ラーニングパスを活用して効率的に学び始めよう !
Author : 吉田 慶章
新しい技術を学び始めるときに感じる悩み
新人エンジニアとして入社をしたり、部署異動や転職をしたり、新しい技術を学ぶ機会は誰しもあるのではないでしょうか ?
例えば「フロントエンド技術」や「インフラ技術」を新しく学び始めた人もいるでしょう。また AWS で言えば「サーバーレス技術」や「コンテナ技術」や「機械学習」を新しく学び始めた人もいるでしょう。
そのときに皆さんは「どのように」新しい技術を学びますか ? 以下に代表的なものを挙げてみました。
- 書籍を読む (体系的に学べて良いですよね !)
- チュートリアルを試す (手を動かして体験することは重要ですよね !)
- トレーニングを受講する (講師からわかりやすく学べますよね !)
- e-Learning や YouTube を観る (気軽に学べて便利ですよね !)
- 詳しい同僚に教えてもらう (何て贅沢なことでしょう !)
とは言え、本当に入門者として学び始める場合は「そもそも何から学べば良いのかわからない !」や「どれぐらい学ぶべき項目があるのかわからない !」など、右も左もわからず、目標設定すらできないこともあるでしょう。検索したいことがあっても検索キーワードすら思い付かないという話にも似ていますね !
ラーニングパスとは ?
そんなときに便利に使えるコンテンツとして「ラーニングパス」を紹介します。
本記事では、聞き馴染みがあるであろう言葉として「ラーニングパス」に統一して使いますが、関連する言葉として「ロードマップ」や「ランプアップガイド」と表現することもあります。簡単に言えば「A → B → C or D」のように「この順番で学ぶと良いよ!」というお墨付きの「学習プラン」でしょうか。多くある学習項目や学習コンテンツを順序立ててまとめた資料なので、一歩一歩進んでいくことで、効率的に学ぶことができます。
AWS Ramp-Up Guides とは ?
私は日々トレーニングを通して、お客様の人材育成を担当しているため「トレーニングの受講前に何を学んでおけば良いですか ?」や「トレーニングの受講後に何を学べば良いですか ?」という質問をいただくこともあります。そのときに「AWS Ramp-Up Guides」を紹介しています。
「AWS Ramp-Up Guides」は AWS Training & Certification から提供している AWS を学ぶための「ラーニングパス」で PDF が公開されています。大きく分類すると「Ramp-Up Guides by Role (ロール別)」と「Ramp-Up Guides by Solution (ソリューション別)」となり、具体的には以下のように「計 19 種類」あります。PDF の右上に最終更新日が載っていて、比較的頻繁に更新されていることがわかります。この「AWS Ramp-Up Guides」を活用すると、AWS を学び始めるときに効率的に学べて便利です !
補足 : 現在「AWS Ramp-Up Guides」の日本語版はありません。
- Ramp-Up Guides by Role (ロール別)
- Architect (アーキテクト)
- Business (ビジネス)
- Cloud Practitioner (クラウドプラクティショナー)
- Developer (開発者)
- DevOps (DevOps)
- Operations (運用)
- Ramp-Up Guides by Solution (ソリューション別)
- Containers (コンテナ)
- Cost Management (コスト管理)
- Data Analytics (データ分析)
- Databases (データベース)
- Game Tech (ゲームテック)
- Internet of Things (IoT)
- Machine Learning (機械学習)
- Media Services (メディアサービス)
- Migration (マイグレーション)
- Remote Work & Learning (リモートワーク & リモート学習)
- Security (セキュリティ)
- Serverless (サーバーレス)
- Storage (ストレージ)
AWS Ramp-Up Guides : 学習コンテンツ種類
「AWS Ramp-Up Guides」を紹介する前に、どんな種類の学習コンテンツが載っているかを洗い出してみました。PDF では「TYPE」と書かれている列です。本当にいろいろありますね !
- 「トレーニング」関連
- Classroom Training (クラスルームトレーニング)
- Digital Training (デジタルトレーニング)
- Coursera Digital Training (オンライン学習プラットフォーム)
- edX Digital Training (オンライン学習プラットフォーム)
- Video (YouTube など)
- 「ドキュメント」関連
- Webpage (ウェブページ)
- Documentation (ドキュメント)
- Blog Post (ブログ)
- Whitepaper (ホワイトペーパー)
- 「演習」関連
- Workshop (ワークショップ)
- Hands-On Lab (ハンズオンラボ)
- Self-paced Lab (セルフペースラボ)
- Tutorial (チュートリアル)
- 「認定資格」関連
- Exam Guide (認定試験ガイド)
- Sample Questions (認定試験サンプル問題)
- Exam (認定試験)
- etc・・・
AWS Ramp-Up Guide : (ロール別) Developer 紹介
AWS Ramp-Up Guide : Developer »
ではさっそく「AWS Ramp-Up Guide」を確認してみましょう。まずは「ロール別」として「Developer (開発者)」を紹介します。ガイドには以下のような学習ステップが載っています。コンテナ / サーバーレス / Infrastructure as Code / フロントエンド / DevOps など、開発者に必要な技術領域を一歩一歩学べるように整理されていますね !
