – 1 桁ミリ秒のレイテンシーやローカルデータ処理を必要とするアプリケーションを実行しやすくするために、お客様は AWS Local Zones を使用できます。これにより、AWS インフラストラクチャ (コンピューティング、ストレージ、データベース、その他の特定の AWS のサービス) をエンドユーザーやビジネスセンターに近付けることができます。AWS のお客様は、パースの AWS Local Zones ロケーションで低レイテンシーが求められるワークロードを実行しながら、AWS リージョンで実行されている他のワークロードにシームレスに接続できます。

現地のデベロッパー、学生、将来の IT リーダーのスキルアップ
デジタルトランスフォーメーションは、単独で起こるものではありません。AWS はさまざまなプログラムを実施し、2017 年以降、オーストラリア全土で 20 万名を超える人々にクラウドスキルに関するトレーニングを提供してきました。さらに、2025 年までに、世界中で 2,900 万名を超える人々に無料トレーニングを提供して、クラウドスキルを身に付けてもらうという目標もあります。AWS の関連プログラムの簡単な説明を次に示します。

  • AWS re/Start は、失業者、能力を十分に発揮できていない被雇用者、次のステージに移行しようとしている個人に、クラウドコンピューティングの領域におけるキャリアに向けて準備してもらい、学生を潜在的な雇用主に結び付けるデジタルスキルトレーニングプログラムです。
  • AWS Academy では、すぐに学習できるようになっている、クラウドコンピューティングの無料カリキュラムを高等教育機関に提供しています。これは、業界で認められた認定や需要の高いクラウド関連の仕事に就けるよう学生が準備するのに役立ちます。
  • AWS Educate は、学生に AWS のサービスへのアクセスを提供します。また、AWS は、クラウドコンピューティングと高度なテクノロジーの力を活用できるワークフォースを育成すべく、政府、教育者、業界と協力して、技術者と技術者以外の両方の個人がデジタルスキルを身に付け、それを磨くのをサポートしています。
  • AWS Industry Quest は、専門家やチームがクラウドに関する重要なスキルやソリューションを学び、構築できるようにすることを目的して設計された、ゲームベースのトレーニングイニシアティブです。re:Invent 2022 で、AWS は、金融サービス部門向けのプログラムの最初のイテレーションを発表しました。National Australia Bank (NAB) は、AWS Industry Quest: Financial Services のベータ版の世界初のお客様です。NAB は 2018 年以降、AWS Industry Quest を通じて何千名もの従業員にクラウドスキルのトレーニングを行ってきました。その結果、業界で認められた 4,500 を超える認定を取得するに至りました。

上記のプログラムに加えて、AWS はデジタルスキルアップ、コミュニティイニシアティブ、およびパートナーシップを通じて、ビクトリア州における現地の技術コミュニティのサポートにも取り組んでいます。Victorian Digital Skills は、ビクトリア州政府の新しいプログラムであり、ビクトリア州の雇用主のデジタルスキルニーズを満たすために、人材の新たなパイプラインを構築するのに役立ちます。AWS は、Victorian Digital Skills Program をサポートすることで、再トレーニングの課題を解決するのに役立つ措置を講じています。このプログラムを完了することで、ある程度の経験のあるビクトリア州の人々がテクノロジーのスキルを再習得し、より高給の仕事に就けるようになります。

気候変動対策に関する誓約 (The Climate Pledge)
Amazon は、より持続可能な未来を創造するために、事業全体にわたって投資およびイノベーションに取り組んでいます。Amazon は「気候変動対策に関する誓約」(The Climate Pledge) により、2040 年までに事業全体で二酸化炭素排出量をネットゼロにすることにコミットしており、2025 年までに事業運営に必要な電力を 100% 再生可能エネルギーで賄えるように取り組みを進めています。

2022 年 5 月現在、オーストラリアでは 2 つのプロジェクトが進行中です。Amazon Solar Farm Australia – Gunnedah and Amazon Solar Farm Australia – Suntop は、毎年 392,000 MWh の再生可能エネルギーを生成することを目指しています。これは、オーストラリアの 63,000 世帯の年間電力消費量に相当します。Once Amazon Wind Farm Australia – Hawkesdale も稼働を開始し、プロジェクトの年間合計再生可能エネルギー発電量は 717,000 MWh に増加する予定です。これは、オーストラリアの約 115,000 世帯分に相当します。

オーストラリアの AWS のお客様
オーストラリアには、AWS ですばらしいことを行っている次のようなお客様がいらっしゃいます。

National Australia Bank Limited (NAB)
NAB はオーストラリア最大の銀行の 1 つであり、オーストラリア最大のビジネスバンクでもあります。「AWS アジアパシフィック (メルボルン) リージョンの発表以来、AWS を利用できる可能性のあるユースケースを模索してきました」と NAB の最高技術責任者である Steve Day 氏は述べています。

