AWS JAPAN APN ブログ
AWS パートナーエクスペリエンス向上のための 10 の取り組み : より高い価値とより大きな収益性の提供を目指して
この記事は、AWS で Head of Partner Brand and Content Strategy を務める Priya Bains 氏が 2023 年 11 月 29 日に投稿した「More Value, Greater Profitability: 10 Enhancements to the AWS Partner Experience」を翻訳したものです。
AWS re:Invent 2023 では、AWS パートナーの生産性と収益性向上を支援するために、AWS パートナープログラムとサービスに関する 10 の取り組みを発表しました。
今年初めから、私たちはパートナーエクスペリエンスの変革に取り組んできました。これは、AWS ジャーニーのあらゆる段階でビジネスチャンスを拡大し、貴社がどの段階にいても AWS Partner Profitability Framework に沿ってビジネスを伸ばせるように支援するためです。今年の 7 月には、これらの取り組みに関する Roadmap を共有しました。
私たちのミッションは、AWS Marketplace を備えた AWS パートナーネットワークを 推奨の販売方法にし、何百万もの AWS の顧客に差異化された価値を提供することで、パートナーがより早く、より大きく、より多く成功を収められるよう支援することです。
私たちは、プログラム、インセンティブ、イネーブルメントを含む AWS パートナーエクスペリエンスが、AWS サービスとパートナーのビジネスモデル (ビジネス成果をもたらすソリューション、テクノロジーソリューション、マネージドサービス、コンサルティングなど各種サービス、再販) にアラインするようにします。これらの取り組みによって、私たちは関連性のある明確なガイダンスを、貴社が必要な時に、一貫性があり予想可能な形で提供します。貴社の収益性向上と新規ビジネス創出の支援は、私たちの最優先ゴールです。
1. ソリューション構築のためのイネーブルメントを導入
テクノロジー投資先が LOB 購入者に移るにつれ、顧客はビジネス成果をもたらすソリューションをますます求めています。AWS を活用したソリューションの構築と検証を支援するために、私たちはすべてのパートナーに対して無償で「Solution Building Enablement (ソリューション構築のためのイネーブルメント)」を提供します。
re:Invent 2022 では、セルフサービスのテンプレートとガイダンスを備えた Partner Solution Factory のプレビューを提供開始しました。これらのフレームワークを複数のユースケースと地域でテストし、すべてのパートナーに展開しています。
Solution Building Enablement は、業界やユースケースに合わせてソリューションを構築し、検証するための規定ガイダンスを提供します。これには、リファレンスアーキテクチャ、検証済みのオープンソースコード、および市場進出 (GTM) に関するリソースが含まれます。
Solution Building Enablement は、AWS パートナーセントラルのリソースタブにある「ガイド」セクションからアクセス可能です (要ログイン)。
2. ビジネス成果を加速させるための複数パートナーとのエンゲージメント
収益性は、差異化された価値を顧客に提供すること、つまりビジネス上の問題に対して最善のソリューションを顧客に提供することから生まれます。今日の顧客は測定可能な成果をもたらす統合されたソリューションを求めており、これらは通常、複数の要素 (ソフトウェア、ハードウェア、コンサルティング、実装) や組織が関与することがあります。
ガートナーの予測分析によると、世界の IT 支出は 2023 年に 4 兆 5,000 億ドルに達すると予測されており、業界の LOB 購入者がテクノロジー購入者の最大グループ (41%) を占めています。顧客のニーズから逆算し、以下の方法でビジネス成果をもたらすソリューションの加速をサポートします。
- パートナー仲介イベントを通じて複数パートナーの協業を実現させ、革新的なビジネス成果をもたらすソリューションの開発を後押しします。
- 戦略的協業契約 (SCA: Strategic Collaboration Agreement) により、協業、ソリューション開発、GTM プロセスを標準化します。