- Learn the fundamentals of the AWS Cloud
- Step 1 : Dive deeper into AWS Cloud fundamentals, including AWS pricing and cost management
- Step 2 : Learn cloud developer fundamentals
- Step 3 : Take the AWS Certified Cloud Practitioner certification exam
- Step 4 : Learn all about containers
- Step 4.1 : Learn about Elastic Container Service (Amazon ECS)
- Step 4.2 : Learn about Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS)
- Step 5 : Learn all about serverless fundamentals
- Step 5.1 : Learn more about serverless, including best practices
- Step 5.1 continued : Learn more about serverless, including best practices
- Step 6 : Learn how to build and manage Infrastructure as Code
- Step 7 : Learn how mobile and front-end web developers can quickly and easily build secure and scalable full stack applications
- Step 8 : Learn about AWS Developer Tools
- Step 9 : Prepare for and take the AWS Certified Developer - Associate certification exam
- Step 10 : Learn about DevOps the Amazon Way
- Step 11 : Learn to create and manage CI/CD Pipelines
- Step 12 : Learn to modernize your applications
- Step 13 : Prepare for and take the AWS Certified DevOps Engineer - Professional certification exam
では、次に「AWS Ramp-Up Guide」に載っている代表的なコンテンツを紹介します。
デジタルトレーニング
まず、開発者に役立つデジタルトレーニングが多く紹介されていますね ! その中でも「Introduction シリーズ」を以下に抜粋しました。どれも 10 分程度で観ることができるため、AWS サービスの概要や立ち位置を速習するのに最適です。逆にある程度 AWS サービスを知っている場合はスキップして良いでしょう。
- Introduction to AWS Billing and Cost Management (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- Introduction to AWS Elastic Beanstalk (Japanese) (日本語吹き替え版) | AWS トレーニングと認定
- Introduction to AWS CloudFormation (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- Introduction to AWS CodeCommit (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- Introduction to AWS CodeBuild (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- Introduction to AWS X-Ray (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
また、AWS サービスをより深く知るためのデジタルトレーニングもあります。以下には「コンテナ技術」と「サーバーレス技術」に関連するものを「AWS Ramp-Up Guide」から抜粋しました。やはり、デジタルトレーニングのメリットは「好きなときに好きなものを観れること」ですので、うまく理解できなかった場合は、巻き戻したりして、繰り返し観てみると良いのではないでしょうか。私が収録しているデジタルトレーニングもありますよ !
- Amazon Elastic Container Service (ECS) Primer (Japanese) | AWS トレーニングと認定
- Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) Primer (Japanese) | AWS トレーニングと認定
- Deep Dive on AWS Fargate: Building Serverless Containers at Scale (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- Deep Dive on Container Security (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- AWS Lambda Foundations (Japanese) | AWS トレーニングと認定
- Amazon API Gateway for Serverless Applications (Japanese) | AWS トレーニングと認定
- Amazon DynamoDB for Serverless Architectures (Japanese) | AWS トレーニングと認定
ワークショップ
「AWS Ramp-Up Guide」にはワークショップも多く含まれています。デジタルトレーニングでの座学とワークショップを組み合わせることでより理解が深まりますよね ! 以下には代表的なワークショップを「AWS Ramp-Up Guide」から抜粋しました。「Learn Python On AWS Workshop」は AWS Cloud9 の上で Python コードを実装しながら構文を学ぶことができるワークショップです。後半では AWS SDK for Python (Boto3) を使って Amazon DynamoDB に接続をします。このように AWS に限らず Python プログラミング自体を学ぶことができるものもあって興味深いですね !
- Learn Python On AWS Workshop
- Amazon ECS Workshop :: Amazon ECS Workshop
- Amazon EKS Workshop :: Amazon EKS Workshop
- Building CICD pipeline with Jenkins on Amazon ECS
- AWS CDK Intro Workshop
- CI/CD for Serverless Applications
なお、ワークショップ(ハンズオン)をより効果的に実施するための Tips は、以前 builders.flash に寄稿していますので、合わせて読んでいただければと思います!
