Canopy

機械学習を使用して AWS で財務諸表処理を自動化する Canopy

2021 年

複数のソース全体にまたがる金融資産を持つ個人にとって、純資産の包括的な単一のビューを維持することは、その金融保有資産を手動で追跡し、まとめる必要があることから、時間がかかる作業になりかねません。これは、より分散化された資産配分を持つ傾向にある富裕層者にとっての普遍的な課題です。

2013 年にシンガポールで創立された Canopy は、この問題の解決を目指しています。Canopy は、財務諸表を分析し、関連する情報を抽出して単一のダッシュボードにまとめることによって、さまざまな金融保有資産の統合されたビューを富裕層者に提供します。Canopy のプラットフォームを使用することで、富裕層者は、金融パフォーマンス、戦略、およびマーケットタイミングを他の富裕層者と比較しながら、その資産を簡単に把握できます。

Amazon Web Services (AWS) クラウドネイティブプラットフォームとして、Canopy は日常的な業務のほとんどを自動化していましたが、財務諸表は依然として手動で分析されていたため、このプロセスを機械学習 (ML) と光学文字認識 (OCR) で自動化して、その効率性を高めたいと考えました。

Canopy の最高技術責任者である Amit Gupta 氏は、「データ分析に機械学習を適用することは、複雑な作業です。Amazon SageMaker は ML を使用してテキストとデータを自動的に抽出することで、シンプルな OCR の域を超えて、これまでにほぼ 100,000 件の財務書類を自動的に処理することを可能にしました」と話しています。

Financial data analysis graph showing search findings. Selective focus. Horizontal composition with copy space.
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AWS は、私たちの機械学習能力を、数か月分のデータを数日で処理できるレベルに高めてくれました。クライアントのために明日処理しなくてはならない財務書類の数が 10 倍に増えたとしても、簡単に対応できます。ビジネスを拡大するためのより大きな自由が確保された今、その拡大を実現していこうと考えています。”

Amit Gupta 氏
Canopy、最高技術責任者

機械学習による前進

Canopy のデータチームが業務を開始した当時、データチームは複数のソースからのお客様の財務書類を手動でスキャンしていました。Canopy は約 400 行の保管銀行に接続しており、アプリケーションプログラミングインターフェイス (API)、データフィード、レポートサービス、および国際銀行間金融通信協会 (SWIFT) 形式などのさまざまな形式のデータを受け取ります。

チームは、お客様の取引明細書も E メール、Excel ファイル、ポータブルドキュメントフォーマット (PDF)、およびスキャンされた画像として受け取っており、これらすべてがカスタマーデータの分析を時間のかかる高額なプロセスにしていました。Canopy は、このプロセスを自動化し、ビジネスを未来に対応するものとするための旅に乗り出しました。

「私たちは、財務諸表を処理するために毎週数百時間もの単調な時間を費やしており、これはビジネスの成長にとって持続可能なものではありませんでした。私たちは独自にオープンソース ML モデルでの実験を開始し、1 年半のうちに、クライアントの財務データの処理を半自動化することができました」と Gupta 氏は話しています。

その後間もなく、Canopy は自動化ジャーニーの壁にぶつかりました。チームは、毎月受け取る財務記録の 20 パーセントに存在する新しい情報を認識して処理するように、その ML モデルを絶えず更新する必要がありました。チームがカスタマーデータの分析に費やす時間は減ったものの、今度はデータ処理と、ML モデルのためのデータ品質の向上に焦点を当てる必要が生じ、これによってクライアントの投資とクライアントとの関係を管理する時間が奪われていました。

以前のセットアップでは、Canopy は ML モデルの使用中にそれらを再トレーニングすることができず、プラットフォームのダウンタイムを可能な限り最小限にとどめるためにも、週末に作業するしかありませんでした。この再トレーニングには、週に最大 48 時間かかる場合がありました。Canopy は、このプロセスを合理化する方法と、その OCR 機能を向上させるためのアドバイスを AWS に求めました。

「私たちは、ML モデルの再トレーニングプロセスを完全に自動化できるかどうかをたずねることから始めました。AWS の助言がきわめて有益であることがわかったのはこのときです」と Gupta 氏は話しています。「AWS チームは、Amazon SageMaker を使用して私たちを正しい方向に導いてくれました。実装中も私たちを先導して、常に確実にサポートしてくれました」。

Amazon SageMaker は、Canopy がより多くのデータエンジニアの雇用に投資することなく、効率的にその ML モデルを開発し、OCR 機能を向上できるようにしました。このソリューションは、Canopy が ML モデルの構築、トレーニング、およびデプロイを 1 つのプラットフォームに統合することを可能にします。SageMaker は、財務記録の解析中に新しい情報を発見するたびに、ML モデルを自動的に更新していきます。

未来に向けた準備

その ML 機能を使用して、Canopy は 1 か月あたり 2,000 件のクライアント財務記録を処理するようになりました。これは、そのデータチームが製品イノベーションに集中することを可能にし、ビジネスで 300 パーセントの成長を実現するために役立っています。現在、Canopy は何千人ものクライアントにサービスを提供し、2021 年の時点で 1,200 億 USD の資産を管理しています。

AWS でデータ処理を合理化した Canopy は、10 倍のユーザー需要を満たすためにスケールしようと考えています。

将来的に、Canopy は 2021 年にその業務を米国に拡大することを計画しており、2021 年の年末までに管理対象の資産を 2 倍にすることを目標としています。Canopy は、その成長計画をサポートするうえで、AWS Managed Services (AMS) と連携して、バックエンドオペレーションでさらなる支援を受ける予定です。

「AWS は私たちの機械学習能力を、数か月分のデータを数日で処理できるレベルに高めてくれました。クライアントのために明日処理しなくてはならない財務書類の数が 10 倍に増えたとしても、簡単に対応できます。ビジネスを拡大するためのより大きな自由が確保された今、その拡大を実現していこうと考えています」と Gupta 氏は締めくくっています。

詳細について

 詳細については、aws.amazon.com/sagemaker をご覧ください。


Canopy について

2013 年に創立された Canopy は、富裕層者のための資産アグリゲータープラットフォームです。Canopy は、そのプラットフォームのカスタマーインターフェイスで、クライアントの財務諸表を処理し、それらからの関連情報を統合することによって、アセットクラスと資産市場全体における金融資産の単一ビューをクライアントに提供します。その主要クライアントおよび投資者として、クレディ・スイスが挙げられます。

AWS のメリット

  • API への PDF のデジタル化を大規模に実行することが可能
  • 10 倍のユーザー需要を満たすためのスケーリングにおける自信
  • 1 つのプラットフォームで機械学習モデルのトレーニングとデプロイを同時に実行する能力

使用されている AWS のサービス

Amazon SageMaker

Amazon SageMaker は、機械学習専用に構築された幅広い一連の機能を 1 つにまとめることによって、データサイエンティストとデベロッパーが高品質の機械学習 (ML) モデルを迅速に準備、構築、トレーニング、およびデプロイできるようにします。

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