Amazon Web Services ブログ
AWS Modular Data Center のデプロイ: 発注から配送、設置まで
本ブログは 2024 年 11 月 24 日に公開された AWS Public Sector ブログ Deploying AWS Modular Data Center: From ordering to delivery and installation を翻訳したものです。
Amazon Web Services (AWS) Modular Data Center (MDC) とは、AWS のマネージドデータセンターを迅速にデプロイするサービスで、インフラが限られた場所でも、ロケーション依存型アプリケーションやレイテンシー依存型アプリケーションの実行が可能になります。遠隔地でのデプロイ時間を短縮し、最大 5 ラック のAWS Outposts や AWS Snow Family デバイスを収容します。MDC は 20 フィートの輸送用コンテナ 2つで構成され、ICD-705 (米国の情報機関が機密情報を扱う施設の物理的・技術的セキュリティ基準を定めた指令)準拠のシールド筐体に配電機能、冗長冷却 (N+1)、セキュリティ、監視、消火設備など、重要なインフラ要素を備えたデータセンターとして機能する自己完結型ソリューションです。AWS MDC サービスは、現場で低遅延のアプリケーションを実行する必要があるものの、データセンターを置く十分なスペースがないお客様向けに設計されたものです。例えば、防衛、国家安全保障、人道支援機関では、MDC を導入することで計算負荷の高いワークロードやストレージ負荷の高いワークロードをタクティカルエッジで実行でき、AI や機械学習によって大量のデータ処理を行い、わずかな遅れも許されない状況でもリアルタイムの意思決定が可能になります。
本投稿では、MDC を導入するためのエンドツーエンドのプロセスについてご説明します。合わせて、Amazon Web Services (AWS)とお客様の役割や責任の分担についても解説し、デプロイメントの成功、運用可用性の向上、セキュリティ体制の強化に向けて明確な指針を提供します。サイトへの MDC の導入方法を 6 つのステージで示しておりますので、ぜひ最後までお読みください。
6 つのデプロイステージ
導入方法はお客様ごとに異なるものです。そのため、AWS はお客様とプロセス全体で常に緊密に連携し、MDC の納入を確実かつ円滑に行います。MDC のデプロイプロセスは次の 6 つのステージで構成されます。
- リクエストの送信
- 現地調査結果の確認および現地準備
- 発注承認
- 納品
- 設置および試運転
- 政府セキュリティ認定
以下では、各ステージの詳細を説明します。導入プロセスを理解いただくことで、効率的な準備にお役立てください。
(注:以下のプロセスはアメリカ国内のお客様を対象とした説明となっており、また、日本のお客様にはアクセスができないURL等がございます。ご不明な点がありましたらAWSアカウントチームまでお問い合わせ下さい)
ステージ 1: リクエストの送信
このプロセスでは、お客様固有のニーズに対応するためのコンサルティングを行います。まず、AWS マネジメントコンソールの AWS MDC ページからお問い合わせフォームに入力いただき、AWS に送信します (図 2)。フォームを送信後、2 営業日以内に AWS からプライマリアカウントオーナーにご連絡いたします。組織内でプライマリアカウントオーナーが不明の場合は、AWS アカウントチームまでお問い合わせください。
このステージでは、AWS はお客様と連携して、MDC のユースケースを明確にし、サイト準備アンケートなどで設置サイトの情報を収集します。これには、インフラの依存関係を特定するために、導入場所、気象条件、電力、ネットワーク接続、セキュリティ要件などのサイト特性に関する情報も含まれます。また、お客様のニーズに最適な MDC 構成と AWS Outposts または AWS Snowball Edge のデバイス容量を決定するためのお手伝いもします。事前定義された構成がお客様のニーズに合わない場合は、お客様の要件に合わせたカスタム構成を作成するために協力させていただきます。
ステージ 2: 現地調査結果の確認および現地準備
お客様からのリクエストとサイト情報の確認後、AWS の技術者または AWS の資格を持つ技術者を派遣し、サイト準備アンケートの内容を基に現地調査を実施します。この現地訪問は、そのサイトが MDC の各要件 (以下の一覧参照) に対応しているかを確認することが目的となります。そのため、現地訪問にあたり、お客様には AWS チームに現地の連絡先と立ち入り権限をご提供いただく必要があります。現地では、設置を進めるための情報を収集し、MDC 設置前に解決すべき問題を特定します。現地調査を完了したのち、その結果を確認し、サイトの準備に向け追加対応が必要な場合はお客様にお知らせします。サイトの MDC 設置要件への対応は、お客様の責任において行っていただくものですが、AWS は対応を完了していただくための必要な情報を提供し、設置前には現地の状況を確認させていただきます。サイトでの MDC の設置と試運転を行うにあたり、お客様には AWS のチームと協力の上、当該サイトがすべての要件を満たしているかどうかを確認し、現地調査結果の検証をすべてクリアしていただく必要があります。