AWS はパートナーと共に、ヘルスケアライフサイエンス、製造業/自動車、エネルギー/公共事業、通信、金融サービス、小売などの主要な市場セグメントにおいて、生産性、コスト削減、品質、成長のための重要なビジネス成果を提供してきました。これらには、アマゾンのジャストウォークアウトを活用した Cognizant 社の顧客コンシェルジュ、Infosys 社による Aircraft on Ground (AOG) 時間への対応を行う生成系 AI ベースのソリューション、STMicroelectronics 社による Edge-AI ソリューション、TensorIoT 社によるエンタープライズナレッジマネジメントが含まれます。
2024 年は、パートナー仲介イベントやパートナーサミットを通じて、テクノロジーパートナー、サービスパートナーなど複数パートナーによるエンゲージメントに投資を行います。パートナー仲介イベントに関心がある場合は Business outcome solutions ページからフォームを送信し、パートナーのお客様成功事例もご覧ください。
3. テクノロジーソリューションを提供するパートナー向けの厳選されたプログラムとエクスペリエンス
AWS は、AWS サービスを活用して、独自の知的財産 (IP) を構築するテクノロジーソリューションパートナー向けに、プログラムをより使いやすくし、より大きな利益を得るための要件を簡素化します。AWS Marketplace でソリューションを構築、マーケティング、販売し、顧客層を拡大させ、追加の収益を生み出すために、いくつかの主要な ISV プログラムを見直しました。
- 商用および公共部門向けの ISV パートナーのための厳選されたプログラムを開始しました。これには、AWS SaaS Factory、Partner Transformation Program、Global Startup、AWS Marketplace Startup、Think Big for Small Business、ISV Accelerate が含まれます。
- 自動化されたタスクと次に取るべき推奨アクションを表示することにより、AWS パートナーセントラルでのソフトウェアパスのエクスペリエンスを向上しました。
- 運用上の負担を軽減するために、特定のプログラム要件を簡素化しました。
- 中期から後期のスタートアップ企業を含む ISV パートナーが、AWS との共同販売を強化し、GTM を加速するためにパートナージャーニーを再設計しました。
ソフトウェアパスの新しいエクスペリエンスを確認するためには、AWS パートナーセントラルにログインしてください。
4. マネージドサービスプロバイダー向けプログラムの強化
AWS のマネージドサービスプロバイダー (MSP) は、顧客の IT インフラストラクチャ、プラットフォーム、アプリケーションのライフサイクル全体、または一部の継続的な方針決定、管理、最適化、サポート、変更管理のために、お客様が継続的に頼れるトラステッドパートナーです。AWS が 9 月に実施したクラウド顧客調査によると、MSP は顧客の購入決定に影響を与えるトップ 3 の要因 (内部および外部の要因を含む) の一つであることが明らかになりました。
AWS は、MSP パートナーからのフィードバックに基づいて、MSP プログラムを強化し、さらなる収益ストリームの構築と拡大を支援します。現在実施中のプライベートプレビューで得られた知見を基に、より強化された MSP プログラムを 2024 年第 2 四半期に開始する予定です。
プライベートプレビュー (英語でやり取りできることが条件) のウェイティングリストに登録するには、こちらからリクエストを提出いただけます。お申込みは任意となり、MSP チームとの調整/協議を経て、参加可否についての返信をいたします。
5. サービスパートナー向け AWS Migration Acceleration Program (MAP) の強化
お客様がクラウドへの移行を成功させ、パートナーが移行プロジェクトをスムーズに進め、モダナイゼーションを加速し、大規模な案件への投資を拡大できるよう、私たちは現行の AWS Migration Acceleration Program (MAP) を見直します。
標準的な MAP は、移行コンピテンシーまたは関連するワークロードのスペシャライゼーションを持つサービスパートナーが利用可能になります。さらに私たちは:
- キャッシュ/クレジットを組み合わせた投資を必定とするパートナーに対して、エクスペリエンスを簡素化します。
- パートナーファンディングポータルにおける承認プロセスを合理化します。
- リフトアンドシフト移行のための投資額の適正化を行います。
