補聴器ユーザーへの質の高い顧客対応実現のため CRM と連携する AWS のコンタクトセンターサービスを導入
電話対応時間を従来比で 30% ~ 40% 削減

2021

小型補聴器専門店『ヒヤリングストア』を運営する株式会社リードビジョン。顧客に寄り添った対応を強みとする同社は、電子カルテや過去の履歴をもとに聞こえに関する課題をお持ちのお客様への高品質の電話対応を実現するため、全社で導入済みの顧客管理ツール(CRM)に連携するアマゾン ウェブ サービス(AWS)のコンタクトセンターサービス Amazon Connect の利用を開始。電話応対時間も従来比で 30% ~40% の削減を実現、顧客対応の質、店舗スタッフの業務効率も向上しています。

AWS 導入事例  | 株式会社リードビジョン
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Amazon Connect であれば、電話窓口業務の店舗間連携ができるため、電話があった店舗で対応できない場合でも、別の店舗で対応できます。CRM との連携もでき、コールセンターと同等のことができると思ったのが採用の理由です

清水 大輔 氏
株式会社リードビジョン 代表取締役

より質の高い対応を実現するために店舗の電話と CRM の連携を決断

自らが補聴器ユーザーでもある代表取締役の清水大輔氏が、「補聴器のイメージを変え、メガネのように当たり前に使える社会にしたい」という思いを込めて、2002 年に創業したリードビジョン。現在、オリジナル商品の見せない超小型補聴器を中心に取り扱う小型補聴器専門店『ヒヤリングストア』を都内に 8 店舗運営しています。同店の特徴は、顧客との接点を大事にしていることです。購入前に詳細なカウンセリングと聴力測定を実施し、無料のお試しレンタルを経て販売。販売後も 3 ヶ月に 1 度の音の微調整や定期メンテナンスで“より良い聞こえ”を維持しています。

高付加価値のサービスを提供するため、IT 化にも積極的で、早くから CRM である Salesforce を導入しています。Salesforce は「電子カルテ」として顧客の聴力データ、効果測定データ、顧客自身の主観的評価、過去の相談内容や応対履歴などを管理し、どの店舗でもどの従業員からでも質の高いサービスが受けられるようにしています。清水氏は「私たちの目標は、快適なコミュニケーションを提供し人々の幸せに貢献すること。そしてお客様の無くてはならない存在になることです。そのために、悩みごとはもちろん、お聞きしたことは差し支えない範囲で電子カルテに記録しています」と語ります。

一方、店舗にかかってくる電話の応対については、CRM で利用している Salesforce との連携はこれからの状態でした。自由が丘店 店長の三浦 悠水氏は「電話を受けたらそのまま紙に記録するか、余裕があれば店舗で保管している“紙”のカルテを探して対応していました。電話を受けたスタッフは過去のやり取りがわからず、後から担当者が折り返すこともありました」と語ります。

同社が 1 店舗で受ける 1 日の電話の問い合わせや相談の件数は約 30 件。その内容も 1、2 分で済む問い合わせもあれば、30 分に及ぶお悩みの相談もあります。電話を受けるスタッフは店舗での相談業務にも対応しているため、来店客の対応中に電話に出られなかったり、接客を中断せざるを得なかったりすることもありました。

別の店舗でも電話窓口対応ができる Amazon Connect の店舗間連携を評価

顧客対応品質の向上と電話業務の効率化に向けて同社はまず、専任のオペレーターを置くコールセンターを導入しました。ところが、店頭と同じレベルの専門性の高いサービス対応ができないと判断し、稼働から半日で断念。次なる策を模索する中で Amazon Connect を知り、PCI ソリューションズから提案を受けました。
「Amazon Connect であれば、電話窓口業務の店舗間連携ができるため、電話があった店舗で対応できない場合でも、別の店舗で対応できます。それであればコールセンターと同等のことができると思ったのが採用の理由です。加えて、PCI ソリューションズが Salesforce との連携の実績があり、私たちでも理解できるように丁寧に説明してくれたことが決め手になりました」(清水氏)

2020 年 11 月には PoC を実施し、電話機の代わりとなるヘッドセットについては、店舗での対応のため、両耳を塞ぐことが難しいことから、片耳ヘッドセットの音質や使い勝手をはじめ、インターネット回線の安定性、PC の性能まで、電話窓口の業務に対応できることを網羅的に検証しました。

