導入事例 / 不動産

2023

オリコフォレントインシュア、AWS を採用し急増する契約や法改正にも柔軟に対応できる電子契約システムを構築、加盟店業務も 7 割削減

運用保守作業の大幅な軽減

柔軟性・可用性の高いモダンなアーキテクチャ

法改正への迅速な対応

申込・契約にかかる業務の負担の軽減

概要

不動産業界で賃貸保証サービスを提供するオリコフォレントインシュアは、サービス利用者の急激な増加、基幹システムの老朽化に対応するため全社的なクラウド移行を決断し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用。システム構築を段階的に進めるなか、法改正への対応が急がれた電子契約システムを優先して構築し、CI/CD で開発体制を整えて柔軟性、俊敏性に優れたシステムを実現。従来の紙の契約に比べて契約書等の事務処理時間は半分以下、また加盟店の郵送などに付随する業務も 7 割の削減を実現しています。

ビジネスの課題 | 事業環境の変化に耐えうる次期システムの構築

オリエントコーポレーションのグループ会社であるオリコフォレントインシュアは、賃貸住居を借りる際に同社が連帯保証人の代わりとなって物件の契約ができる「賃貸保証サービス」を提供しています。近年、少子高齢化が進むなかで住居を借りる際に保証人を見つけることが難しくなっている上、2020 年 4 月の民法改正により保証のルールが追加されて保証人となるハードルが上がったことから、賃貸保証サービスの利用者が急速に拡大。2018 年ごろには賃貸借契約の 5 割程度だったものが現在は 8 割ほどまで利用されるようになっています。そのため、契約業務の効率化はオリコフォレントインシュアにとっても喫緊の課題でした。

「保証事業が急激に成長し、また事業統合等も行ったことから、2018 年から 2020 年にかけて単月あたりの契約件数が 3 倍以上に膨れ上がりました。そしてオンプレミスで構築していた従来システムの更改時期が迫ってきたため、より柔軟で俊敏性に優れた次期システムの構築を検討しました。さらに、2021 年のデジタル改革関連法施行と 2022 年の宅建業法改正によって、不動産契約の電子化が解禁されることもあり、この対応に向けてクラウド化を進めることにしました」と、同社の営業統括本部 営業企画部 部長の野本秀彦氏は語ります。

従来のシステムはハードウェアの運用保守の負担が大きく、データベースのライセンス費用など大きなコストもかかっていました。クラウドサービスであれば、上手に活用することでコストを最適化できるうえ、各種マネージドサービスを活用することで可用性を高め、BCP 強化も推進できます。急激に増大する契約数に加え、新たに電子契約にも対応するにあたって、柔軟性・俊敏性の高いクラウドサービスのメリットを活かせるという判断です。

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「AWS によって柔軟性と可用性に富んだ新しい電子契約システムをスピーディに構築することができました。運用保守の負担も大幅に軽減されており、次期基幹システムの完成によってさらなる効果が期待できると考えています」

野本 秀彦 氏
株式会社オリコフォレントインシュア 営業統括本部 営業企画部 部長

ソリューション | モダンなアーキテクチャで柔軟性を向上

オリコフォレントインシュアは、次期基幹システムや新しい電子契約システムを構築するクラウドインフラとして、AWS を選択しました。その理由について、情報システム部 システム開発課長 杉山健太郎氏は次のように振り返ります。

「AWS の柔軟性や拡張性、俊敏性の実績は非常に高く、確実に私たちのニーズに応えられると考えました。またパートナーであるシステムサポート(以下、STS)が、ガイドラインの策定など活用の推進と移行メリットの最大化を支援し、スピーディに活動してくれたため安心してプロジェクトを遂行できました。加えて、AWS のファンドプログラム Migration Acceleration Program(MAP)を活用することで、システム全体の移行費用を抑えることに成功しました」

まずデータベースを従来の Oracle から Amazon Aurora PostgreSQL にマイグレーションし、課題となっていたライセンス費用を削減。さらにオリコフォレントインシュアと STS は新システム構築にあたり、今後の事業の拡大と変化の規模を予測することは容易ではないと考え、単なるクラウドリフトではなく、マネージドサービスを中心とした柔軟性の高い開発に取り組みました。認証には Amazon Cognito を活用し、アプリケーションは AWS Fargate や Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS)でコンテナ化を推進。電子契約の監査証跡には、Amazon Quantum Ledger Database(Amazon QLDB)を利用しています。重要な情報を扱うシステムであるため、AWS WAF などのセキュリティサービスも積極的に採り入れました。

また、電子契約システムは入居者や加盟店(不動産会社)などの一般ユーザーが利用するもので電子契約に不慣れな方も多いため、誰もが迷わず使えるようにボタンの名称やユーザーの動線など細部にこだわって開発。そのため、俊敏な CI/CD 環境を実現する AWS Code シリーズを活用しました。