| カテゴリ | 要件 |
|---|---|
| 設置場所 (据付面) | 設置には、20 フィート × 30 フィートのコンクリート基礎面または砕石地盤が必要。 |
| 離隔スペース | MDC 設置面積は 16 フィート × 20 フィート (4.9 m x 6.1 m)。全周囲に少なくとも 8 フィート (2.4 m) の保守スペースを確保。ラック搬入を容易にするため、エリア全体においてフォークリフトなどの荷役機器の移動が可能であること。 |
| 耐荷重 | MDC の設置および撤去を行う場所と搬入動線は、MDC、荷役機器、配送車両の合計重量に耐えられること。設置場所の据付面そのものは、沈下することなく最低 50,000ポンドの耐荷重があること。 |
| 耐震補強 | 施設への MDC 設置期間中は、規制または建築基準法で定める範囲において、適切な耐震ブレースまたはアンカーの設置、維持が必要。 |
| 施設へのアクセス | MDC 設備に対し、AWS による MDC への物理的アクセス、保守、MDC の撤去を阻害するような変更を行わないこと。フェンスやセキュリティカメラなどの追加のセキュリティ対策が必要な場合は、AWS の担当者までご相談ください。 |
| 温度および湿度 | 周囲の外気温は -20°F (-30°C)~127°F (53°C) の範囲とし、相対湿度は 5%~95% であること。MDC を屋内に設置する場合、十分な空気循環を行い、動作中は一定の温度と湿度の範囲を維持すること。 |
| 標高 | MDC の設置場所は、海抜 10,000フィート (3,050メートル) 未満の標高にあること。 |
| 電源 | 二重化構成の場合、MDC には三相 400/480 VAC、50/60Hz、175A の電源が 2 系統必要。冗長性を下げた構成の場合は、単一の電源系統で動作可能。 |
| ネットワーク | MDC のネットワーク要件は、お客様のニーズによって異なる場合があります。AWS の担当者までご相談ください。MDC のネットワークラックには、お客様支給のネットワーク機器および暗号化ハードウェアを最大 10U まで収容可能。ラックはUPSで保護された冗長A+B電源の供給も可能。 |
サイトの要件について、より詳しくは AWS Modular Data Center User Guide をご参照ください。
ステージ 3: 発注承認
現場調査結果の確認後、サービス利用規約に同意いただき、発注書の発行をもって発注手続きを完了します。そこから、MDC の構築、事前設定、出荷準備をサービスチームが行います。MDC は製造プロセス完了後、お客様の現地ご担当者と納品日および設置日を調整したうえで出荷されます。
ステージ 4: 納品
MDC の準備が整い次第、ユニットを現地に配送し、組み立てと設置作業を行うための調整をお客様と進めます。MDC は、不正開封防止シールや不透明梱包など、標準的な商業用セキュリティ対策を講じて非機密扱いとして出荷されます。機密扱いでの配送が必要な場合は、お客様と連携のうえ、MDC を米国本土 (CONUS) の空港または出発港まで護送する運送業者の手配もお手伝いいたします。MDC の輸送は、車両、鉄道、船舶、軍用機 (C-17 または C-5 のみ) から選択できます。
AWS は、運送業者との調整、積み込みおよび荷降ろし作業、お客様のサイトへの MDC の配送を含む、CONUS 内での輸送と物流の統括責任を負います。また、現場要件を満たした水平な据付面上に MDC を設置するためのクレーンやフォークリフトなどの重機も手配します。サイトが米国本土外 (OCONOUS) である場合、運送業者との調整、積み込みおよび荷降ろし、配送、登録輸入者としての手続きなど、輸送と物流に関する対応はお客様にて行っていただきます。また、MDC を水平な据付面上に設置するための機器類もお客様手配となります。
ステージ 5: 設置および試運転
MDC の設置は、AWS チームがサイトに到着し、お客様の指定担当者と到着確認を行った後すぐに開始されます。荷解き作業を開始する前に、AWS チームが最終的なサイト確認を実施し、現地の状況が MDC の要件に合致しているかをあらためて確認します。 サイトが必要な要件を満たしていない場合、作業は延期となります。作業を延期することがないよう、お客様には MDC の納品前にサイト準備作業をすべて完了いただくことが極めて重要です。 また、AWS チームがサイトにアクセスするための許可手続きは、お客様側で行っていただく必要があります。MDC をデプロイする場所に AWS がアクセスできない場合、AWS のサポートが限定される場合があります。
