導入事例 / 金融サービス

2023
野村ホールディングス株式会社

野村ホールディングス、「人とデジタルの融合」に
向けて証券営業向けデジタルプラットフォームを
構築し、スピーディなサービス提供を実現

野村ホールディングス、「人とデジタルの融合」に向けて証券営業向けデジタルプラットフォームを構築し、スピーディなサービス提供を実現

2 週間

機能・サービスの開発サイクル

24 回

8 か月間でのアップデートの実施回数

約 9 割

オンライン相談実施後の顧客満足度

人とデジタルを融合した営業活動の実現

概要

金融グループ国内大手の野村グループ。その中核であり証券グループ国内最大手となる野村證券株式会社では、DX 戦略で掲げる“デジタル技術を活用したサービスの提供”に向けて、『野村デジタルプラットフォーム』(以下、NDP)をアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に構築し、オンライン相談や、資産運用アプリ『NOMURA』などのサービスを提供しています。マイクロサービスアーキテクチャの採用により開発の柔軟性が向上し、短サイクルの機能強化が可能になりました。

ビジネスの課題 | 人とデジタルを融合した営業環境の整備

世界 30 か国・地域で事業を展開し、営業部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門他が横断的に連携しながら、国内外の顧客に付加価値の高い商品・サービスを提供している野村グループ。現在、“社会課題の解決を通じた持続的成長の実現”を経営ビジョンに掲げ、DX 戦略としてサービスや業務のデジタル化を推進しています。「クラウド活用は当社グループの ITの重要テーマの 1 つであり、重点を置いて活動しています。本格的に AWS を利用開始した 2019 年当初は、IaaS としてのクラウド利用に留まっており、ハードウェア更改やキャパシティの懸念からは解放されましたが、システム開発はオンプレの頃と変わらず、ビジネススピードへの追従という観点では恩恵が得られておりませんでした。この課題を解決するため、コンテナや API、マイクロサービスを活用した、新たなプラットフォームとして、2020 年に NDP を構築しました」と語るのは、野村ホールディングスグループ・ IT 戦略部長の山藤健氏です。

野村證券の営業部門では、インターネットやスマートフォンの普及が進む中で、顧客接点の拡大が課題となっていました。野村證券 マーケティング部 デジタル・プラットフォーム課長の花沢佳緒里氏は「当社の強みは、face to face の営業活動にあるものの、今やデジタルを活用しなければ効果的な営業ができません。そこで、人とデジタルを融合した営業環境を整備することにしました」と語ります。

野村證券 リテール IT 部 IT 戦略二課長の佐々木智之氏は次のように語ります。

「さまざまなデジタル施策を企画・推進する中で課題となっていたのが、既存のバックオフィスシステムでした。同社は 2013 年に、基幹システムを SaaS 型サービスの『THE STAR』に移行しています。『THE STAR』は、口座開設、注文・決済、営業日報などの機能を持つ共同利用型のシステムで、多くの証券会社に導入されています。安価なコストで利用ができて安定性が高く、一般的な証券業務では申し分のないシステムであるものの、当社独自の機能を追加するには必ずしも自由度の高いものではありませんでした。そこで、独自サービスをスピーディに提供するために、新たなフロント基盤となる NDP を活用することにしました」

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開発サイクルを短期化してセキュリティを担保しながら、お客様のニーズの変化にもアジャイルに対応できているのには、AWS で構築した基盤あってこそだと実感しています”

沼田 薫 氏
野村ホールディングス株式会社 執行役員 デジタル・カンパニー兼営業部門マーケティング担当

ソリューション | 短期間のリリースに向けてマイクロサービスを採用

野村ホールディングスとしては 2017 年から AWS を利用しており、すでにグループ内で 170 システム以上が AWS 上で稼働しています。そのため、NDP のプロジェクトでも AWS が選ばれました。野村ホールディングス グループ・ IT 戦略部 グループ・クラウド戦略課長の加治勝張氏は次のように語ります。

「AWS を採用した理由は、トップクラスのシェアと、金融機関での豊富な実績です。安定的に金融サービスを提供するために、事業の継続性やセキュリティも重視しました。2019 年には AWS 利用におけるセキュリティルールを整備し、グループ内で本格的な利用を開始しています」