- グリーンフィールドやモダナイゼーションなどの追加インセンティブの導入を行います。
MAP の変更内容は、パートナーが新しい運用へ移行するための十分な時間を確保しながら、2024 年中旬までに AWS パートナーセントラルのパートナーファンディングポータルに反映される予定です。
6. リセラー向けベネフィットの拡大
AWS ソリューションプロバイダーと AWS ディストリビューターが再販ケイパビリティを向上できるよう、以下のようなベネフィットと取り組みを実施します。
- ファンデーショナルテクニカルレビュー (FTR) の導入で、AWS サービスを再販する際に、AWS のベストプラクティスを採用できるようになります。
- AWS 導入初期段階にある顧客とのビジネスを支援するカスタマー・エンゲージメント・インセンティブ (CEI) の Grow ディスカウントで、リセラーの収益性を向上します。
- 官公庁の顧客に再販する場合に対象となる、公共部門ディスカウント (Public Sector Discount) を導入します。
- 要件を満たしたソリューションプロバイダーとディストリビューターに提供される Partner Growth Rebate (PGR) の付与方法をクレジットからディスカウントに移行し、インセンティブ構造を簡素化します。
- 新しい Partner-Led Support をローンチし、AWS 利用の拡大に応じたスケーラブルな価格設定を提供します。また、新しい AWS 診断ツールなど、AWS サポートの高いクラウド専門知識を活用した、拡充されたベネフィットパッケージを提供します。
新規ソリューションプロバイダーは、AWS ソリューションプロバイダープログラムへの申請時に FTR での検証が必要となります。すべての認定ソリューションプロバイダーは 2024 年第 1 四半期に、簡素化されたディスカウントの支払いと収益性向上に向けたベネフィットを享受できるようになる予定です。
7. スペシャライゼーションパートナー向けの新しいベネフィット : AWS PartnerEquip
顧客がパートナーを選定し差異化する際に重視する要因をさらに理解するために、私たちは世界的な大手テクノロジーアナリスト会社である Canalys 社に独自の調査を依頼しました。
Canalys は、AWS パートナーエコノミーの価値は最大 5,120 億ドルに達すると予測しています。さらに、87% の顧客が AWS スペシャライゼーションをパートナー選定基準のトップ 3 に挙げ、74% のパートナーが需要の高い領域でスキルアップを続けているか確認するために、少なくとも年に 2 回はパートナーの認定情報をレビューしていることが分かっています。
このような状況から、AWS は 100 以上の専門分野に焦点を当てて、ポートフォリオを継続的に改善し拡大しています。AWS は、AWS コンピテンシー、AWS サービスデリバリー、AWS サービスレディを「AWS スペシャライゼーション」という 1 つのブランドの傘下に集約します。
これにより、顧客は自身のニーズに基づいた AWS スペシャライゼーションパートナーを簡単に見つけることができるようになり、同時にパートナーの要件が合理化され、ベネフィットの活用が容易になります。
また、AWS GTM チームとの連携を強化し、標準化するために、AWS は AWS PartnerEquip シリーズ を導入します。このシリーズは、スペシャライゼーションパートナーに提供される 4 つのベネフィット (APN Immersion Days、Roadmap transparency、SMB Cloud Academy、Deeper Learning virtual events) を統合し、簡素化しました。2024 年初めから開始されるこのシリーズには、バーチャルイベントとライブイベントが含まれ、PartnerEquip Live には 13 のトラックが 3 つの地域で提供される予定です。
さらに、AWS は AWS Marketplace Vendor Insights 内で、AWS セキュリティコンピテンシーと Level 1 MSSP コンピテンシーなどのスペシャライゼーションを強調し、顧客が適切なソリューションとパートナーを容易に見つけるための取り組みを開始しました。これは、スペシャライゼーションと AWS Marketplace のエクスペリエンスを統合し、GTM の動向を加速させるための第一歩です。
8. AWS Marketplace による顧客リーチ拡大のための機能強化
