バンダイナムコエンターテインメントとは
バンダイナムコエンターテインメントは、バンダイとナムコの経営統合をうけて2006年に誕生したエンターテインメント企業です。業務用ゲーム機や家庭用ゲームソフト、ネットワークコンテンツ、パチンコ・パチスロと幅広い領域で事業を展開している企業です。

 

2010年より、バンダイナムコグループの様々なサービスをひとつのIDで利用できる「バンダイナムコID」を提供してきましたが、利用用途の拡大、利用アカウント数の増大に伴い、IDに関する集計バッチの処理時間の増加や集計時のDB負荷が課題となってきました。テーブルをまたぐような複雑な集計はマスターDB上で集計をかけていたため、サービスへの影響を考慮しつつバッチを走らせる必要があり、1日では処理が終わらない集計もあるような状況でした。マスターDBでの集計では負荷・集計時間の面で限界に来て いたため、DBデータのレプリケーションもしくはダンプを行った上での他の集計ソリューションの導入が急務でした。

集計時間の短縮の面からHadoopの利用が候補に挙がりましたが、ジョブの有無/大小でリソースの使用量が大幅に変動することが予測できていたため、オンプレミスでのインフラ手配はコスト的に見合わないことが予想され、この課題を解決するインフラの選定が必要となりました。

オンプレミスでは課題が大きいため、オンデマンドで、伸縮性を確保できるクラウドの利用を検討することになりました。その中で、唯一 Hadoop サービスを提供していた AWS クラウドを利用することに決めました。

AWS クラウドの Hadoop サービス、Amazon Elastic MapReduce を、可用性、セキュリティ、費用の観点で評価を行いましたが、いずれもオンプレミスと遜色ないものと判断し、採用することになりました。現在ではAmazon EC2 や Amazon RDS、Amazon Redshift など他のサービスも場合によってハイブリッドに使い分けています。

もともと集計システムを Java で組んでいたため、Amazon Elastic MapReduce への集計移管はスムーズに行う事が出来ました。また、インフラの準備にかかる時間もかからないため、すぐに有用性のテストに行うことが出来、本番実装へと判断を行うことが出来ました。

社内業務にクラウドを導入するに当たり、セキュリティは重要な要素でしたが、各種セキュリティレポート(ホワイトペーパーなど)や各セキュリティ保全機能の充実度等を検討した結果、オンプレミスでのそれと遜色ないと判断しています。

 

一番大きなメリットとしては、やはりコストがあげられます。集計時しか利用しない Hadoop システムにおいても、オンプレミスで用意する場合はピーク時の使用量を見越してハードウェア等を準備する必要があるため、CAPEX がかさみます。AWS クラウドを利用した 場合は、まず初期投資は不要ですし、実際の掲載処理に利用した分だけの従量課金となり、無駄なコストが発生しません。その上、ピークの作業量を厳密に見積もらなくても都度必要なリソースが用意できるため、運用担当者の負荷が大幅に軽減されています。また、オンプレミスのハードウェアを調達した場合、その保守/運用にコストがかかるところ、AWS クラウドの場合は、利用料のみで、余計な運用コストを発生させることなく運用できています。

今回の Hadoop システムでの利用に満足しているので、今後も AWS クラウドの利用範囲の拡大を検討しています。具体的には、瞬間的なアクセス増が見込まれるキャンペーンサイトやスマートフォンアプリのバックグラウンドシステムとして、また Amazon Redshift や Amazon DynamoDB を始めとした、最新のアーキテクチャを気軽に(初期投資を抑えて)利用できる利点を活かして、各種用途に利用させて頂く予定です。


- 株式会社バンダイナムコエンターテインメント
 NE事業部 マーケティングディビジョン システム部 システム1課
 アシスタントマネージャー 田村雄也