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顧客一人ひとりに最適化した保険商品やサービスを提案する
AI を活用した代理店システム『MS1 Brain』を AWS 上に構築
顧客体験価値の向上と営業生産性の向上を実現

2021

「立ち止まらない保険」を掲げ、日々挑戦を続ける三井住友海上火災保険株式会社(以下、三井住友海上)。中期経営計画の重点課題にデジタライゼーションを掲げる同社は、AI を活用した代理店システム『MS1 Brain』をアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に構築しました。『MS1 Brain』により、顧客の契約内容、契約履歴、事故情報などのビッグデータからニーズやリスクの変化を察知し、一人ひとりに最適化した保険商品やサービスを代理店の営業担当者にリコメンドすることが可能になり、顧客体験価値の向上や営業生産性の向上が実現しました。

AWS 導入事例  | 三井住友海上火災保険株式会社
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お客さまニーズが変化していく中、保険販売の手法もアジャストしていくことが求められています。AWS 上に構築した『MS1 Brain』は、AI を利用して代理店が自らの意識変革を図りながら、代理店活動のデジタルトランスフォーメーションの推進に貢献しています

松村 隆司 氏
三井住友海上火災保険株式会社
デジタル戦略部 部長(開発担当)

ビッグデータを AI が分析し最適なアクションを通知する『MS1Brain』

MS&AD インシュアランスグループの中核企業として日本の損害保険業界をリードする三井住友海上。2018 年度から開始した中期経営計画『Vision 2021』では、柱の 1つにデジタライゼーションの推進を掲げ、業務プロセスの改革に取り組んでいます。

その一環として AI を活用した代理店支援システム『MS1 Brain』を開発し、2020 年 2月より稼働を開始しました。「保険事業の高度化を推進するデジタル戦略部のミッションは、デジタルによる顧客体験価値の向上と、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)の強化です。その中で顧客との重要な接点となる代理店に着目し、データを活用した新サービスとして『MS1 Brain』を企画しました」と語るのは、デジタル戦略部 部長の松村隆司氏です。

『MS1 Brain』は、全国約 3 万 6,000 の代理店の担当者約 100 万人が利用している業務支援システムの画面右下に、AI ロボットが常駐する形で提供されます。三井住友海上や代理店が持つ顧客情報、事故情報、家族構成の変化などのビッグデータを『MS1 Brain』で分析し、有益な情報や代理店が取るべきアクションをプッシュ通知する仕組みです。主な機能としては、顧客ニーズの予測分析、提案活動における最適なアクション提示、AI が導き出した最適な保険プランを説明するパーソナライズド動画、販売計画の策定を支援する代理店経営者向けのサポートの 4 つがあります。デジタル戦略部 部長の中村繁保氏は次のように語ります。
「従来の保険提案は、担当者の KKD(カン・経験・度胸)に頼る部分が多く、生産性の向上が課題となっていました。そこで『MS1 Brain』では CRM(顧客管理)をベースに、SFA(営業支援)の機能を追加しました。営業活動は、AI の示唆を参考にすることで飛躍的に効率が上がります。AI に冷たいイメージを持たれる方もいますが、人と協調しながら営業ができるように“デジタライゼーションに、体温を”をコンセプトに開発しました」

導入から 1 年で利用率は約 70%

試行錯誤しながら活用レベルの向上へ

『MS1 Brain』の稼働から 1 年弱が経った 2020 年 11 月末現在、利用率は約 70% に達しています。
「『MS1 Brain』から得た情報をもとに保険商品を提案する担当者、最新ニュースを営業活動に活かす担当者など、使い方は人によりさまざまです。当初はアクセス率や機能別の利用率を代理店側に公開し、少なくとも 1 日 1 回はアクセスするように呼びかけて、『MS1 Brain』の良さを知ってもらうことに注力していました」(中村氏)

現在は真の活用段階へ移行しており、今後は営業活動にいかに有効活用したか、評価していく考えですが、確実に言えるのは、営業手法の進化に追随するツールとして欠かせない存在になっていくということです。
「After コロナでお客様ニーズが変化していく中、保険販売の手法も変化が求められています。代理店や担当者は分析力を高めていく必要があり、AI を利用して意識変革を図っていくことがまさにデジタルトランスフォーメーションです」(松村氏)

顧客情報を扱う金融機関に求められるセキュリティ基準を評価して AWS を採用

『MS1 Brain』のシステム構築に際しては、インフラ基盤に AWS を採用しました。MS&AD システムズ株式会社 デジタルシステム本部の坂本信寛氏は次のように説明します。
「元々は 2016 年に検討した CRM のデータ分析の環境を、クイックに立ち上げる目的で AWS を採用したのが始まりです。その後、AWS の今後の拡張性を見据えて、オンプレミス同様のセキュリティ基準を満たすための整備を行い、今回のプロジェクトを AWS にて構築することとなりました。」

