生徒の解答を自動で採点・添削する

問題を自動で採点・添削したい

学校をはじめとする教育の現場では、指導にあたる先生の負担の大きさが一種の社会問題になっています。
特に、先生は1人で数百人の生徒の課題やテストの採点・添削することも多々あるため、採点・添削業務は非常に負担の大きな業務であると言えます。

そこで、生成 AI の力を借りて問題の採点・添削を補助できないか考えてみました。

記述式問題も含めて問題の採点・添削を行う

ここでは、例として「日常的な課題の採点・添削を行う場合」のユースケースについてお話します。

前提として、選択式の問題については、生徒の解答と問題の答えを突き合わせることで採点することを想定しております。
これは、選択式の問題については上記のようにルールベースで採点を行ったほうが正答率が高く、クラウド利用に関するコスト効率も高いためです。

このように、生成 AI には生成 AI が得意な作業のみを任せ、不得意な作業については回避策を講じることで、生成 AI の利点を最大限活かすことができます。

記述式の問題については、以下のような手順で問題の採点・添削が行われます。

  1. 生徒が課題を提出する
  2. 課題の提出をトリガーにして、生成 AI アプリケーションが教材や先生が自身で作成した問題を参照して採点・添削に必要な情報を取得する
  3. 生成 AI が採点・添削
  4. 先生がアプリケーションから解答、採点結果のチェック

上記で紹介した「日常的な課題の採点・添削を行う場合」のユースケース以外にも、アプリケーションを作り込むことで「定期テストの採点」や「生徒が自主学習を行う際の自己採点」、「紙媒体の採点・添削」などの様々なユースケースに応用するすることが可能です。

構成のポイント

今回の構成では、既存の教材だけでなく、自身で作成した問題に対して採点・添削を行うことが可能です。
この場合は、採点のポイントなどを事前に用意しておくことで、部分点をつけたりより精度が高い採点・添削を行ったりすることができるようになります。

今回の構成では、Amazon Kendra を用いて、生成 AI アプリケーションから既存の教材や先生が自身で作成した問題などを参照して採点・添削ができるようにしています。科目ごとに採点に必要なデータは異なるため、参照するデータを変更することで採点・添削精度が向上するように考慮しています。

参照データは教材データと先生が自身で作成した問題の2種類があります。教材データは PDF 形式などの教科書データを想定しており S3 に格納を行います。
先生が自身で作成した問題は、問題、回答、問題のポイント、関連する教材などの項目を含むデータであり、RDS に格納されます。先生は問題格納用アプリケーションを介して DB に問題の情報を格納することが可能です。

また、生徒が課題を提出したことをトリガーとして採点・添削を行うことで、先生の手を煩わせることなく採点・添削が完了するようにしています。先生のタスクは、生成 AI の採点・添削が完了した後に採点結果をチェックするだけになります (生成 AI の解答が正しいかという点については必要に応じて確認をすることを推奨します)。

まとめ

先生方の負担を軽減し、生徒により良い学習体験をもたらすことを目標に、今回のソリューションを提案しました。

生成 AI の利点を活かすことで、「生徒の解答の自動採点・添削」業務をはるかに効率化することができると考えています。

今回のシステムを改良し、生徒の自己採点で本システムを利用できるようにすると、生徒の自主学習のサイクルが早くなり、さらなる学習体験の向上をもたらすことができるかもしれません。

本記事の執筆者

松永 大河

パブリックセクター コンサルティング本部
データ/機械学習エンジニア


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