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料理動画サイネージの端末管理システムを
AWS IoT を活用したフルサーバーレス構成により、短期間で開発
同時にランニングコストを大幅に削減

2020

料理レシピで知られるクックパッド株式会社から分社化した CookpadTV 株式会社が手掛ける動画配信サイネージ『cookpad storeTV』は、スーパーマーケットの売場に料理動画や広告を展開。アマゾンウェブサービス(AWS)の AWS IoT Core を用いて端末を一元管理する MDM(Mobile Device Management)を 8 ヶ月で開発した同社は大幅にランニングコストを削減し、売り場のニーズに合った動画をきめ細かく配信しています。

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店舗ごとの多様なニーズに対応できる MDM の仕組みを短期間で実現するためには、システムに必要な機能を取捨選択して、開発・コントロールできる AWS がベストな選択でした

渡辺 慎也 氏
クックパッド株式会社 メディアプロダクト開発部 部長
CookpadTV 株式会社 取締役 CTO 

約 1 万8,000 台の動画配信端末を管理する MDM の自社開発へ

「毎日の料理を楽しみにする」を理念に、料理レシピの投稿・検索サービスや生鮮食品に特化した EC サービスなどを展開するクックパッド。2018 年 4 月には、広告と連動した料理動画の事業化を行う部門が事業会社の CookpadTV として独立しました。現在、日本最大級の料理動画サイネージ『cookpad storeTV』と、有名人と一緒に料理が楽しめるクッキング Live アプリ『cookpadLive』の運営をメインに事業を展開しています。

料理動画サイネージの cookpad storeTV は、スーパーマーケットの売場にタブレット型の Android 端末を設置して、料理動画を配信するサービスです。「買い物中にスマートフォンで検索しなくても、クックパッドの人気レシピ動画を見ながら献立のヒントが得られるコンセプトで企画しました。肉売場では肉を使ったレシピ動画、魚売場では魚のレシピ動画と、売場との連動を強く意識しています。お店側の売場作りと連動して利用していただけるよう、約 3,000 本の動画の中から店舗スタッフがその日の商品に合ったものを自由に選んで配信できる仕組みです」と、クックパッドのメディアプロダクト開発部の部長で、Cook-padTV の取締役 CTO を兼務する渡辺慎也氏は語ります。

cookpad storeTV は端末をスーパーマーケットに無償配布する形で、2017 年のサービス開始から 3 年間で日本全国の約 130 チェーン/ 約5,000 店舗以上に利用され、約1 万 8,000 台の端末を展開しています。ビジネスモデルは広告収益型を採用し、15 秒のレシピ動画 4 回につき 30 秒、食品・飲料メーカーなどの広告動画を 1 回挿入しています。 cookpad storeTV では当初、外部の MDM(Mobile Device Management)を利用し、アプリのアップデートや端末の一元管理を行ってきました。しかし台数が増えていく中で運用コストと保守の煩雑さが課題となっていました。

「従来の MDM は汎用製品で不要な機能が多く、台数に対するランニングコストの増大も徐々に課題となりました。また保守サポートが代理店経由のため、課題解決に時間を要することもボトルネックでした。そこで、MDM を自社開発する方向で根本的な見直しを図ることにしました」(渡辺氏)

AWS IoT プロトタイピングを実施しシステムの仕様や目的を明確化

CookpadTV は多くのシステム開発で利用していた AWS に着目し、MDM 開発に AWS IoT Core の採用を決めました。

「AWSのソリューションアーキテクトに相談したり、AWS とコラボレーションして実施した社内 IoT ハッカソンに参加する中で、AWS IoT Core が利用できるのではないかと気づきました。誰でも扱えるシンプルな仕組みを作るうえで、機能パーツの使い回しが簡単で、サービスに見合ったビルディングブロックを選んでコントロールできる AWS はベストな選択でした」(渡辺氏) MDM の開発は、これまで AWS になじみの薄かったモバイルアプリケーション開発者 2 名で担当しました。2019 年 3 月頃に AWS IoT プロトタイピングを利用し、AWS のソリューションアーキテクトと一緒に新システムの仕様や目的を明確にしました。その後アーキテクチャの設計、実装と進め、 2019 年 12 月から新 MDM の運用を開始しています。開発者の 1 人であるクックパッドメディアプロダクト開発部の安部建二氏は次のように振り返ります。