導入効果 | 短期で電子契約を実現、業務負荷が大幅に軽減

オリコフォレントインシュアは、全社的なシステム刷新に際して段階的にプロジェクトを推進しました。まずは OA 環境のクラウド化に向け Amazon Workspaces を活用したリモートデスクトップを導入。利用環境に依存せず高い可用性を実現し、BCP 対策としても有効です。

次に、法改正に合わせて急ピッチで開発が進められたのが電子契約システムです。従来の紙の契約書と比べて、事務処理担当者の作業負担は大幅に軽減されました。担当者が審査業務を行う際、これまでの紙の申込書で 14 分ほどかかっていた事務処理は 5 分ほどに、契約書の事務処理も 12 分から 7 分程度に短縮。電子の処理は件数が多いほど時間短縮のメリットは顕著になります。また、紙の書類は加盟店の担当者が郵送する必要がありますが、電子契約であればその手間もなくなります。

「AWS と STS の支援によって、マーケットの動向にあわせて、加盟店に無償で提供できる電子申込・電子契約に対応した新しいシステムをリリースしました。加盟店は申込・契約業務において書面の準備や郵送など、約 7 割の業務工程および郵送コストが削減でき、スムーズに契約を進められるようになると想定しています。また当社社内事務処理の業務効率化にも大きく貢献できています」と、情報システム部 システム開発課の浅見佐保子氏は語ります。

同社は今後、全社的な AWS 活用に向けて基幹システム(次期システム)の移行を進める計画です。「全国の不動産会社や入居者をサポートする当社のシステムには、常に安定稼働が求められます。AWS のサービスであれば、常に保守されている状態で 24 時間 365 日の安定性を安価に実現できます。電子契約システムの構築が完了し、基幹システムの完全な移行はこれからですが、高い効果が得られるものと考えています」と、情報システム部 システム開発課の田浦里歩氏は期待を語ります。

また、STS の全面的なサポートについて杉山氏は、「新しい技術を採り入れたインテグレーションを実現し、運用保守までワンストップで提供するうえ、当社の運用負荷の軽減まで考慮してくれます。AWS とも密に連携し、AWS でなければわからないような利点や問題点をしっかり情報共有して、当社の期待にスピーディかつ柔軟に応えてくれました」と高く評価しています。

オリコフォレントインシュアは、さらなる利便性を追求するため、システム全体のモダナイゼーションをさらに進めていく計画です。例えば、システムに蓄積されたデータの活用を促進し、不動産会社やオーナーがいっそう安心して利用できるサービスの開発を検討しています。

「多様なデータを一つなぎにして分析することで、いっそう安全で利便性の高い賃貸保証サービスを実現できれば、不動産業界にも大きな効果を与えることができると考えています。AWS と STS には、今後も当社のビジネスを強力に支援し、業界の発展に寄与していただきたいと願っています」と、情報システム部 課長の島田尚紀氏は語っています。

企業概要 株式会社オリコフォレントインシュア

賃貸住宅の契約に必要となる連帯保証人となり、また不動産のオーナーや管理会社の家賃収納を代行する「賃貸保証サービス」を展開。さまざまな理由で保証人を見つけることが難しい入居者にも、家賃の収納業務や滞納対応で負担を感じている管理会社やオーナーにも好評で、社会環境の変化や法改正などを受けて急速に利用者が増えている。両者へ最高の「安心」と「快適」を提供し、日本の住環境の一層の発展を目指す。

(お写真左から)浅見氏、杉山氏、島田氏、野本氏、田浦氏 

AWS アドバンストティア サービスパートナー

株式会社システムサポート

1980 年の設立以降、IT システムの企画から開発、運用・保守をワンストップで提供。近年ではクラウド基盤やデータベース、ERP パッケージなどの分野での技術力を強みとしている。AWS Oracle コンピテンシーパートナーであり、AWS でのデータベースやデータ分析基盤の利用支援の実績が多数ある。

ご利用中の主なサービス

AWS Fargate

AWS Fargate は、Amazon Elastic Container Service (ECS) と Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) の両方で動作する、コンテナ向けサーバーレスコンピューティングエンジンです。Fargate を使用すると、アプリケーションの構築に簡単に集中することができます。

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Amazon Cognito

Amazon Cognito を使用すれば、ウェブアプリケーションおよびモバイルアプリに素早く簡単にユーザーのサインアップ/サインインおよびアクセスコントロールの機能を追加できます。

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Amazon ECS

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) は、完全マネージド型のコンテナオーケストレーションサービスです。Duolingo、Samsung、GE、Cook Pad などのお客様が ECS を使用して、セキュリティ、信頼性、スケーラビリティを獲得するために最も機密性が高くミッションクリティカルなアプリケーションを実行しています。

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Amazon QLDB

Amazon Quantum Ledger Database (Amazon QLDB) はフルマネージド型の台帳データベースです。透過的かつイミュータブルで、暗号的に検証可能なトランザクションログを備えています。

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