Amazon Aurora への移行で Oracle のライセンスコストはゼロになりました。
運用工数なども含めると、年間で約 1,000 万円の削減効果です。

 

佐藤 哲朗 氏 株式会社マクロミル デジタル・マーケティングプロダクト開発部 GlobalAccessMill・Open プロダクト開発ユニット長

 

高度なテクノロジーを駆使した革新的なツールの活用により、顧客のマーケティング課題に応えるさまざまなソリューションを提供するマクロミル。同社は、サービス向上とコストの最適化に向けて 2013 年にリサーチサービスを支えるシステムのクラウド移行に着手しました。システムの核となるデータベースの多くは、オンプレミス環境で稼働していましたが、そのコストと運用面の負荷が大きな課題となっていました。

「その 1 つが、会員管理機能とアンケート機能を備えた独自のアンケート ASP サービス『AIRsMEMBERS (エアーズメンバーズ)』でした。バックグラウンドで利用している Oracle Database のライセンスコストと運用・保守の負担が大きく、またデータ量が年々増えていく中で拡張性や耐障害性にも課題がありました。そこで、システム基盤を AWS に切り替えるタイミングでデータベースの移行も検討課題となりました。」と語るのは、マクロミル デジタル・マーケティングプロダクト開発部 GlobalAccessMill・Open プロダクト開発ユニット長の佐藤 哲朗 氏です。

データベース移行においては、ライセンスコストと障害時の対応の 2 つがポイントとなり、複数のサービスを検討する中から Amazon Aurora の採用を決めました。その理由について佐藤氏は「MySQL と互換性があり、データベースのライセンスコストがゼロであること、運用保守にかかる負担が軽減できる完全マネージド型サービスで障害発生時の復旧が早いことです。」と話します。

 

システム構成図

Amazon Aurora と AWS DMS の組み合わせた新たなビジネス基盤は、マクロミルが2017年4月にリリースしたデジタルマーケティングプラットフォームにも用いられています。「当社は、グローバル×デジタルマーケティングをキーワードに新たな価値を提供していくことに注力しています。お客様の要望が多様化している中、これまで単独で稼働していた意識(アンケート)データ、Web 行動データ、購買データなどを融合し、埋もれているデータの価値を見出すことが求められていました。そこで、当社の Web 行動データビッグデータ基盤の『GlobalAccessMill』、アンケート調査システムの『AIRs3 (エアーズスリー)』、購買調査システムの『MHS』を統合した分析基盤を構築し、より質の高いリサーチサービスの提供を目指しました。」と語るのは、マクロミル デジタル・マーケティングプロダクト開発部長の遠藤直子氏です。

システム統合は、一番リスクの少ないデータのみを分析基盤に同期する方策を採用しました。データベースに Oracle を採用している 『AIRs3』、Amazon RDS を採用している 『MHS』、Amazon Aurora を採用している 『GlobalAccessMill(Lognos)』 と異なる3 つのデータを統合するにあたり、それぞれが保持しているデータが既に数TBある事と将来的にもデータ量や種類も増える事を想定し、最大64TBまでスケールできる『GlobalAccessMill』上の Amazon Aurora に集約し、データ移行手段は AWS DMS を採用しました。

「リアルタイムでのデータ同期が可能なこと、現行システムやデータベースへの影響が小さいこと、ライセンスコストがかからないことなどを考慮するとデータ移行の選択肢は AWS DMS しかありませんでした。」(佐藤氏)

プロジェクトは 2016 年 6 月に始まり、2017 年 2 月には 3 つのシステムが融合したデジタルマーケティングプラットフォームの構築が完了しました。

「AWS DMS を活用することで、既存システムに影響を与えることなく、各システムのデータ統合が実現しました。」(佐藤氏)

2017 年 4 月にはデジタルマーケティングプラットフォーム上のデータを可視化するダッシュボード機能をベータ版としてリリースし、『GlobalAccessMill』 の一部のユーザーに公開しています。将来的には正規版を全ユーザーに公開していく計画です。

「デジタルマーケティングへの期待が高まる中、意識データや購買データを掛け合わせた広告効果が測定できる新たなツールを広告配信事業者などに提供可能になったことが今回の大きな成果です。これによってお客様の満足度が高まり、当社のリサーチサービスの活用の拡大につながることを期待しています。」(遠藤氏)

また、今後もビッグデータ分析基盤や、各種分析基盤の強化を続けていく方針です。佐藤氏は「サーバーレスのクエリーサービス Amazon Athena、Hadoop フレームワークAmazon EMR、フルマネージド型 ETL サービス AWS Glue などを活用しながら、利用者が使いやすいサービスを提供していきたいと考えています。」(佐藤氏)

 

AWS スタンダードテクノロジーパートナー
株式会社インサイトテクノロジー

1995 年よりデータベースを専門にサービスを展開。2016 年より AWS テクノロジーパートナー。長年培ったデータベースに対する知見とノウハウをもとに、AWS でも移行コンサルティングサービスをご提供。テストから本番までの移行計画をご提案し、AWS へのデータべース移行を成功に導きます。


AWS クラウドのデータベースサービスが企業でどのように役立つかに関する詳細は、AWS が提供するクラウドデータベースの詳細ページをご参照ください。