「AWS IoT プロトタイピングで丸 1 日かけてソリューションアーキテクトの方に不明点を相談したり、手を動かしてコーディングを実施したりしたことで理解が深まりました。プロトタイピングがなかったら、設計開始から 8 ヶ月での開発はできなかったでしょう」

新 MDM は AWS IoT を利用したフルサーバーレスで構成し、マイクロサービスの発想で構築しています。

「AWS Lambda やマネージドサービスを使って、ゼロから組み立てていく開発はワクワクしました。AWS のソリューションアーキテクトからいただいたアドバイスを設計に反映した結果、コストに見合った形でアーキテクチャを構成することができました」(安部氏)

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MDM の自社コントロールでニーズに合わせた機能追加が可能に

CookpadTV では端末の入れ替えに合わせて新 MDM への移行を進めており、2020 年内には約 7,500 台の運用管理を新 MDM に切り替え予定です。セットトップボックスへの横展開も可能なため、端末ごとに MDM が異なるというビジネス上のリスクも極小化される見込みです。

新 MDM ではバッテリー・メモリ・ストレージの状態を遠隔から把握し、配信する動画も売り場に合わせて端末単位でコントロールしています。管理画面も自社開発したことで、運用負荷が軽減しました。

「以前は MDM 付属の管理画面と内製の管理画面を併用していたため、両者の行き来に手間がかかりましたが、今回の集約化で一元管理が実現しました。MDM のコントロールも自社でできるようになり、サービスの進化に合わせた機能追加が可能になりました」(安部氏)

MDM の 1 台あたりのランニングコストも大幅な削減が実現し、当初の目的は達成される見込みです。現在は AWS IoT Core を使ったプッシュ型動画配信機能の追加に取り組んでいます。これによってリアルタイム配信が実現し、サービス品質の向上や収益率の向上に向けた取り組みが可能になるといいます。

他のメディアサービスへ横展開動画事業の拡大でマネタイズを加速

今後は、MDM をスーパーマーケットの店頭に設置した 55 インチの大型サイネージ上で料理のデモンストレーション映像をライブ配信する『cookpad storeLive』や、既存のディスプレイと接続して cookpad storeTV のコンテンツを流すセットトップボックスなど、他のメディアサービスへの横展開を進めていく計画です。

さらに、cookpad storeTV の海外展開や、クックパッドと連動して Web と実店舗の広告展開を拡大していくといいます。

動画事業全体では、ビデオ会議システムの開発を支援する Amazon Chime SDK を使ったスペシャルトークサービスを cookpadLive の機能として実装し、双方向のコミュニケーション機能として提供しています。

「動画を使った事業領域の拡大や、広告配信サービスによるマネタイズ化において、AWS のサービスは不可欠になっていきます。今後も、最新技術のキャッチアップに向けた情報提供と、親身になったサポートの継続に期待をしています」(渡辺氏)

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渡辺 慎也 氏
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安部 建二 氏

カスタマープロフィール:クックパッド株式会社

  • 設立年月日: 1997 年10 月1 日
  • 資本金: 52 億 8,601 万 5,000 円(2019 年12 月末)
  • 従業員数: 368 人
  • 事業内容:料理レシピ投稿・検索サービス『クックパッド』、クックパッドマート、 CookpadTV、その他関連事業

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • マイクロサービス化による保守レベルの向上と管理負荷の軽減
  • MDM を自社で開発・運用することによるアジリティ確保
  • AWS IoT Core を用いたプッシュ型動画配信機能の追加を検討
  • Amazon Chime SDK など動画系ツールを活用した新サービスの展開

ご利用中の主なサービス

AWS IoT Core

AWS IoT Core は、インターネットに接続されたデバイスから、クラウドアプリケーションやその他のデバイスに簡単かつ安全に通信するためのマネージド型クラウドサービスです。

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AWS IoT Device Management

AWS IoT Device Management を使用すると、膨大な数の IoT デバイスの登録、編成、モニタリング、リモート管理を簡単かつ安全に行うことができるようになります。

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AWS IoT Events

AWS IoT Events は、IoT センサーやアプリケーションで発生したイベントを容易に検出し対応できるようにする、完全マネージド型の IoT サービスです。

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AWS Lambda

AWS Lambda を使用することで、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、コードを実行できます。料金は、コンピューティングに使用した時間に対してのみ発生します。

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