お酒の買取ビジネスにおける買取状況をリアルタイム化。正確な実績把握による意思決定の迅速化と実績の可視化による社員のモチベーション向上を実現
概要
お酒買取の専門店を、全国の主要都市に 12 店舗展開し、独自ルートで販売を行う株式会社ファイブニーズ。日々の買取金額や売上金額は、店舗ごとにスプレッドシートで管理しており、データ転記の手間などが発生していました。そこで、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の BI ツールの Amazon QuickSight を導入し、Amazon RDS との直接連携を実現することで、人手を介することなくリアルタイムに実績を反映させました。これによりデータ転記の負荷軽減はもちろんのこと、営業実績の可視化によって担当者のモチベーションが向上するなど、さまざまな効果が現れています。

スプレッドシートによる実績管理で集計のタイムラグや転記ミスが発生
2011 年設立の同社は、“酒× IT ”によって業界の流通革命を起こすべく、AI によるお酒の銘柄判定や、買取査定の自動化などにもチャレンジしています。
同社のビジネスにおいて、小売店、飲食店、コレクターなどからお酒を買い取るのが、営業担当者(バイヤー)の仕事です。同社にとってお酒の買取はもっとも重要な業務で、担当者の営業実績は、毎日集計してエリアマネージャーや経営層が把握をしています。従来は買取集計を、店舗ごとにスプレッドシートで管理しており、全店舗の実績は、夜間や翌朝にならなければ確認ができませんでした。データを転記する手間や人的ミスなども発生する懸念があり、正確な情報を把握するための負荷が大きくなっていました。
「実績の数値は、店舗や担当者個人の申告に基づくものでした。毎日データを入力しなければならない担当者にも負荷であり、モチベーションの低下にもつながっていました。経営層としては、1 店舗でも実績の提出が遅れれば、意思決定にも影響を及ぼします。そのため、何とか集計を自動化できないかと考えていました」と語るのは、経営企画部の岩佐海彦氏です。
Amazon RDS と Amazon QuickSight の直接連携によってリアルタイムに可視化
課題解決を目指した同社は、BI ツールの導入を検討し、複数のサービスを比較した中から Amazon QuickSight の採用を決定しました。一番の決め手は、基幹システムで採用しているデータベースの Amazon RDS と直接連携ができることでした。同社はサービスの豊富さ、情報の充実度などを評価して、早い段階から AWS を採用しており、業務システムや Web サイト等も AWS 上で運用しています。少人数でシステム開発と運用を行っているため、業務負荷も考慮し、AWS で統一するのがベストと判断しました。
「当初は 他の BI ツールの導入も検討しましたが、Amazon RDS との連携のしやすさ、同一ベンダーによる監査手続きの容易さ、スモールスタートと機能拡張のやりやすさ、さらにコスト面を考慮した結果、Amazon QuickSight に決定しました」(岩佐氏)
最初の指標を見るためのダッシュボード(表とグラフ)は約 3 日間ほどで開発し、2019 年 10 月に社内リリース。その後、新たな指標を見るためのダッシュボードを随時追加しながら、支店や担当者個人ごとの営業実績、着地予測などを可視化していきました。Amazon RDS と Amazon QuickSight との連携や、ダッシュボードの作成はすべて開発部の担当者 1 名が、内製で行っています。
「開発にかかった工数は全体で 1 ヶ月程度です。ダッシュボードの設定は簡単にできました。スモールスタートでリリースした後は、経営層や現場の要望に合わせて随時指標を追加しています」(岩佐氏)
ダッシュボードに達成率を表示し営業担当者のモチベーションを向上
「現在、経営層から支店の営業担当者まで、全社員が毎日数回ダッシュボードを確認しています。ダッシュボードでは、達成率の高い店舗や営業担当者を表の上位に表示し、ハイライトさせることで、モチベーションの向上を図っています。担当者にとって、他の人の成績がわかるのはプレッシャーになると同時に、励みにもなるため、現場からは喜ばれています」(岩佐氏)
経営層やマネジメント層にとっても、基幹システム上にある正しい営業実績や、月内の着地予想などがリアルタイムにわかるため、次の一手が打ちやすくなっています。時には、エリアマネージャーが店舗の営業担当者に、目標達成のためにもうひと頑張りの声をかけることもあるそうです。
また、支店の営業実績だけでなく、商品の在庫状況や所在分布も同時にダッシュボード上で可視化したことで、店舗から倉庫に発送すべき商品の漏れも容易に把握できるようになっています。これまでは店舗に置きっぱなしの商品があればシステム上で検索し、店舗側に注意する必要がありました。
現在はダッシュボードを見れば、店舗からの発送漏れが即座にわかるため、倉庫の在庫を確保するための業務負荷もなくなりました。
操作権限を店舗や営業担当に拡大し自ら分析できる環境を提供へ
「これまでは、現場からリクエストに応じてダッシュボードを追加していましたが、自らが操作できれば、遠慮することなく分析することができ、結果的に組織の力も高まっていくと期待ができます。それに合わせて Amazon QuickSight の権限管理も整理して、ガバナンスのさらなる強化を進めていきます」(岩佐氏)
酒税申告の業務負荷の軽減に向けて、Amazon QuickSight のデータ活用も検討中です。経営企画部の関本宗真氏は「法務担当者が Amazon QuickSight から酒類ごとの実績データを出力し、帳票作成を自動化することで、業務の効率化に貢献できると考えています」と語ります。
さらに、電話による買取の効率化に向けてコンタクトセンターサービスの Amazon Connect の活用を検討中で、電話業務の自動化や基幹システムとの連携に向けて、調査・検証を進めています。
“酒× IT ”による同社のチャレンジは、業界からも大きな注目を集めており、今後も店舗数や販路を拡大しながら、IT の力によってサービスを発信していきます。

従来、翌日の朝までわからず、数値の信頼性も低かった全店舗のお酒の買取実績や月内の着地予想が、リアルタイムかつ正確な数値として見られるようになり、経営判断としての次の一手が打ちやすくなりました
岩佐 海彦 氏
株式会社ファイブニーズ 経営企画部株式会社ファイブニーズ
設立: 2011 年 7 月 6 日
資本金: 1,000 万円
事業内容:酒買取・販売事業(『お酒買取専門店ファイブニーズ』、『お酒販売専門店 SAKE People』の運営)
AWS 導入後の効果と今後の展開
正確な買取実績のリアルタイムの可視化
データ入力の負荷軽減
実績の可視化による社員のモチベーション向上
経営層やマネジメント層の意思決定の早期化
倉庫への発送漏れ商品の可視化による早期の問題解決
Amazon QuickSight のデータを活用した帳票作成の自動化
本事例のご担当者
岩佐 海彦 氏

関本 宗真 氏
