AWS なら、大量のデータを扱う画像配信システムに必要な性能と容量を低コストで確保できる上、
24 時間 365 日の安定運用を確認できました。

 

津端 暢郎 氏 アットホーム株式会社 情報システム部

全国の不動産情報を扱うアットホーム株式会社は、6 億 5,000 万点を超える画像データを扱う画像配信システムを、Oracle Database RAC からAmazon S3 と Amazon Aurora ベースの仕組みに移行しました。1 日あたり 1 億件を超える大量のリクエストにも対応可能な性能と可用性を確保し、需要変動への柔軟な対応を実現。データベース部分のコストは 50% 近くまで削減された上、運用の手間も大きく軽減されています。


1967(昭和 42)年に創業したアットホームは、不動産物件情報を提供するビジネスモデルを幅広く展開しています。不動産会社間の情報流通に加え、一般消費者向けの不動産情報サイト「アットホーム」の運営、不動産会社向けの「ホームページ作成ツール」の提供や集客支援など不動産業務をサポートするサービスも提供しています。

アットホームの加盟・利用不動産店は全国で 54,000 店以上、扱う物件情報は 230 万件を超えます。紙媒体から始まった物件情報の取り扱いは現在インターネットが中心となり、スマートフォンアプリなどの新しいメディアも積極的に取り入れています。また、近年は写真データが物件選びの重要な判断基準となったことから、データ量が大幅に増加。そのため同社は、増え続ける情報を効率的に扱える拡張性の高さと、24 時間 365 日止まらない高い可用性を両立できる IT システム基盤を必要としていました。 

 

アットホームは、Oracle のオンプレミス環境で運用していた不動産情報の画像配信システムの更新時期に合わせて、新たなシステムの構築を検討。そこで課題となったのが、画像を蓄積するストレージ容量の確保と、不動産情報を管理するデータベースの可用性、拡張性の確保でした。それまではシステム拡張のたびに、例外なく大きな手間とコストが発生していました。「画像用の NAS は半年ごとに 2TB のペースで容量を追加し、データベースも 1 年に 1 度はメモリ追加などを行っていました。」とアットホーム株式会社 情報システム部の津端 暢郎氏は振り返ります。

同社では拡張性の高いストレージのオンプレミス導入、オープンソースの分散ストレージの導入、拡張性の高いクラウドへの移行、という 3 つの選択肢を検討しました。このうち、ストレージのオンプレミス導入は拡張性の向上が限定的で費用もかなり高額、またオープンソースの分散ストレージの場合、短期間での実装と安定稼働はハードルの高い選択肢でした。

導入を検討した 2015 年当時は AWS の東京リージョンが稼働してから数年経過し、多くの運用実績が蓄積されつつある時期でした。またアットホーム自身、他の小規模システムを AWS で運用した実績も既にありました。そこで同社は画像配信システムの開発環境を AWS に構築し、各種検証を開始しました。「AWS なら、大量のデータを扱う画像配信システムに必要な性能と容量を低コストで確保できる上、24 時間 365 日稼働するシステムにとって求められる安定運用を確認できました。」(津端氏)

物件数や画像データの増加は、利用環境の変化などの外的要因にも左右されるため、予測が難しい面があります。しかし、AWS なら詳細なキャパシティ計画がなくても、柔軟に容量追加ができることも採用を後押ししました。

一方、アットホーム社内にクラウドに精通した人材がいないことは懸念材料でした。AWS の開発経験がある技術者の採用も検討しましたが、なかなか適任者が見つかりません。そこで方針を変え、パートナーとして支援を要請したのが AWS のプレミアコンサルティングパートナーであるクラスメソッドでした。「クラスメソッドの方と話をして、技術的な知識の深さが違うことがすぐにわかりました。高い技術力だけでなく、対応の柔軟性、分かりやすい契約形態も選定理由の 1 つです。」(津端氏)

2016 年 7 月から運用を開始した新たな画像配信システムでは、アプリケーションと Apache Traffic Server を Amazon EC2 で稼働し、ロードバランサーに Application Load Balancer を採用(システム稼働当初は Elastic Load Balancing)。画像データの保存には Amazon S3、レスポンス向上に Amazon ElastiCache、セキュリティと通信速度の確保に AWS Direct Connect を利用しています。

データベースはクラスメソッドからのサポートも期待できたこともあり、Amazon Aurora を選択。Oracle Database の移行に際して、なるべくアプリケーションに手を入れずに済むものが選ばれました。「Amazon Aurora は、1 日あたり約 1 億件のリクエストを問題なく処理しています。すでに 1 年以上のあいだチューニングもほとんど必要なく、安定して稼働しています。」(津端氏)

Amazon Aurora は 64TB まで容量追加の手間がなく、バックアップの仕組みもあるため、運用の手間が大きく削減されます。また、フェイルオーバー時間は 1 分ほどで RAC より時間がかかるものの許容範囲で、むしろストレージ障害が全体障害とならない点が可用性の面で有利に働いています。また、AWS Database Migration Service をオンプレミスのバッチ処理用データベースとの継続的なレプリケーションに活用し、クラウドとオンプレミスのハイブリッド構成のデータベース連携を、手間なく安定的に運用しています。

AWS 移行後は拡張性を確保した上でオンプレミスにあったデータベース用の SAN の費用が不要となり、データベース部分のコストは 50% 近く削減されました。システム全体のコストについても、増加した画像用ストレージ容量をオンプレミスなら 1.5 倍以上の費用がかかるところ、以前と同程度に収まっています。ハードウェア監視やシステム増強の手間まで加えると、大幅なコスト削減を達成。以前はシステム増強やストレージ追加などで半年ごとに発生していた夜間作業も不要になりました。以前は大量の物件データを更新する際に一時的なパフォーマンス低下が発生していましたが、現在はその課題も解消。また需要変動に合わせたリソース追加が容易になり、大きな安心感につながっています。

アットホームは Amazon Aurora や AWS Database Migration Service を先進的に使いこなしています。これにはクラスメソッドの貢献が大きく、「細かいことを伝えなくてもクラスメソッドは非常に理解が早く、安心して任せられました。」とアットホームのシステム構築をサポートしている株式会社ブレインフィード 代表取締役の大向 邦英氏は語ります。

 

アットホームでは、今回の画像配信システムに続いて、オンプレミスの大規模システムを順次 AWS に移行することを計画しています。すでに Amazon Aurora と AWS Database Migration Service を組み合わせた別システムの構築も進んでいます。

他にも写真データへの自動タグ付けなどで、Amazon Machine Learning や Amazon Rekognition といった人工知能・機械学習機能の活用にも期待を寄せており、アットホームの情報活用は、さらに進化を遂げていきます。

 

AWS プレミアコンサルティングパートナー
クラスメソッド株式会社

ビッグデータ、モバイル、センサー、音声認識の企業向け技術支援を展開し、コンサルティングやシステム設計開発を行い Amazon Aurora のサービスデリバリーを所有する AWS のプレミアコンサルティングパートナー。国内有数の情報量を誇る技術メディア「Developers.IO」での技術共有も積極的に展開している。


AWS クラウドのデータベースサービスが企業でどのように役立つかに関する詳細は、AWS が提供するクラウドデータベースの詳細ページをご参照ください。