Amazon Connect を活用し、検討開始から 3 ヶ月で製造業向け保守コンタクトセンターの運用を開始
業務の効率化で、サービス提供の費用を 50% 削減

2021

株式会社プラザ・イーは人事給与システム、製造業向けのシステム開発/保守など、IT 業務支援を行っています。昼夜稼働する自動車部品工場の製造システムの電話サポート窓口に Amazon Connect を採用し、保守スタッフの業務効率化とともに、顧客のコスト負担の約 50% 軽減を実現しました。さらに、問い合わせのリアルタイムモニタリングや通知などの機能を追加し、製造現場へのサポートにおけるサービスレベルを向上しています。

AWS 導入事例  | 株式会社プラザ・イー
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Amazon Connect を使うことで極めて短期間に保守コンタクトセンターを構築することができました。低コストで高いサービスレベルのサービス提供がお客様からご評価いただき、今では、多くの新規の依頼をいただいています

浅井 正克 氏
株式会社プラザ・イー 代表取締役

24 時間 365 日対応の電話サポート業務を受注

IT システムのコンサルティングや開発・保守を手掛ける株式会社プラザ・イー。メーカーや鉄道、ガス、商社などの人事給与システムや、製造業の工場で使う製造管理システムを得意としています。グローバルな自動車製造業グループの社員向けにスマートフォンからも参照できる災害対応マニュアルを提供した際には基盤として AWS を活用するなど、クラウド環境でのシステム構築や運用も手がけています。

「以前はシステムを作ろうとすると、コンピュータの調達から初期費用が必要でした。今では AWS を使ってサービスを構築し、顧客には利用量に応じて対価をいただくビジネスが可能になるため、サブスクリプションモデルでの提供に挑戦しています」と語るのは、代表取締役の浅井正克氏です。「最近では特に、製造業の品質トレーサビリティの要となる BOM(部品表)・MES(製造実行システム)の監視/保守サービスに積極的に取り組んでいます」

2019 年末に同社は、ある自動車部品メーカーから工場で利用する BOM/MES システムの監視/保守(AMO)業務を受注。システムエラーの問い合わせに対応する保守コンタクトセンター(電話サポート)を構築することになりました。

「お客様の工場は 24 時間 365 日稼働していますので、夜間対応などを考慮すると電話サポート担当者は少なくとも 7 ~ 8 名必要になると試算しました。しかし、お客様には相応のコスト負担となりますし、かといって少人数で夜間対応すると当社の担当者に大きな負荷がかかります。そこで、よい解決方法はないかと模索しました」と、取締役の野口照洋氏は語ります。

Amazon Connect を活用しコストを抑えた電話対応が実現

今回の電話サポート業務は、大手ベンダーからの引き継ぎでした。プロジェクトマネージャーの渡部京子氏は「依頼を受けたのが 2019 年 11 月ごろで、2020 年 1 月にはトライアル開始、2 月から完全に引き継ぐというタイトなスケジュールでした。当時のチームは 6 名でコールセンター設備も保有していませんでした。そのため休日や夜間の対応が大きな課題と考え、電話サポート窓口用に自社保守コンタクトセンターを新設すべく転送の機能があるサービスを探しました。そして、短期間/低コストでコンタクトセンターを構築できる Amazon Connect の存在を知り、採用を決定しました」と当時を振り返ります。

システム構築を担当したのは、Amazon Connect でのコンタクトセンター構築に早期から取り組み、多くの実績を持つ AWS セレクトコンサルティングパートナーのバーチャレクス・コンサルティング株式会社です。プラザ・イーから 2019 年 11 月に相談を受けてすぐ、12 月から構築を開始して 1 月には完成し顧客が求めたスケジュールどおりに稼働開始することができました。

サポート業務の流れは、工場で製造システムのエラーが発生した際に 24 時間 365 日対応の保守窓口番号に電話すると、Amazon Connect が応答。あらかじめ設定したスケジュールに従って、担当オペレーターの携帯電話に転送される仕組みです。発番履歴をログとして残し、その管理のため Amazon CloudWatch とも連携しています。
休日/夜間の電話対応は、3 名のスタッフが週替わりで担当しており、メインの担当者が電話に出られない状況でも、二次受付、三次受付候補に転送されるため、安定した対応が可能となりました。プラザ・イーの本社は東京都品川区にありますが、福岡県北九州市の拠点メンバーと連携し、災害対策としてもいずれかの拠点で対処できる体制を敷いています。

