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機械学習(ML)とサーバーレスアーキテクチャを活用して米の銘柄を AI で判定するスマートフォンアプリを開発
熟練検査員の目視検査と同等以上の精度を達成

2021

青森県三沢市で総合米穀卸業を展開する株式会社 KAWACHO RICE(カワチョウライス)。同社は東北地方の企業の DX 化を支援する株式会社ヘプタゴンとともに、米の銘柄を AI で自動判定するスマートフォンアプリケーションを開発。実証実験において、検査員による目視検査と同等以上の精度を達成しました。アプリのバックエンドシステムにはアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用。機械学習の開発・運用環境を Amazon SageMaker で構築し、サーバーレスアーキテクチャによって低コストかつ拡張性の高いシステムを実現しています。

AWS 導入事例  | 株式会社 KAWACHO RICE
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AI による銘柄判定アプリにより、検査員の負担を減らすとともに、より正確に銘柄のチェックができるようになりました。商用化に向けて今後も検証を継続し、米の流通に関わる全国の卸業者、米の生産者、小売業者が手軽に利用できるようにサービスを進化させていきます

川村 航人 氏
株式会社 KAWACHO RICE 取締役

検査員の負担軽減に向けて AI による銘柄判定アプリの開発を検討

1932 年創業の川長商店と 1967 年創業の二葉商会をルーツに持つ KAWACHO RICEは、青森・秋田県内の米生産者から委託されたブランド米を、小売店、メーカー、商社、飲食店などに卸販売することで、日本の食卓を支えています。最近では、グループ会社が手がけるペットボトル入りライス『PeboRa(ペボラ)』が全国で大ヒットするなど、新商品の開発や販促活動にも積極的です。

検査米を取り扱う豊富な実績と専門知識を有し、業界の中でも最先端の IT 活用に積極的に取り組む同社が 2020 年 12 月に発表したのが、米の銘柄を AI で判定するアプリです。無作為に抽出した米粒を検査皿に載せ、スマートフォンのカメラで撮影すると、数十秒で銘柄を割り出してスマートフォンの画面上にブランド名を表示します。アプリの開発背景について、取締役の川村航人氏は次のように語ります。
「銘柄判定は、米の流通過程において異品種混入を防止するために不可欠のもので、決められたロットごとに検体を抜き取って検査します。検査は農林水産省が交付する農産物検査員の資格を取得した検査員が、目視で行うことと法律で定められています。当社にも 6 名の有資格者がいますが、秋の収穫期になると米生産者から収められた大量の米を短期間に判定することになり、検査員の大きな負担になっていました。ただでさえ、米を扱う現場では、高齢化が進み、人材不足も深刻化しています。そこで検査員の年齢、経験年数、スキルを問わず、自動で銘柄判定ができる AI アプリの開発を考えました」

Amazon SageMaker で開発環境を素早く用意

機械学習モデルの開発に注力

銘柄判定アプリの開発に向けて、KAWACHO RICE は青森県の補助金や、地元銀行が実施しているチャレンジプログラムなどを活用して資金を調達。同社と同じ青森県三沢市に本社を置き、AWS アドバンストコンサルティングパートナーとしてクラウド化や DX を支援しているヘプタゴンをパートナーに選定し、2019 年 7 月に「RiceTag プロジェクト」を立ち上げました。
「AI による自動判定が実現できるかわからない中で、ヘプタゴンに相談しましたが、前向きな回答をいただけたので、思い切って一緒にチャレンジすることにしました」(川村氏)

アプリの開発に着手した両社は、バックエンドシステムに AWS を採用し、ML の開発運用環境は Amazon SageMaker で構築しました。ヘプタゴン 代表取締役社長の立花拓也氏は「Amazon SageMaker により、ML の環境が容易に準備でき、モデルの開発に注力ができることが AWS を採用した一番の理由です。アプリについては低コストかつスケーラブルにできるサーバーレスアーキテクチャを採用することで、実証実験から本サービスへの移行をスムーズにできました」と語ります。

RiceTag プロジェクトでは、約 1 年半かけて AI の開発と実証実験を進め、2020 年 12 月に銘柄判定を実現しました。機械学習のモデルは、1 回に 1,000 ~ 1,500 枚の写真を使って作成し、合計 10 サイクルのモデル学習を短期間で繰り返すことで、認識精度を高めていきました。銘柄判定では撮影した画像 1 枚ごとの輪郭画像を作成し、銘柄の特徴をもとに米粒の形やサイズも加味しながら推論処理を実行しています。
「機械学習のモデル作成では、ヘプタゴンの SE と一緒に検査員が目視で検査する際に米粒のどこを見て、どのような基準で銘柄を判定しているか、目のつけどころを具体的に聞き取りながら共有し、確実に特徴が出ている部分を AI の判定に落とし込んでいきました。ヘプタゴンの SE には、何度も現場まで足を運んでいただき、ノウハウを深く理解してもらえたからこそ、精度の高いモデルを構築することができたと思っています」(川村氏)

