西鉄ストア株式会社は西日本鉄道の子会社で、福岡県を中心とする年商 645億 円(平成 24 年度実績)の食品スーパーマーケットです。スーパーマーケットは 50 店舗以上、そのほかホームセンターや衣料専門店を展開しています。

新規に2 年かけて会計システムを刷新を実施することとなり、そのための環境をデータセンターに構築し、段階的にリリースを行っていく中で、オンプレミスでの Hadoop 環境を運用・維持していくのは、ハードウェアに対する障害のリスクとコストが想定以上にかかりそうだということがわかってきました。そのため、運用のリス クとコストを極小化し、可用性のある環境を検討した結果、アマゾン ウェブ サービスでのクラウド利用の検討を本格的に開始しました。

AWS の採用を決定をするまでには、業務システムをクラウド化するため、セキュリティやコンプラインスの面から社内で議論になりましたが、可用性と代替性を考え た時に、クラウド以外の選択肢はありませんでした。セキュリティについては、AWS から提供いただいているセキュリティ方針や、協力ベンダーである株式会社ノーチラス・テクノロジーズの協力を仰ぎ、セキュリティ方針を社内で理解してもら いました。

AWS は会計システムの開発環境として 1年半ほど利用していましたので、システムを動作については弊社でもすでに確認済みで問題はありませんでした。今回の本番環境として AWS を利用する際、安定的に運用することができ、何かあった場合でも代替の環境をすぐに準備することができるかどうかが重要でした。

2013年2月末に AWS への移行を決定し、実際に、オンプレミスから本番環境のクラウドの移行の際は、開発ベンダーであるノーチラス・テクノロジーズの協力のもと、1か月間で移 行を完了しました。現在、以下の対象業務のためのシステムが、本番・開発環境ともに AWS 上で稼働しています。

  • 売上締め処理
  • 債権計上・回収処理
  • 仕入・費用計上締め処理
  • 買掛未払計上・支払処理
  • テナント管理
  • リベート管理
  • 売価還元法管理会計
  • 個別原価法管理会計

AWS のサービスで主に利用しているのは、Amazon EC2 、Amazon S3です。Hadoop も Amazon EC2 インスタンス上にインストールし、利用しています。今回 AWS 上で稼働しているシステム構成は以下の通りです。

  • サーバーOS:Linux
  • データベース:MySQL
  • その他:Hadoop, Asakusa Framework, Jenkins

アーキテクチャーはフロントにWeb/Appサーバーを配備し、ユーザーインターフェイスを制御、外部入出力制御に集配信サーバーを配備していま す。また、ミドルポジションにデータベースサーバーを配備して、App サーバーと集配信サーバーを接続しデータの永続化を行っています。さらにバッチ処理のため、バックエンドに Hadoop クラスターを配備しています。

 

 

 

「西鉄ストア株式会社様 システム構成図」

 

nishitetsu_diagram

AWS を採用した結果、ハードウェアの入れ替えがなくなった分、オンプレミスで必要となっていたサーバー購入のコストが削減されました。さらにハードウェアの故障等の問題からは解放され、原因調査を実施する時にハードウェアの分析をしなくても良くなったことは大きなメリットだと感じています。結果的に原因追及にかける時間は、半分程度になり、コストパフォーマンスをほぼ倍にすることができました。

また、万一使用しているリージョンが何らかの事情で利用できなくなった場合の対策や、Hadoop で利用している Amazon EC2 インスタンスが動かない場合の対策等、起こりえる事態を想定して事前対策をいくつも立てていますが、こうした可用性に関する対策ができるのも、各リージョ ンでの利用、サーバー準備を簡単に行うことができる AWS ならではの対策だと考えています。

とかくクラウド、特に AWS というと、コスト削減をメリットとしてあげるケースをよく耳にしますが、それは結果としてもたらされるものだと思います。運用や可用性の観点から、インフラ特有の「すぐに代替環境が準備できない」「ハードウェア障害の原因がわからない」等の悩みがあるのでしたら、AWS を検討してみるのも一つの方法ではな いでしょうか。

 

 

- 西鉄ストア株式会社 情報システム部 濱田 孝洋 様