株式会社みんなのウェディングは、「みんなの『大切な日』をふやす」を経営理念として掲げ、花嫁・花婿の視点に立った口コミ情報等結婚関連情報提供事業を行っています。“ユーザーファースト”の視点を徹底し、実際に結婚式を挙げた方の本当の声(口コミ)や実際の費用明細を掲載することで、ユーザーにとって結婚式の“本当”を伝えて納得のいく結婚式に出会えることをサービスの一番の目的にしています。サービスは 2008 年より開始し、現在では月間 300 万を超える UU 数を獲得しています。

当社のようなインターネットサービス企業にとって、ユーザーの利便性を徹底的に追求し、ユーザーから支持されるサービスづくりをすることが非常に重要となっています。そのためには、アプリケーション開発の俊敏性を高め、素早く改善サイクルを回していける体制づくりをしなければならないという課題がありました。

サービスの根幹にあるインフラストラクチャも同様です。その時のニーズにあわせて、柔軟にサーバー資源を確保したり構成することが容易でなければなりません。にもかかわらず、AWS 導入以前に利用していた環境では料金体系や納期の関係で簡単にサーバーの追加や廃止ができなかったため、サービス改善のボトルネックになりかねないという状況でした。

柔軟なサーバー資源の確保、構築環境を実現するために、いくつかのクラウドサービスを検討していった結果、AWS が最も最適であると判断しました。

AWS はクラウド市場におけるマーケットリーダーであり、ソリューションアーキテクトからの情報発信やユーザーグループ活動なども活発で、成熟したノウハウが入手しやすいという点を評価しました。また、AWS クラウドを徹底的に活用してアプリケーション構築や運用をする経験が、当社エンジニアの今後のキャリア形成にとって、大きくプラスになるだろうという考えもありました。

AWS への移行を決定したことをきっかけに、ソースコードによるインフラストラクチャ管理(インフラストラクチャー・アズ・コード)の手法を取り入れ、AWS でのインフラストラクチャ構築を開始しました。メンバーにとっては始めての経験であったものの、外部の経験豊富な人材による支援を受けることができたため、設計・構築からテストも含めて、およそ 3 ヶ月で環境移行を完了することができました。

当社のサービスは、Linux や MySQL、Perl、Ruby といった OSS を中心に構成されています。今回の移行で MySQL サーバーを、Amazon RDS for MySQL へと移行しました。当社のように専任のデータベース管理者を置いていない企業にとって、このようなマネージドサービスは運用コストを下げることができるため、今後も積極的に活用していきたいと考えています。

今回の移行では、単純に AWS へサーバーを移行するだけでもコスト削減が可能でしたが、今後リザーブドインスタンスの購入や一日のアクセスの増減に合わせたサーバー台数の最適化をしていくことで、さらにインフラストラクチャのコスト削減していくことができると見込んでいます。

今後も当社に適したマネージドサービスなどがあれば随時検証のうえ、活用していきたいと考えています。また、サーバレスアーキテクチャなど AWS が発信する動向についてもキャッチアップし、最適化されたインフラストラクチャー構築を目指していきます。

AWS を導入する際に学んだこととして、既存の環境を単純に AWS に移しかえるだけでは、AWS 導入のメリットは少ないものになってしまうということです。クラウド環境の恩恵を享受するためには、クラウドで培われた方法論をよく研究し、自社に適したやり方で導入することをおすすめいたします。

 

- 株式会社みんなのウェディング 技術開発本部 本部長兼 CTO 高井 直人 様