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実証実験で青森・秋田の 8 銘柄を自動判定

検査員と同等以上の正答率を確認

2020 年 12 月までの実証実験では、青森県産 4 銘柄と秋田県産 4 銘柄の合計 8 銘柄の自動判定を実現。それらを無作為に抽出した判定テストでは、資格を有する検査員と同等以上の精度を得られることを確認しました。2021 年 9 月現在、銘柄自動判定アプリは、正式な銘柄検査の前に実施する補助的な役割として、同社の内部で利用しています。
「当社の検査員からは小さな米粒が AI で自動認識できることや高い正答率が得られることに驚きの声があがっています。今後、検査品質の向上や均質化、検査時における検査員の『間違えられない』というプレッシャーからの解放が期待されています」(川村氏)

現在の銘柄検査は、法律によって目視と決められているため、すぐに完全自動化とはいきません。現時点では、検査員のサポートツールとしての活用が想定されていますが、米の品質検査や等級検査などがすでに自動化されている流れの中で、いずれは銘柄検査も自動化の需要が高まり、法改正に向けた動きが出てくることが想定されます。そのため、同社の開発した銘柄自動判定アプリは業界に大きなインパクトを与えており、すでに外部のメーカーなどから複数の問い合わせが寄せられているといいます。
「銘柄の判定ミスは、取引先からの信頼を失ってしまいかねないため、あってはならないものです。銘柄自動判定アプリは、卸売業だけでなく、小売業から生産者まで、幅広く利用いただけると考えています」(川村氏)

全国各地の流通業者への展開に向けて判定可能な銘柄数の拡大を検討

今後の実利用に向けて、同社は 2021 年の米の収穫期となる 9 月から 11 月にかけて第 2 弾の実証実験に着手し、同社の試験場で実作業を想定した試験を繰り返しています。第 2 弾では、検体の判別精度をより高めることを目指すと同時に、スマートフォンを活用した簡易的な検査台を装備した撮影キットを開発し、誰でも均質かつ効率的に検査業務ができるように、実用化を意識した検証を進めています。

将来的には本格的なビジネス化に向けて自動判定できる銘柄の数を東北地方の銘柄、さらには全国の銘柄と拡大し、米の流通過程でより正確に銘柄チェックができるように開発を進めていくことを構想しています。

ヘプタゴンと進める RiceTag プロジェクトについて川村氏は「AI や IT の専門家でない私どもに対して、ヘプタゴンはていねいに説明していただけたため、安心してプロジェクトを進めることができました。地元の企業と高度なプロジェクトを進めることができたことも自信につながりました。引き続きアプリの開発を進めていきますが、さらなる支援をいただきながらビジネス化を推進したいと思います」と語ります。

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川村 航人 氏


カスタマープロフィール:株式会社 KAWACHO RICE

  • 設立: 2019 年 1 月 7 日
  • 資本金: 1,000 万円
  • 事業内容:産地プラットフォーム米穀卸として、生産から消費までの米流通を総合的にコーディネート

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 青森県産米と秋田県産米の合計 8 銘柄において、人間の検査員と同等以上の正解率を達成
  • 検査品質の向上と均質化が実現
  • 目視検査前のプレ検査で検査担当者の負担を軽減
  • 誰でも均質かつ効率的に検査業務ができるように、実用化を意識した検証を継続
  • 全国各地の流通業者への展開に向けて、さらなる精度の向上と判定可能な銘柄数の拡大を検討

AWS アドバンストコンサルティングパートナー

株式会社ヘプタゴン

東北では初となる AWS アドバンストコンサルティングパートナーに認定されたクラウド専業のインテグレーター。東北だけで 100 社 200 プロジェクト以上の AWS の導入実績を持ち、特に、中小規模の企業、サービス向けのインテグレーションサービスを得意とし、地方の企業がクラウドのメリットを存分に生かして事業・サービスを展開するための基盤作りをサポートしている。

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ご利用中の主なサービス

Amazon SageMaker

Amazon SageMaker は、すべての開発者やデータサイエンティストが機械学習 (ML) モデルを迅速に構築、トレーニング、デプロイできるようにする完全マネージド型サービスです。

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AWS Lambda

AWS Lambda を使用することで、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、コードを実行できます。料金は、コンピューティングに使用した時間に対してのみ発生します。

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Amazon DynamoDB

Amazon DynamoDB は、規模に関係なく数ミリ秒台のパフォーマンスを実現する、key-value およびドキュメントデータベースです。完全マネージド型マルチリージョン、マルチマスターで耐久性があるデータベースで、セキュリティ、バックアップおよび復元と、インターネット規模のアプリケーション用のメモリ内キャッシュが組み込まれています。

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AWS AppSync を使用すると、1 つ以上のデータソースからのデータに安全にアクセス、操作、結合するための柔軟な API を作成でき、アプリケーション開発がシンプルになります。AppSync は、GraphQL を使用してアプリケーションが必要なデータを正確に取得できるようにするマネージド型サービスです。

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