株式会社ALBERT(アルベルト)は、2005年7月に設立されました。以来一貫して分析力をコアとし、データサイエンス領域のテクノロジーを駆使した マーケティングソリューションを提供しています。独自開発のレコメンドエンジンは国内外300サイト以上に採用され、高い評価を受けています。近年では弊 社の分析力への需要が高まり、広告の最適化やWebサイトの最適化、One to Oneマーケティングを実現するCRMソリューションの提供など、データオリエンテッドなマーケティング支援を行っています。

2013年5月29日にリリースしたレコメンド特化型DSP(*)「ADreco(ALBERT DSP Recommendation Banner)」の開発当初、データ蓄積先の選定が急務でした。これまでもASP型レコメンドエンジン「おまかせ!ログレコメンダー」や、行動ターゲティ ング広告システム「i-Effect」において大量データの蓄積や分析は行っていましたが、リレーショナルデータベースのチューニングやデータのアーカイ ブ化などの細かな運用が発生していました。現行のシステム構成のまま飛躍的にスケールさせられない点も継続的な懸念事項でした。

同時期に、データオリエンテッドなマーケティングを実現するCRMソリューション「smarticA!キャンペーンマネジメント」 「smarticA!データマイニングエンジン」を提供する中で、プライベート・データマネジメントプラットフォーム(*)(以下プライベートDMP)構 築のニーズを感じていました。多様かつ大量のデータをマーケティング施策に活用するためには、データを分析するデータマイニングエンジンと、施策を制御す るキャンペーンマネジメントシステムが必要で、さらにシステム全体で利用するデータを格納するための柔軟且つ堅牢なデータウェアハウスが不可欠でした。こ れら全てをクライアントがクラウドで利用できるプラットフォームが、ALBERTの提供するプライベートDMPです。

  • DSP (Demand Side Platform) とは
    広告主や代理店から予算をあずかり、リアルタイムに広告の買い付けを行うプラットフォーム/サービスです。リアルタイムに1インプレッションごとの入札を 行うため、非常に高速な処理が要求されます。より多くの取引を成立させるために、高度かつリアルタイムに広告のターゲティング・最適化が要求されます。
  • プライベートDMP(Data Management Platform)とは
    Webサイトの「アクセスログ」、POSシステムの「購買データ」、メール配信システムの「配信履歴データ」、その他広告の「オーディエンスデータ」、コ ンタクトセンターの「対応履歴」など、様々なデータベースに散在するビッグデータを統合管理し、分析してマーケティング施策に活用するためのプラット フォームです。

「ADreco」では、これまで抱えていた運用の課題をAmazon Redshiftで打開できると考えました。また、データウェアハウスとしてAmazon Redshiftを基盤に据えることで、プライベートDMPをクラウドサービスとしてクライアントに提供できると考えました。

Amazon Redshiftの採用を決定するまでに、Amazon EC2上に構築したHive環境の他、オンプレミス型のデータウェアハウスとの比較を行いましたが、コスト比較では圧倒的にAmazon Redshiftが優位でした。また、スケーラビリティ、パフォーマンスなども含め総合的に判断した結果、Amazon Redshiftの採用を決定しました。

技術的に重要だった要素として、PostgreSQLドライバで接続が可能だったことが挙げられます。弊社ではリレーショナルデータ ベースを利用する際、PostgreSQLを第一候補とする方針でした。既存及び開発中システムに大きな変更を加えることなくAmazon Redshiftと連結可能だったことは、採用の大きなポイントでした。

 

 

 

株式会社ALBERT 様 システム構成図

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「ADreco」システム全体では設計期間も含めて約3ヶ月の実装期間で、Amazon Redshfitの技術検証は1週間くらいでした。
「smarticA!キャンペーンマネジメント」と「smarticA!データマイニングエンジン」のフロントアプリ開発にはJava/Scala軽量フ レームワークPlay frameworkを採用しました。「ADreco」の行動ログの分析及びレコメンデーション演算システムをPythonとJavaで開発し、 Amazon EC2(Amazon Linux)上で運用しています。生ログのアーカイブ先としてAmazon S3及びAmazon Glacierを利用しています。

ビジネス的な視点では、スピードとスケーラビリティを非常に重視しています。AWS であれば迅速に稼働できるだけでなく、スモールスタートして柔軟に拡張できるメリットがありました。当初、東京リージョンにAmazon Redshiftが開設されていませんでしたが、いち早く採用してノウハウを蓄積していく戦略で「ADreco」のリリースに合わせてAmazon Redshiftの商用利用を開始いたしました。

インフラの導入・運用コストというと、実際に発生する金銭的なコストに目が行きがちですが、選定時のサイジングにかかるプレッシャーや、短 期~長期のフェーズに合わせた運用計画を綿密に設計しなくてはならないこともコストの1つであると考えています。そういった点で、Amazon RedshiftをはじめとするAWSサービスの場合は、初期導入時の「後戻りできない」不安から解放されるだけでなく、運用計画においても高いスケーラ ビリティが柔軟性を担保してくれるため、「総合的なコスト」 のかからない良い選択肢だと言えます。

現在Amazon Redshiftを基盤に据えたプライベートDMP構築サービスの案件が急増していることから、今後もAWSの各サービスとCRMソリューションやBI ツールなどとの連携を強化していく予定です。また、ネットワーク設計を柔軟に行うことができ、VPNに対応しているAmazon VPCへ社内のイントラを移転する計画もあります。

 

- 株式会社ALBERT システム開発部 部長 池内 孝啓 様