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コロナ禍のピンチをチャンスに変えるためインフラコストの最適化と IT 内製化を進め
AWS 活用で新しい宿泊体験を支えるサービスを創出

2021

新型コロナウイルスの流行によって大きなダメージを受けた観光・宿泊業。株式会社星野リゾートは過去最大の危機を乗り越えるため、全社を挙げてさまざまな施策に取り組みました。その一環として情報システムグループは、クラスメソッドの支援のもとインフラコストを 全体で 29% を削減。一方でシステム内製化を進め、IoT などを活用して顧客体験の向上や接客に役立つ新サービスを自ら次々に生み出しています。

AWS 導入事例  | 株式会社星野リゾート
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AWS とクラスメソッドの協力を得て技術的に時間がかかっていたところを短期に実施できるようになりました。外部のスペシャリストに伴走してもらうことで、社内のメンバーが自信を持って新しい技術にチャレンジできるという内製化が実現しています

久本 英司 氏
星野リゾート
情報システムグループ グループディレクター

突如訪れたコロナ禍への対応

パートナーの支援を受けながら AWS のインフラ最適化を行い 29% のコストを削減

日本の伝統や文化に根ざしたおもてなしを提供する星野リゾート。ラグジュアリーリゾートの『星のや』、温泉旅館『界』、ファミリーリゾート『リゾナーレ』、都市観光ホテル『OMO』など、さまざまなニーズに応えるブランドを展開しています。

2020 年 4 月、新型コロナウイルス感染症対策のため最初の緊急事態宣言が施行され、宿泊業は大きな困難に直面。同社ももちろん、多大な影響を受けました。
「創業以来最大の赤字に直面する中、当社の代表(星野佳路氏)はこのピンチを乗り越えるため、社内に対して『18 ヶ月のサバイバル戦略非常事態宣言』を打ち出しました。キャッシュを確保し、人材を維持しながら再起に備えるために全国 3,700 人の社員が一丸となって対応を進めました。私たち情報システムグループも、さまざまな取り組みを行いました」と語るのは、株式会社星野リゾート 情報システムグループ グループディレクターの久本英司氏です。

情報システムグループは、宿泊施設の運営におけるシステム支援に加え、Wi-Fi やネットワークなどの環境整備、IT ヘルプデスクなどの業務も担っています。以前はシステム開発の多くを外部に依頼していましたが、2018 年ごろから内製化に方針転換しました。内製化の中心を担う情報システムグループ エンジニアチーム リーダーの藤井崇介氏は、コロナ禍対策を次のように振り返ります。
「まずは費用の削減が命題だったため、2014 年頃から利用してきた AWS についてサーバーの稼働時間の見直し、不必要なデータの削除、インスタンスタイプの見直しを行い、自社の取り組みだけでコストを 13 % 削減しました」

その後、同社はさらなるコスト改善に向け、AWS プレミアコンサルティングパートナーのクラスメソッド株式会社が行っているコスト最適化診断サービスを利用。適切なインフラ構成への変更提案などを取り入れ、約 29 % のコスト削減を達成しました。

三密回避サービスを迅速に開発

信頼性を高めるブランディングに貢献

情報システムグループはコスト削減だけでなく、エンジニアの知見を活かして事業に貢献できる施策を模索しました。まず、宿泊施設から要望のあった、温泉浴場の三密回避システムの実現に乗り出します。もともとのアイデアは、浴場の下駄箱に設置したカメラで混雑具合を確認するというものでしたが、カメラの設置は宿泊客が不安に感じる恐れがあります。そこで IoT 技術を使って、入退出をセンサーで計測して混雑状況を知らせる仕組みを考案しました。「もともと内製化の体制構築を進めていたため、社内のエンジニアが中心となってセンサーの部材コストだけでほぼ実現できると経営陣に提案しました」(久本氏)

この提案が認められ、経営陣からは対象の 15 施設に設置が課されました。そこでセンサー部分のみ外部のパートナー企業に依頼し、センサーから得られるデータを処理する仕組みを社内で構築。Amazon API Gateway を介して集められたセンサーのデータは AWS Lambda を通じて Amazon RDS に送られ、混雑状況を評価します。藤井氏は「スケールがしやすく、蓄積したデータを活用できる構成にしました」と語ります。また、施設のスタッフがこのサービスを管理するためのインターフェースもローコード開発ツールを使って構築されました。開発を担当した情報システムグループ ソリューションアーキテクトの杉山陽輝氏は「システムに何かあったときに現場のスタッフでも対応できるよう工夫しました。セキュリティ面にも配慮し、館内からのみアクセスできるよう AWS WAF も使っています」と説明します。

