newspicks_screen_800x860

株式会社ユーザベースでは、「世界一の経済メディアをつくる」というミッションの下、主に経済軸に特化したサービスとして、SPEEDA と NewsPicks という二つのサービスを提供しています。

NewsPicks は、当初「ニュースに対する専門家の意見を気軽に聞くことのできるサービス」をめざし、ニュース記事をユーザが共有しそれに対してコメントをつけることのできる、BtoC 型サービスとして始まり、弊社が目指す方向を踏まえ、主に経済に特化したニュースを集めるというブランディングを行っています。

現在(2014年11月)では、ユーザ数が 30 万人に達し、経済界を始め多数の著名人に使用頂けているサービスになりました。NewsPicks 編集部も立ち上がり、弊社自身が記事を発信することも開始しており、ますますの成長を続けているサービスです。

弊社初の BtoC 型サービスとして、NewsPicks を手がけることになった際、サービスがどのように成長しまた撤退することになるのかが予測できない中、既に世に出ている BtoC 型サービスを見るに、爆発的にユーザーが増えてサーバーの導入が追いつかないケース、また、全く鳴かず飛ばずで数ヶ月でサービスが終了しまうケースがよく見られました。そのような状況を踏まえ、柔軟にスケールを調整することの出来ることのできる環境が必要でした。

また、新規事業ということで予算や人員がほとんどなく、サービスローンチまで少ない人数(多いときで二人、ほとんど一人)で API 設計構築からバックエンド設計構築、インフラ構築、運用までサーバサイドと呼ばれるものすべてを担当する必要がありました。さらに基本部分についてはサービスリリース後も数ヶ月はほぼ一人で改善や運用を回す必要がありました。そのため、可能な限り運用のリスクを減らし、ユーザ数が急激に増えたときにも簡単にスケール出来る設計にする必要がありました。

このようにリソース調達、スケールの柔軟性、少ない人数でのインフラ構築が必要だったことから、クラウドサービスの導入を前提に検討を開始しました。また、当初は予算もつかない状態だったため、可能な限りコストを減らすことも求められていた。

検討の結果、AWS であれば単にクラウド型の仮想マシンというだけでなく、それを可能にする各種サービスが全て揃っており、採用を決定しました。

NewsPicks では、サービスの企画当初(2013 年 1 月)より AWS を利用し続けています。サービスの開発検討開始から、AWS 選択に至るまでがおよそ 1 ヶ月、設計開発そのものは 2013 年 2 月から始め、2013 年 7 月にはサービスの基本機能が実装された第一弾のリリースを行いました。

サービス開発時から、AWS 上では使えるものは全て使い、可能な限り運用の労力およびリスクを減らすことを基本方針としてアプリケーション・インフラの設計を行っています。実際には現在、Amazon EC2、Elastic Load Balancing、Amazon S3、Amazon DynamoDB、Amazon RDS、Amazon SQS、Amazon SNS、Amazon SES、Amazon ElastiCache、Amazon Route 53、AWS Identity and Access Management(IAM)、Amazon Redshiftを利用しており、OS に Ubuntu Linux、全文検索エンジンとして Elasticsearch、ログ収集サービスとして fluentd、機械学習基盤として Vowpal Wabbit を使用しています。

jp_diagram_newspics_1024x1030_2

AWS を採用したことにより、インフラの構築やテストをする必要がほぼ無いため、開発を行うことに集中でき、サービスリリースにあたっては、およそ 3 ヶ月以上の時間短縮が出来たと考えています。

コスト面についても、AWS では提供するサービスの規模に応じて柔軟にリソースを変更できるため、オンプレミスを採用した場合と比べると、明らかにコスト削減の効果があったものと考えています。また、初期投資の必要なく、月額数万円からでサービスリリースできたことは、気軽にサービスを立ち上げることが出来るという点で極めて大きなメリットがあると考えてます。さらに大部分の SLA の要件を AWS が肩代わりしてくれるため、全体的なインフラ・運用コストが大きく抑えられていると常に感じています。

コスト面だけでなく、リソースの柔軟性も弊社にとっては大きなメリットです。以前、iOS/Android への プッシュ通知を行うようになってから、特定の時間に突発的にアクセスが増えるという事態が発生するようになったのですが、通知する直前にサーバー台数を増やし、アクセスが落ち着いたらサーバー台数を減らすといった運用が可能なため、非常に助かっています。

また、セキュリティについてはユーザーやサプライヤーのデータを預かる身として常に気に掛ける点ですが、脆弱性に対して迅速にパッチが適用され、さらには公開前の脆弱性の情報も取得し対策を行っている AWS の体制は安心して利用することができています。

 

今後、弊社では Amazon CloudFront や AWS CloudFormation の利用を検討しています。最近発表のあった Amazon RDS for Aurora も試してみたいと思えるサービスです。また、弊社で今後新サービスを立ち上げることになったとしても、よほど特殊な技術要件が無い限りは AWS を選択させて頂くと思います。

AWS を利用して感じたことですが、計画が立てにくく、迅速な拡張・撤退が求められるB toC Web サービスをオンプレミスで構築するメリットは、現在ではほとんど無いと考えています。また、AWS には他のクラウドサービスと比較して、特殊な要件にも耐えられ、また、運用の負担をほとんどゼロにするサービスが各種取りそろえられています。

少ない予算で最終的にはスケールさせなければならないサービスを始める場合は、AWS 以外の選択肢はないと思っています。

 

- 株式会社ユーザベース 技術チーム チーフテクノロジスト / イノベーション担当執行役員 竹内 秀行 様