その後、2020 年 12 月にプロジェクトをキックオフ。最初は担当者が在籍する吉祥寺店と自由が丘店の 2 店舗への導入を進め、2021 月 1 月よりサービスインしました。そこでの経験を活かして、2 月から 3 月にかけて残りの 6 店舗へと導入範囲を拡大しています。

開発時は、Salesforce との連携、Salesforce への着信番号の可視化、着信履歴管理など機能を追加。さらに、実店舗での利用に即して、ヘッドセットを接続した状態の PC でも着信音は PC のスピーカーから流れる機能を実装したり、着信店舗に応じて営業時間を流す機能を追加したりと、カスタマイズしています。PCI ソリューションズの根本 卓氏は「店舗スタッフの方のお客様対応がしやすくなるようにカスタマイズ開発を工夫しました」と振り返ります。

電話を受ける店舗のスタッフに対しては、電話から PC での受電に変わるため、本稼働前に導入教育を実施しました。稼働後の現在もミーティング等の時間を活用して操作の習熟を図っています。

相談履歴をもとに電話対応することで顧客対応の質が大幅に向上

Amazon Connect と Salesforce の連携により、着信段階で顧客情報がわかるようになった結果、顧客対応の質は大幅に向上しました。
「電話を受けた段階で、“○○様お電話ありがとうございます”という形で接客ができ、過去の対応履歴を見ながら会話ができるため、お客様には不安なく電話をかけていただくことができます。専任の担当者でなくても会話ができるので、スタッフの負担も軽減され、普段とは別の店舗でも気軽に相談を受けることができます。結果として、店舗や会社全体のファンになってもらうことができ、お客様との関係もより深くなりました」(三浦氏)

スタッフの業務効率も向上し、電話対応の時間は従来比で 30% ~ 40% の削減が実現しました。結果として電話を取る件数も増えました。電話窓口業務が全店舗連携したことで、店舗のスタッフが接客中で電話に出られない場合は別店舗のスタッフが対応できるようになりました。

社内の IT 化は、従業員のモチベーションの向上にもつながり、事業の成長エンジンになると、清水氏は次のように期待を寄せています。
「補聴器業界は、全体的に IT 化が遅れている業界です。その中で、いち早く Amazon Connect と Salesforce を導入することで、従業員には当社の企業理念を実現するための夢を持ってもらうことができ、よりよいサービスの発想にもつながります。2040 年まで高齢者が増加し続ける少子高齢社会の日本ですが、補聴器の普及率はわずか 14% で、まだまだ成長の可能性があります。5 年後 10 年後を見据えた取り組みを進めていくうえでも、IT サービスの活用は非常に重要です」

フリーダイヤル着信を全店に拡大し電話応答率のさらなる向上へ

今後は、特定の店舗のみで対応しているフリーダイヤル番号からの着信を全店舗に拡大し、どの店舗でもフリーダイヤルの電話が取れるようにする予定です。また、クラウドサービスならではの拡張の容易性を利用して、2021 年 9 月オープンした横浜店にも展開し、計 9 店舗での利用となります。
「フリーダイヤルの全店舗対応ができれば応答率はさらに高まり、顧客満足度の向上や売上げの拡大にも貢献できると考えています。既存のお客様についても、Salesforce との連携機能を活かして関係性を築き、聞こえを通じた QOL の改善に応えていきます。そのためにも、AWS と PCI ソリューションズには、Amazon Connect が普通の電話機のように意識することなく使えるよう、使い勝手を高めてもらうことを期待しています」(三浦氏)

清水 大輔 氏

三浦 悠水 氏


カスタマープロフィール:株式会社リードビジョン

  • 設立: 2002 年 12 月
  • 資本金: 5,000 万円
  • 事業内容:補聴器、聴覚関連機器の販売、小型補聴器専門店『ヒヤリングスト
    ア』の運営

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 電話対応時間を従来比で 30% ~40% 削減
  • 過去の対応履歴に基づく電話対応の実現
  • 電話窓口業務の店舗間連携の実現
  • フリーダイヤルの全店舗拡大を検討

AWS セレクトコンサルティングパートナー

PCI ソリューションズ株式会社

大規模業務システムから電子機器の組込み開発まで幅広いニーズにお応えする AWS セレクトコンサルティングパートナー。Amazon Connect を中心にコンタクトセンターシステム開発やサーバーレスシステム開発といったクラウドネイティブなソリューション展開を得意としている。


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