こうして施設の宿泊客がスマートフォンで浴場の混雑状況を確認できるサービス『温泉 IoT 湯守』が 6 週間という短期間で開発され、15 施設に展開されました。この取り組みは多くのメディアからの注目を集め、新型コロナ対応の宿泊施設としてのブランディングにもつながりました。

情報システムグループはそのほかにも、早急な対応が必要となった『Go To トラベル』キャンペーン対応サイトを 1 か月、宿泊ギフト券の『ふるさと納税』対応サービスを 1 か月、結婚式向け新サービスを 3 か月と、短期間の間に次々にリリースしました。
「AWS を使うメリットは、すぐにサービスを立ち上げられる点と、スケールアウトやスケールアップしやすいことです。需要ボリュームがまだ見えないときでも、すぐに始められます」(藤井氏)

一連の迅速なサービス開発によって、星野リゾート社内でも情報システムグループへの信頼が高まりました。実際、システム内製化を進める以前は、なかなか開発が進まないことが課題だったと久本氏は語ります。
「社内にエンジニアを置くという概念が当社になかったころは、外部のインフラエンジニアに依頼していたため、依頼が集中するとなかなか完成できないというジレンマがありました。藤井を中心とする内製化チームができてからは、アジャイル開発を徹底し、圧倒的なスピードでリリースができています」

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パートナーの内製化支援により AWS 活用の知見を高めていく

社内でも IT ・デジタル投資が重視されるようになり、情報システムグループには多くの要望が集まっています。その対応としてさらに AWS の豊富なサービスを利用していくために、2021 年 2 月ごろからはクラスメソッドの内製化支援サービスを利用しています。「開発のスピードを担保するため、世の中でよく使われている技術についてアドバイスを受けてチャレンジしていきたい」と藤井氏は語ります。たとえば、iPad を使って解錠/施錠ができるロッカーのシステム開発では、Amazon DynamoDB の構成などについてクラスメソッドの支援を受けたといいます。

情報システムグループが今後目指すのは、各種施設で活用する業務システムのモダン化です。従来は外部システムに依存している部分が多く、宿泊施設の立ち上げの際にシステム準備に時間がかかるという課題がありました。これを内製化によって自社で AWS を活用しながらシステムを刷新していく方針です。さらに、施設の現場スタッフが本来の業務である接客に専念し、顧客体験を向上につなげるための支援というミッションも背負っています。杉山氏は「機械学習や、BI ツールによる分析などデータを活用して、混雑状況や清掃時間の最適化などにもつなげていきたいです。お客様が意識しないところで施設の仕組みをアップデートしていければ」と意欲的に語ります。

新しい日常への対応が評価され、苦境に立つほかの宿泊施設から運営を委託されることも多くなっているという星野リゾート。その事業を支える情報システムグループの今後について、久本氏は次のように語ります。
「お客様やスタッフに、今後もスピード感を持って新たな価値を提供していきます。AWS とクラスメソッドの協力を得て技術的に時間がかかっていたところを短期に実施できるようになりました。私たち自身もよい挑戦ができており、目指したい方向に向かえていると実感しています」

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久本 英司 氏

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藤井 崇介 氏

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杉山 陽輝 氏


カスタマープロフィール:株式会社星野リゾート

  • 創業:1914 年
  • 従業員数:3,831 名(2021 年 4 月時点)
  • 事業内容:リゾートホテルや温泉旅館、都市観光ホテルなどの運営

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • IT コストの削減、最適化
  • 迅速なサービス展開によるブランド力向上
  • 施設で利用しているシステムのモダン化とデータ分析による業務の最適化

AWS プレミアコンサルティングパートナー

クラスメソッド株式会社

クラスメソッドは「すべての人々の創造活動に貢献し続ける」という理念のもと、クラウド、ビッグデー タ、モバイル、IoT、AI/機械学習の企業向け技術支援を展開してい る。コンサルティングやシステム設計開発に加え、国内有数の情報量を誇る技術ブログ「DevelopersIO」での情報発信も積極的に行っている。

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