クラスルームトレーニング
「AWS Ramp-Up Guide」には私も担当している認定講師によるトレーニングも載っています。トレーニングのメリットは「体系的にわかりやすく学べること」や「講師に直接質問をしながら理解を深められること」などでしょうか。以下のように開発者に役立つトレーニングがありますので、お待ちしています ! 「AWS Ramp-Up Guide」に載っている順番も意識すると、より適切なタイミングでトレーニングに参加できるのではないでしょうか。
AWS Ramp-Up Guide : (ソリューション別) Machine Learning 紹介
AWS Ramp-Up Guide : Machine Learning
今度は「ソリューション別」として「Machine Learning (機械学習)」を紹介します。ガイドには以下のような学習ステップが載っています。学習コンテンツとしては「ロール別」と重複するものもありますが、それでも「ソリューション別」は特定の技術領域に特化しているため、より深く学ぶための学習コンテンツが載っています。
- Learn the fundamentals of the AWS Cloud
- Step 1 : Learn AWS Machine Learning fundamentals
- Step 2 : Learn AWS Machine Learning cloud concepts and best practices
- Step 3 : Prepare for and take the AWS Certified Machine Learning - Specialty certification exam
デジタルトレーニング
機械学習ソリューションを構築するために必要な知識を学べるデジタルトレーニングが多く紹介されています。興味深いのは、機械学習やディープラーニングの基礎として用語を整理するデジタルトレーニングがあったり、数学の基礎を学び直すデジタルトレーニングまで提供されていることです。そして、代表的な AWS サービスとして Amazon SageMaker に関連するデジタルトレーニングも提供されています。これから「機械学習」を学び始める場合は、この「AWS Ramp-Up Guide」の順番に沿っていくと良いでしょう。
- What is Artificial Intelligence? (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- What is Machine Learning? (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- What is Deep Learning? (Japanese) (日本語字幕版) | AWS トレーニングと認定
- Math for Machine Learning (Japanese) | AWS トレーニングと認定
- The Elements of Data Science (Japanese) | AWS トレーニングと認定
- Amazon SageMaker: Build an Object Detection Model Using Images Labeled with Ground Truth (Japanese) | AWS トレーニングと認定
edX と Machine Learning University (MLU)
学習コンテンツはデジタルトレーニングだけではありません。例えば Coursera や edX などのプラットフォームにも学習コンテンツを提供しています。その代表的なものが edX で受講できる「Amazon SageMaker: Simplifying Machine Learning Application Development」です。Amazon SageMaker を使って機械学習をアプリケーションに組み込む方法などを学ぶことができます。他には「Machine Learning University (MLU)」として公開している機械学習を学ぶ YouTube 動画なども「AWS Ramp-Up Guide」に載っています。
クラスルームトレーニングと認定資格
「AWS Ramp-Up Guide」には機械学習に関連したトレーニングも載っています。そして、認定資格の取得も「AWS Ramp-Up Guide」のステップに含まれているため、理解度確認 (理解度証明) のために合格を目指していただくのも良いのではないでしょうか。
ラーニングパスは AWS 以外にもある
本記事では「AWS Ramp-Up Guides」を中心に紹介をしてきましたが、実は「ラーニングパス」は、探してみると AWS 以外にもいろいろあります。特に「Developer Roadmaps」は有名でしょうか。私自身も「フロントエンド技術」を学び始めるときには「Developer Roadmaps : Frontend Developer」や「Developer Roadmaps : React Developer」を参考に学びました。
- Developer Roadmaps
- Learn to become a modern frontend developer
- Learn to become a modern backend developer
- DevOps Roadmap: Learn to become a DevOps Engineer or SRE
- Android Developer Roadmap: Learn to become an Android developer
- DBA Roadmap: Learn to become a database administrator with PostgreSQL
- React Developer Roadmap: Learn to become a React developer
- datastacktv/data-engineer-roadmap: Roadmap to becoming a data engineer in 2021
- AI Expert Roadmap
まとめ
新しい技術を学ぶ機会はたくさんありますし、誰しも最初は入門者ですよね ! 学び始めるときに「そもそも何から学べば良いのかわからない !」や「どれぐらい学ぶべき項目があるのかわからない !」など、右も左もわからず、目標設定すらできないこともありますよね ! 本記事では「ラーニングパス」特に「AWS Ramp-Up Guides」を活用すると、AWS を効率的に学び始めることができることを紹介しました。「ラーニングパス」の活用、おすすめですよ !
最後に builders.flash で一緒に「How to be a Developer」カテゴリーの記事を執筆している西村さんの記事も載せておきます !
ではまた次回の記事でお会いしましょう !
筆者プロフィール
吉田 慶章
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
AWS トレーニングサービス本部 シニアテクニカルトレーナー
ウェブエンジニア/プログラミング講師などの経験から AWS テクニカルトレーナーに。教えることを本職とし、効果的な学習メソッドを考え続けている。教えることは最高の学習である。Keep on Learning 👍
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