AWS Marketplace でセルフサービスの収益ストリームを構築し、収益性を促進するために、2024 年に出品手数料の簡素化と引き下げを行います。
さらに、SaaS Quick Launch 構成により、AWS Marketplace で SaaS 製品を購入する顧客の価値実現までの時間を短縮します。これにより、顧客は数分で SaaS 製品を購入、設定、および AWS 上で起動できるようになります。
新しい AWS Partner CRM Connector を使用すると、Salesforce アプリ内から APN カスタマーエンゲージメント (ACE) と AWS Marketplace のプライベートオファーおよび再販承認を管理できます。パートナーは、新しい多目的 CRM Connector、Labra、Workspan、Tackle などのサードパーティツール、または直接の API 統合など、エンドツーエンドの AWS ビジネスを管理するためのこれまで以上に多くのオプションを持てるようになります。
9. AWS Marketplace、プログラム、パートナーセントラルの統一されたエクスペリエンス
AWS パートナーセントラルは 130,000 社以上のパートナーに利用され、200 万人の登録ユーザーがいます。先月発表された AWS パートナーセントラルのアップデートは、APN と AWS Marketplace の連携プロセスを改善し、AWS パートナーセントラルへの登録から AWS Marketplace のプロファイル設定、製品リストの作成、GTM の準備など、一連のプロセスを簡素化しました。これにより、業務の効率向上と顧客とのエンゲージメントがスムーズに行えるようになりました。
シンプルで、パーソナライズされた、付加価値の高いエクスペリエンスは、AWS との連携を加速し、パートナープログラムのベネフィットを迅速に享受できるよう再設計されました。これには、自動化されたタスク、AWS Marketplace と AWS パートナーセントラル間の製品とアカウントの連結、Partner Analytics Dashboard の改善、ACE による新しい共同販売エクスペリエンス、新しい検索機能とコンテンツナビゲーションによるセルフガイドのパートナージャーニーが含まれます。
現在、このエクスペリエンスはソフトウェアパスと ISV プログラムの AWS パートナーに対して提供されています。他のパートナーパスとプログラムへの拡大は、2024 年に予定されています。
10. 効率化促進と AWS 投資を最大化するためのツール
パートナーは、効率と運用を改善し、規模を拡大する方法を模索しています。私たちは、プログラムやベネフィット活用を支援するシームレスなエクスペリエンスを提供するために、以下のようなツールや機能に投資します。
- Partner Analytics Dashboard の強化により、セールスパイプラインの健全性とインサイト、AWS Marketplace のエンゲージメントスコア、新規投資に関するインサイト、期限間近のキャッシュファンドリクエスト、マーケティングキャンペーンの効果など、AWS ビジネス全体のパフォーマンスを一元管理できるようになりました。
- 新しいビジネスプランニングツールを導入し、AWS とのコラボレーションや共同販売を加速させます。このツールは、AWS パートナーセントラルのエクスペリエンスにおいて、ビジネスプランのプロセスとデジタルでの追跡を一元化し、標準化することを目指しています。これにより、異なる AWS 担当者との重複した対話や複数のシステムへのアクセスが不要になります。まずは実績豊富な AWS パートナーから段階的に展開し、2024 年中にさまざまなビジネスモデルに拡大していく予定です。
今後に向けて
私たちは 2024 年もパートナーがお客様の価値と収益性を高められるように支援し、AWS Marketplace と AWS パートナープログラムが成功への着実な道筋を提供できるように取り組んでいきます。
「AWS Partner Experience Transformation」のブログシリーズでさらなる最新情報をお知らせします。また、AWS Marketplace、プログラム、AWS パートナーセントラルの最新の取り組みは、AWS パートナーの最新情報 でも公開します。
AWS パートナーネットワークに参加する
AWS パートナーは、ビジネスの成長と顧客サポートの向上に役立つ技術、セールス、マーケティング、パートナーベネフィットなどの各種リソースにアクセスできます。
翻訳は APN Program Manager 佐久間が担当しました。原文はこちらです。