NDP の構築プロジェクトは、2019 年 7 月にキックオフ。設計、構築、テストなどを経て 2020 年 5 月にリリースしました。

アジリティを高めるためにコンテナ、サーバーレスサービス、マネージドサービスを活用し、機能群をマイクロサービス化してAPI 連携するクラウドネイティブなアーキテクチャとしています。

「NDP 上では、さまざまなシステムを運用することから、短期間でリリースできるようにマイクロサービスを採用しました。株式という商品を扱う業務性格上、市場の変化に応じて必要な IT リソースが確保できるように、オートスケールを意識して構築しました」(佐々木氏)

開発体制もウォーターフォール型からアジャイル型に移行し、2 週間サイクルのスクラム開発で機能やサービスをデプロイできる体制を新たに構築しました。

アーキテクチャ

導入効果 | アジャイル開発により 2 週間に 1 回の頻度で機能をアップデート

NDP の構築後、最初にリリースしたサービスが、顧客の資産残高や推移などをオンライン相談によってフォローする『保有資産レポート』と、オンラインサービスの利用者の主に富裕層向けに情報を提供する『オンラインプラス』です。

「加えて 2021 年 4 月、新型コロナウイルスにより対面でのフォローや提案が難しい時期にオンライン相談のサービス提供を開始しました。お客様の大切な資産の提案になるため、一般的な Web 会議システムよりも安全性の高い NDP 上で開発しています。これは、コロナ渦になる前からサービス企画していたからこそ、お客様の接点が難しいタイミングでサービス提供することができました」(花沢氏)

オンライン相談の実施後、毎回行っているアンケートでは、約 9 割のお客様が“満足”と回答するなど、期待どおりの成果をあげています。野村證券 マーケティング部 デジタル・プラットフォーム課の武井悠輔氏は次のように語ります。

「オンラインでも対面と変わらないクオリティで相談対応ができるので、高い満足度を維持することが可能となっています。パートナー(営業員)にとっても、移動時間をお客様対応に当てることができ、時間効率が向上しています」

2022 年 4 月には、スマートフォン専用の資産運用アプリ『NOMURA』をリリースしました。アプリはリリース後も 2 週間に 1回の頻度で機能アップデートを繰り返しながら、日々進化を続けています。

「『NOMURA』アプリは、お客様インタビューをもとに開発した、投資情報の収集や資産管理ができるアプリです。リリース後もパートナー(営業員)の意見を聞きながら日々改善を重ね、8 か月間で 24 回のアップデートを実施済みです」(武井氏)

AWS のサーバーレス / マネージドサービスを用いて NDP を構築したことで、開発効率は飛躍的に向上し、開発のノウハウもチーム内に蓄積されてきました。今後は今回の実績を野村グループにも横展開していく構想を描いています。

「500 万ものオンライン口座を持ち、重要な資産情報を扱っている野村證券がセキュリティを担保しながらマイクロサービス化やアジャイル開発を実現できたことはグループにとって大きな成果です。この成果を生かしてグループ企業でも DX を推進していくことを考えています」(加治氏)

2022 年 7 月には、別の開発チームがグループ向けの新たなフロント基盤として『クラウドネイティブプラットフォーム』(以下、CNP)をリリースしました。インターネットへの直接アクセスや外部ベンダーのアクセス経路を厳しく統制している NDP に比べて、CNP はオープンな環境で外部ベンダーとの協業や連携をしやすくしたものです。今後、クラウドを活用するサービスは、多く出てくると思いますので、NDP と CNP、2 つのプラットフォームを適材適所で使い分けながら開発を進めていく計画です。

「AWS をはじめとしたクラウドサービスなしには、お客様のニーズに合わせてダイナミックに変化していくサービスは実現できないと考えております。これからも AWS には当社のチャレンジを支えるビジネスパートナーとしてサポートをお願いしたいと考えています」(山藤氏)

企業概要 野村ホールディングス株式会社

1925 年(大正 14 年)12 月に株式会社大阪野村銀行の証券部から分離して設立。2001 年に持株会社への移行し、野村ホールディングスを設立。傘下に野村證券、野村アセットマネジメント、野村信託銀行などのグループ会社を有し、グローバルでネットワークを形成する。

山藤 健 氏

加治 勝張 氏

佐々木 智之 氏

花沢 佳緒里 氏

武井 悠輔 氏

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