「SSL サーバー証明書やクライアント証明書を利用することなどで
厳しいセキュリティ基準をクリアでき、オンプレミスで運用していた
「バス整備管理システム」を AWS 上に移設することが可能になりました。」

矢野 良彦 氏 西鉄エム・テック株式会社 営業本部 IT 技術主幹 兼 開発部長

旧西日本鉄道の自動車整備事業部門と、旧西鉄モータースが経営統合して 2004 年に誕生した西鉄エム・テック。「クルマ」に関するすべてをサポートする企業として、バスの点検・整備、小型・大型車両のメンテナンスのほか、新車・中古車の販売、生命保険・ 損害保険の代理店事業、バス IT システム開発などを手がけています。

主力のバス整備事業では、福岡県を中心とする約 40 の整備工場で、西日本鉄道、西鉄バス北九州、西鉄バス筑豊など、グループのバス会社が保有する約 2,800 台の車両整備を担当しています。車両マスターや車検の実施状況は、スクラッチで開発したシステムで管理していたものの、整備内容、路上故障の状況、使用燃料の実績は整備工場が個々に Excel ベースで管理していたため、 データ集計や確認に手間を要していました。整備工場単位の管理では、データが分散し、集計も容易でないために故障の傾向なども分析できません。

そこで、車両管理、整備計画、整備実績、故障 管理、燃料集計の 5 つを統合管理する「バス整備管理システム」の構築を検討。株式会社 NTT データ九州の協力を得て開発し、 2016 年 10 月からオンプレミス環境で稼働を開始しました。「バス整備部の役割は、 3 ヶ月に一度の法定点検、12 ヶ月に一度の車検、当社の安全基準に則り独自に定めた 1 ヶ月点検のスケジュール管理を徹底し、車検切れを起こさないようにすることです。そこでバーコード入力に対応した新システムを導入することで管理を自動化し、現場の負担と入力ミスを軽減しました。」と語るのは、営業本部 IT 技術主幹 兼 開発部長の矢野良彦氏です。

全整備工場の情報を一元管理することで技術管理課では情報共有が可能になり、不具合箇所の改善に活かせるようになりました。バス整備部 技術管理課 技術管理係 係長の長野洋一氏は「初めて経験する故障や不具合も、蓄積したデータから類似の事象を探すことで、素早く対処できます。過去の故障を踏まえて部品の交換時期を計画することが容易になりました。」と語ります。実務を担当するバス整備部 技術管理課 技術 管理係 主任の福島正浩氏も「燃料の使用量と走行距離から割り出す燃料集計の業務は、従来は丸一日かかることがありました。システム導入によって自動化され、集計業務が約半日に削減されました。」と話します。

同社では「バス整備管理システム」を、2017 年に開催された全国のバス技術者が集まるイベントで発表しました。すると同様の悩みを抱える他社から「話を聞きたい」という反響が数多くありました。そこでバス整備管理システムをサービス化し、同業他社に提供することを検討開始しました。ところが、管理サーバーは西鉄グループのネットワーク内にあるため、セキュリティ上外部に公開することはできません。そこでクラウドサービスとして提供することを決断しました。開発部 開発課 開発係 係長の石田直幸氏は「利用会社の増加に合わせてサービスを展開していくため、リソースの拡張が容易なクラウドサービスの中でも最も実績がある AWS を採用しました。」と語ります。

とはいえ、重要情報を管理するシステムを、 外部の AWS 上に置くことに全く不安がなかったわけではありません。そこで NTT データ九州の支援をもとに、セキュリティ対策を施しました。開発部 開発課 開発係 主任の西村宏二氏は次のように語ります。「SSL サーバー証明書を利用して通信を HTTPS 化し、さらにクライアント証明書を導入して端末単位のアクセス制御をすることで、セキュリティを確保しました。サーバーについてもそれぞれセキュリティグループを設定して必要最低限の通信以外は 通さないようにしています。」

サービス基盤は、Amazon EC2 と Amazon RDS for PostgreSQL で 3 層のネットワークを構成しています。サーバーのリソースやスペックは、既存のオンプレミス環境に合わせる形でサイジングを実施し、 Amazon EC2 の料金はオンプレミスの稼働実績をもとに固定料金で割引になるリザーブドインスタンスを採用してコストの最適化を図りました。

導入を支援した NTT データ九州に対して 西村氏は「クラウドサービスの経験がない私たちとって、Amazon RDS を用いたデータベースの構築や、証明書を用いたセキュリティ対策など、さまざまな面でサポートいただきました。」と振り返ります。

AWS への移行により、それまでインフラ障害に対応していた開発部の負荷が軽減されました。コスト面でもオンプレミスと比較し、費用削減効果があると試算しています。 「オンプレミスの時は、データセンターからエラー通知があると、時間帯を問わず現場に駆け付けて対応することが何度かありましたが、AWS の導入でそれもなくなりました。コスト面の効果はもちろんですが、 ハードウェアを資産として持たなくてよくなった安心感が大きいと感じています。」 (石田氏)


 

今後については、AWS 上の「バス整備管理システム」の機能を拡張し、より多くの情報が一元管理できるように進化させていく方針です。

「現在は車両の整備情報の管理が主体ですが、修理部品の在庫まで同一システムで管理ができれば新たな付加価値が提供でき、 整備業務の効率化につながります。また、経理システムなどとも連動させることで業務は効率化され、働き方改革にも貢献できるのではないかと思います。」(矢野氏)

もう 1 つの強化ポイントは、各整備工場から取得した整備計画、整備実績、路上故障、バス燃料などのデータを用いた分析の強化です。約 2,800 台のバスから得られた膨大なデータをもとに、メーカー別、型式別の故障原因を分析したり、燃料データをもとに燃費の向上を検討したりすることが考えられるといいます。さらに、バス車両の内外に IoT センサーを設置し、これらのデータを分析することも研究中です。石田氏は「ビッ グデータの分析には機械学習の技術が必要となってくると思います。今後は、機械学習についても可能性を探っていきたい。」と話します。

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矢野 良彦 氏

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石田 直幸 氏

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長野 洋一 氏


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