AWS チームが MDC を指定のコンクリートまたは砕石基礎に配置し、組み立てと設置を進めます。所要期間はサイトの状況にもよりますが、通常 1〜2 週間です。機器類および電気システムを含むすべての MDC コンポーネントの組み立て、設置、テストは、AWS にて管理します。また、AWS が提供する機器に使用するすべての光ファイバーは、AWS が準備し、MDC 内に敷設します (電気設備の検査やテストも含みます)。お客様には、MDC を正常に動作させるための、電源、ネットワーク、緊急管理システム用など、すべての外部ファイバーケーブルと電源ケーブルを用意いただき、接続作業を対応いただきます。設置作業時において MDC への接続および通電は、お客様側の有資格電気技術者が実施することが義務付けられています。お客様は、AWS 起動手順のほか、関連法令、電気規程、建築消防法規に従って MDC への通電と接続を実施する責任を担います。
試運転が完了すると、メンテナンスサービスが開始されます。MDC は物理的にお客様のサイトに設置されているため、本体のメンテナンスは AWS とお客様との責任共有となります。AWS は、AWS の技術者または AWS 認定の技術者による定期検査や修理など、予防および是正保守を提供します。重要なスペアパーツの準備、保管も行い、納品に時間がかかる部品類でもすぐに使えるよう常備します。さらに AWS は MDC 内に消火システムを設置し、この保守も行います。お客様は MDC の定期的な検査、監視を行い、エラー状態が発生した際は AWS に速やかに報告する責任を負います。また、問題発生時にはサイト常駐担当者にアラート発報するよう、消火・警報システムとオペレーションセンターを接続しておき、即時対応を徹底する必要があります。MDC の物理的なセキュリティ維持もお客様側の責任となります。なお、MDC にはモニタリングシステムが組み込まれています。MDC を AWS リージョンに接続すると、Amazon CloudWatch と連携でき、MDC の状態をリモート監視できます。
MDC は、ICD-705 に基づく機密情報隔離施設 (SCIF) の要件を満たすように設計されており、TS/SCI (Top Secret/Sensitive Compartmented Information ) レベルまでのデータをホストする認定を取得することができます。MDC は、電磁波盗聴対策 (TEMPEST)、無線周波数 (RF) シールドに加え、音響や熱に関する各種要件に完全準拠した構築、試験が行われています。MDC を SCIF として認定する必要がある場合、AWS は試運転の完了後に、お客様の承認担当者 (AO) が実施する認定審査に対応できる状態に準備します。適切な AO の選定と必要な認定取得は、お客様の責任にて進めていただきます。
ステージ 6: 政府セキュリティ認定
特定の政府機関で MDC を使用する場合、お客様は適切な AO から必要な運用権限 (ATO) や接続権限 (ATC) を取得する必要があります。認定の手続きにおいて、AWS は必要な書類を提供し、お客様をサポートします。認定が必要な場合、MDC に収容する機密ワークロード用の AWS ラックの設置およびテストは、必ず認定取得後に実施することになります。認定が下り次第、ラックの設置が可能になり、AWS が MDC 内の AWS ラックの組み立て、設置、テストを行います。
まとめ
本投稿では、リクエストの送信から納品、設置まで、AWS Modular Data Center をデプロイするための 6 つのステージについて説明しました。MDC の導入をスムーズに達成するためには、各ステージで以下のポイントを押さえることが重要です。
- リクエストの送信 — AWS マネジメントコンソールのお問い合わせフォームにご記入ください。お客様の要件をもとに、AWS と連携して MDC の構成を確定させます。また、サイト準備アンケートにもご回答いただきます。
- 現地調査結果の確認および現地準備 — AWS とともに現地調査を実施します。現地調査の結果から、サイトに必要な作業を行い、MDCの設置と試運転の前に完了させます。
- 発注承認 — サービス利用規約への同意と発注書の発行をもって発注を確定します。AWS は MDC の構築、事前設定、出荷準備に進みます。
- 納品 — 輸送、物流は AWS との調整が必要です。サイトが米国本土外の場合は、物流と重機類はお客様にて手配いただきます。また、サイトが MDC の到着を受け入れ、設置を開始できる状態にしておきます。
- 設置および試運転 — AWS がサイトに立ち入るためのアクセス権を確保いただきます。設置チームが作業できるよう、電源接続をご準備ください。MDC の組み立て、設置、テストは AWS が実施します。
- 政府セキュリティ認定 — 認定が必要な場合は、お客様の AO から ATO および/または ATC を取得してください。AWS はドキュメンテーションを支援し、認定取得後にラックの設置を完了します。
注意: AWS Modular Data Center は現在、米国 Joint Warfighting Cloud Capability (JWCC) 契約に基づく政府機関のお客様のみがご利用いただけます。AWS Modular Data Center は現在、AWS GovCloud (米国西部) リージョンと AWS GovCloud (米国東部) リージョンでサポートされています。
AWS Modular Data Center の詳しい情報は、お客様の AWS アカウント担当者までお問い合わせください。
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