金融機関として重要データを預かる三井住友海上にとって、それまではオンプレミスを採用していました。そうした中で、AWS の選択に踏み切ったのはセキュリティレベルの高さと、新機能の充実にありました。MS&AD システムズ株式会社 デジタルシステム本部 副本部長の木之下圭氏は次のように語ります。
「AWS を採用した一番の理由は当社の標準セキュリティ基準に対応できることでした。加えて過去に例のないサービスを提供するにあたり、AWS の新サービスを利用しながら機能拡張ができることも魅力的でした」

『MS1 Brain』の中核となる機械学習のプラットフォームは、ビッグデータ解析用の Amazon EMR とデータウェアハウスの Amazon Redshift を組み合わせた大規模分析基盤と、Amazon EC2 上に dotData 社のデータ分析ソフトを導入した汎用分析基盤の 2 つで構成しています。dotData は専門知識を持つデータサイエンティストが行ってきたデータ準備、機械学習、分析結果の説明までを自動化することで、数ヶ月を要する分析プロセスを数日に短縮することを可能にした自動化 AI です。dotData の導入は NEC がサポートし、『MS1 Brain』を構成するその他の機能と連携しながら開発を進めました。NEC 金融システム開発本部 主任の松本金市氏は「AWS の採用で大規模な分析基盤の構築でも短期間に大量のサーバー調達ができ、エンジニアはインフラ設計から解放されて dotData の開発や品質向上に集中することができました」と語ります。

開発期間をオンプレミス比で半分に短縮

AWS の拡張性を活かして新機能を追加

三井住友海上が AWS を採用して得られた最大の効果は、システム構築期間を大幅に短縮できたことと、拡張性を手に入れたことです。
「『MS1 Brain』の開発期間は 1 年半ですが、すべてオンプレミスで開発していたら 2 倍の 3 年はかかっていたはずです。オンプレミスではインフラの運用負荷もかかり、5 年単位の更新も発生しますが、AWS の導入で更新対応や保守からも解放されました」(木之下氏)

同社では今後も顧客体験の向上に向けて、『MS1 Brain』の機能拡張を継続していく予定です。
「AWS によって、新しいチャレンジがクイックにできるようになりました。この柔軟性を利用して、例えば、AR(拡張現実)を用いたサービスや、音声を用いたサービスなど AWS が提供する新技術を用いたさまざまなビジネスチャンスに対して、システム部門としてサポートしていきたいと考えています」(坂本氏)

ビジネス面でもデータを活用した新たなビジネスモデルを模索中で、今後は分析データの大容量化や、分析の精度向上に取り組んでいきます。
「保険に関する契約情報、コールセンターに寄せられるお問い合わせ情報、企業や公共機関が公開している情報など、データの数と種類は大幅に増えています。今後はデータレイクを構築してあらゆるデータを蓄積し、各種データを掛け合わせながら社会に貢献する価値の創出を目指していきます。『MS1 Brain』はそのきっかけとなるものですので、AWS と NEC には継続的な支援を期待しています」(中村氏)

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松村 隆司 氏

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中村 繁保 氏

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木之下 圭 氏

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坂本 信寛 氏


カスタマープロフィール:三井住友海上火災保険株式会社

  • 設立年月日: 1918 年 10 月 21 日
  • 資本金: 1,395 億 9,552 万円
  • 正味収入保険料: 1 兆 5,479 億円(2020 年 3 月末現在)
  • 従業員数: 14,371 人(2020 年 3 月末現在)
  • 事業内容:各種損害保険の引受、損害の調査、保険金の支払、新保険の開発、再保険、資産運用など

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 開発期間をオンプレミスと比べて半分(1 年半)に短縮
  • データの増加に対する拡張性の確保
  • インフラの更新対応や保守からの解放
  • AR(拡張現実)や音声を用いたサービス追加を検討
  • データビジネスの拡大に向けたデータレイクの構築を検討

AWS プレミアコンサルティングパートナー

日本電気株式会社

NEC は、安全・安心で効率・公平な都市実現を支える NEC Safer Cities と、人・モノ・プロセスをバリューチェーン全体で共有し新たな価値を生み出す NEC Value Chain Innovation の提供に取り組んでいる。プレミアコンサルティングパートナーとしての実績、経験を活かし、お客様のデジタルトランスフォーメーションの実現をサポートしている。

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