1 年間トラブルゼロで運用

追加受注をきっかけにさらなる機能強化

Amazon Connect を使ったコンタクトセンターについて浅井氏は、「お客様の費用負担は、当社が引き継いだ後 50% 以上削減されているはずです。例えば、オフィスに常駐する場合なら 1 人あたり毎週 113 時間もの工数がかかりますが、リモート待機手当を設定してもそれほどの人件費増加には至っていません」と語ります。

また、現場で指揮をとる渡部氏は「約 1 年間運用してきて電話を受けられなかったことは 1 度もなく、大きなトラブルも起きていません。コスト削減とサービスレベルの向上という実績が高く評価され、別のシステムの保守業務など、新たなご依頼もいただきました」と話します。

保守範囲の拡張に伴い、電話番号の追加だけでなく、システムも機能強化を図りました。これまで週 1 回、手動で行っていた待機メンバーのシフトやスケジュール自動化や例外処理、折り返し電話番号の共通化、着信状況の他のメンバーへの共有などです。

新型コロナウイルス感染拡大後、一部のスタッフはリモートワークで分散しています。日中の一次受けは工場に常駐するメンバーが対応しますが、回答に専門知識が必要な場合もあります。そのため、誰がどんな問い合わせを受けたかを他のスタッフと共有する機能が必要でした。そこで 2020 年 11 月に追加開発を再度バーチャレクス・コンサルティング株式会社に依頼し、1 ヶ月弱で機能追加を実施。自動スケジュール処理にはサーバー不要のコード実行環境 AWS Lambda、着信状況の周知には Amazon Simple Notification Service(Amazon SNS)が新たに導入されました。「問い合わせを受けたときだけ処理をする AWS Lambda は、月間で数百円の利用料で済んでいます。また、スケジュールの例外設定を現場スタッフが行う際、操作ミスが起こりにくいような形(自動で週次切り替え)にもなっています」(渡部氏)

多くの製造業に貢献できるよう人材・システムともに磨きをかける

短期間で BOM / MES システムの保守業務にコンタクトセンターを構築したプラザ・イー。野口氏は「保守業務のトータルなパッケージソリューションとして、多くの製造業のお客様に提供していきたいと考えています」と語りました。

同社では、今後もさまざまな改善に向け、バーチャレクス・コンサルティング株式会社と協議を進めています。たとえば、複数の拠点での受付や通話内容の共有ができるWeb ブラウザでの通話(ソフトフォン)や、発話内容をテキストに書き起こす Amazon Transcribe を活用した問い合わせ内容の共有です。

浅井氏は新しい機能によって広がるチャンスについて、次のように語りました。「お問い合わせ内容を音声または文字で瞬時に共有できるようになれば、業界に精通した社内のベテランスタッフがスーパーバイザーとして、同時に多くのお客様に対応できるようになります。すると、さらにコストを抑えた導入も可能になりますし、社内スタッフのレベルもアップするでしょう。グローバル競争とデジタル改革に奮闘している製造業の皆様に、よりよいサービスを提供していきたいと思っています」

浅井 正克 氏

野口 照洋 氏


カスタマープロフィール:株式会社プラザ・イー

  • 設立年月:2000 年 9 月 27 日
  • 従業員数:59 名(グループ全体:2020 年 6 月末現在)
  • 事業内容:人事給与、BOM / MES などのシステム開発、保守

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 顧客の費用負担を約 50% 削減
  • 増員せずに 24 時間 365 日対応を実現
  • パートナーと連携して細部の追加開発、改修を実施
  • 着信状況の共有や問い合わせ内容の文字起こしによるサービスレベルの向上
  • 製造業向けソリューションのパッケージとして展開予定

AWS セレクトコンサルティングパートナー

バーチャレクス・コンサルティング株式会社

”Succession with You”をタグラインに掲げ、お客様の継続的な真の成功(Succession)に向けて伴走し続けることを基本姿勢としており、3 つの柱であるコンサルティング、テクノロジー、アウトソーシングサービスを個別に、あるいは融合させて柔軟に提供することで、顧客接点領域を中心としたクライアント企業の事業成功、顧客価値最大化のための支援を行っている。


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