主要な銀行アプリケーションや重要なワークロードを、コンピューティングプラットフォームや企業の多数のワークフォースに地理的に近い場所に配置することで、レイテンシーを低減できるというメリットが得られます。さらに、ディザスタリカバリプランを簡素化します。また、AWS アジアパシフィック (メルボルン) リージョンを利用することで、2025 年までにアプリケーションの 80% をクラウドに移行するという同行の戦略も加速します。

Littlepay
メルボルンを拠点とするこの金融テクノロジー企業は、250 を超える交通機関やモビリティプロバイダーと協力して、現地のバス、都市ネットワーク、全国の公共交通システムでの非接触型決済を実現しています。

「当社のミッションは、世界中でユニバーサルな決済エクスペリエンスを創出することです。そのためには、当社とともに成長できる世界クラスのグローバルインフラストラクチャが必要です」と Littlepay の CEO である Amin Shayan 氏は述べています。「お客様にシームレスなエクスペリエンスを提供するために、当社は AWS を利用して毎月 100 万件を超える取引をリアルタイムで取り込んで処理しています。これにより、当社のサービスの改善に役立つインサイトを生成できます。当社は、オーストラリアで 2 番目の AWS リージョンが開設されたことに高揚感を覚えています。機械学習や人工知能などの高度なテクノロジーに低レイテンシーでアクセスでき、通勤がよりシンプルで楽になるからです」。

ロイヤルメルボルン工科大学 (RMIT)
RMIT は、世界中に 91,000 名を超える学生と 11,000 名の職員を擁するテクノロジー、デザイン、エンタープライズを融合させた世界的な大学です。

「メルボルンにおける本日の AWS リージョンの立ち上げは、本学の研究者が計算エンジニアリングを推進し、科学的な成果を最大化するための新しい道を開くものとなることでしょう」と RMIT の STEM College の Research and Innovation の Deputy Vice-Chancellor であり、Vice-President 兼 Interim DVC でもある Calum Drummond 教授は述べています。

「最近、RMIT の研究者向けに、RMIT University’s AWS Cloud Supercomputing 施設 (RACE) を立ち上げました。これらの研究者は現在、バッテリーテクノロジー、フォトニクス、地理空間科学の進歩を促進するためにこの施設を利用しています。メルボルンの新しい AWS リージョンによって実現される低レイテンシーと高スループットは、400 GBps 対応のプライベートファイバーネットワークと相まって、イノベーションとコラボレーションの新しい方法の発見を推し進めるものとなるでしょう。本学では、研究者がデータセットを運用してより迅速に発見できるように、高性能コンピューティング機能を真に民主化するのに RACE が役立つと心から信じています」。

オーストラリア統計局 (ABS)
ABS は 5 年ごとに人口と世帯の国勢調査を実施しています。これにより、オーストラリアを極めて包括的にとらえることができます。この国勢調査では、約 1,000 万世帯、2,500 万人を超える人々からデータを収集します。

「今の時代、人々は政府サービスを利用する際に、高速でシンプルなオンラインエクスペリエンスを期待しています」と ABS の 2021 年国勢調査フィールドオペレーションのプログラムマネージャーである Bindi Kindermann 氏は述べています。「AWS を利用することによって、ABS はサービスをスケールし、全国の人々にサービスを安全に提供することができたため、人々がこの全国規模のイベントに迅速かつ簡単に参加することが可能になりました」。

2021 年国勢調査での成功により、ABS はそのビジネスのより広範な分野に AWS の使用を拡大し続けており、クラウドのセキュリティ、信頼性、およびスケーラビリティを活かしています。

「Customer Success Stories」(お客様の導入事例) のページでは、オーストラリアのお客様から寄せられた、インスピレーションが刺激される事例をさらにご覧いただけます。

その他の注目情報
オーストラリアの AWS ユーザーグループ – オーストラリアには、さまざまな都市に 9 名の AWS ヒーロー43 名の AWS コミュニティビルダーに加えて、17 の AWS ユーザーグループのコミュニティメンバーもいます。お近くで活動している AWS ユーザーグループを見つけて、他のデベロッパーと会ってコラボレーションしたり、コミュニティ活動に参加したり、AWS に関する知識を共有したりできます。

AWS のグローバルフットプリント – この立ち上げに伴って、AWS の事業活動の場は、世界各地の 31 の地理的リージョンにおける 99 のアベイラビリティーゾーンに広がりました。また、カナダイスラエルニュージーランドタイでさらに 12 のアベイラビリティーゾーンと 4 つの AWS リージョンの計画も発表しました。

今すぐ利用可能 – 新しいアジアパシフィック (メルボルン) リージョンでは、お客様のビジネスをサポートする準備が整いました。このリージョンで利用できるサービスの詳細なリストは、「AWS リージョン別のサービス表」に記載されています。

詳細については、「グローバルインフラストラクチャ」のページにアクセスしてください。そして、ap-southeast-4 で構築を開始しましょう。

構築がうまくいきますように。

– Donnie

原文はこちらです。