社員 5 名、IT 専任担当者不在の少数精鋭コンサルティング会社が
重要な顧客情報を扱うファイルサーバーを AWS に移行
社外から安全にアクセスできるようになり、働き方改革を実現

2022

相続承継、事業承継などの総合コンサルティング事業を展開する株式会社資産科学研究所。同社は、NTT 東日本の支援を受けてオンプレミス環境のファイルサーバーを、アマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行。そして、運用管理負荷を軽減、データ漏洩リスクやファイル損失リスクを低減しました。また、VPN によるセキュアなネットワークアクセスの実現により、場所・時間を問わず顧客情報を得ることが可能となり、劇的な業務効率化を実現しています。

AWS 導入事例  | 株式会社資産科学研究所
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移動費用、印刷代、紙代、さらに精神的な負担コストなども含めると、数字では表せない大幅なコスト削減となり、AWS 月額費用を上回るコストパフォーマンスの高さを実感しています。もし AWS 活用に躊躇している中小企業がいたら、安心して導入して欲しい、お試しでもいいから一度使ってみて欲しいと自信を持ってお勧めできます

萬代 猛 氏
株式会社資産科学研究所 代表取締役

生産性の向上とセキュリティ強化に向けファイルサーバーのクラウド化を検討

独立系コンサルティング会社として、2011 年に東京 渋谷にて創業した資産科学研究所。富裕層向けの相続包括コンサルティングや法人向けの事業承継コンサルティングなど、資産に関する悩みや課題の実行支援を業としています。「当社は、企業規模が小さいため意思決定が早く、お客様が必要なサービスを必要なタイミングでかつオーダーメイドで提供できるのが強みです」と語るのは、代表取締役の萬代猛氏です。

これまでは原則、渋谷のオフィスで働いていました。顧客情報は、セキュリティの観点から、オンプレミスのファイルサーバーに保存。社外からはサーバーにアクセスができず、顧客情報が記載されたファイルを扱う際は必ずオフィスに立ち寄る必要がありました。そこで、2019 年頃から現状の課題を打破するべく、クラウドへの移行検討を開始。
「生産性を考えた時、客先に出向く際に会社に来て書類を印刷し、戻ってきてからさらに処理するといった作業が非効率でした。働き方改革の観点からもムリ・ムダを徹底排除し、顧客サービスに従業員のリソースを集中して使うべきと考えました。加えて、コンサルティング会社である当社において、情報漏洩は巨額な賠償リスク、経営リスクに直結するもので、セキュリティ対策は不可欠でした」(萬代氏)

大手を含めた多くの導入実績と顧客サービスへの姿勢を評価

ファイルサーバーのクラウド化を検討した同社は、複数のクラウドサービスを調査した中から AWS の採用を決めました。選定の理由は、大手を含めた多くの企業での導入実績と、顧客サービスへの姿勢にありました。
「堅牢性やセキュリティに厳しい大手企業や政府が、AWS を積極的に採用していることに衝撃を受けました。Amazon や AWS の利益を顧客サービスに還元する姿勢などにも感銘を受けました。唯一、不安だったのは、当社には敷居が高すぎるのではないかということでしたが、杞憂に過ぎませんでした」(萬代氏)

導入は 2019 年秋から開始。当初は自社での環境構築を検討していました。しかし、兼務の IT 担当者が 1 人で対応することは、リソース的にも技術的にもハードルが高いと判断。パートナー選定を進め、NTT 東日本の採用を決定しました。その理由を業務部の高木紀江氏は次のように語ります。
「最大の理由は、クラウドからネットワークまで一元的な対応が可能なことです。リモートアクセスを実現するためにはネットワークセキュリティが重要で、VPN が必須という話を聞きました。VPN を構築するなら専門家である NTT 東日本にお願いするのがベストであると判断しました」

ファイルサーバーの AWS への移行は、2020 年 6 月に完了しました。今回は新たに IT 資産管理ソフト(SKYSEA Client View)も AWS 上に導入しました。
「IT 資産管理ソフトを導入したのは、情報漏洩対策のためです。アクセスログを完全に管理していることを従業員に公開し、抑止力になると考えました。PC は、Windows サーバー、IT 資産管理ソフト、ルーター等の相性を考慮して Mac から Windows マシンに変更しました」(高木氏)

パートナーの NTT 東日本は、ファイルサーバーの AWS への移行、VPN の構築、IT 資産管理ソフトの導入などすべてに対応しました。NTT 東日本の佐藤洋一郎氏は「AWS への移行とリモートアクセスの導入の 2 つの要望に対して、短期間かつ確実にできるように実績のある手法や機器を選択しました。ファイルサーバーも現状プラス α の数百 GB を最大値としてサイジングすることでコストを抑制し、好きなタイミングで増設できるようにしました」と語ります。

社内決済をクラウド上で完結し社内書類のペーパーレス化を実現

ファイルサーバーの AWS への移行により、場所を問わずタイムリーに顧客情報を得ることが可能になりました。一番恩恵を受けたのは従業員です。PC が 1 台あれば、移動中でもどこでも会社と同じ環境で業務ができます。
「以前は急な用件で休日出勤することもありましたが、今は家で作業が完結します。特に私の場合は小さい子供がいるので、時間に融通が利くのは助かっています。新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務になった際もスムーズに切り替えることができました」(高木氏)

同社では AWS への移行を機に、社内決済はすべてクラウド上で完結。稟議関係の書類の完全ペーパーレス化を実現しています。現在、議事録などはすべて電子化し、電子印鑑で承認しています。これまでは、顧客に明日の朝までに書類を出したいといった時、承認のためにオフィスに戻って処理したり、FAX や写真で送ってもらったりと、多くの手間を要していました。書類の電子化により、それらはすべてなくなり、土日でも迅速な対応が可能になりました。
「移動費用、印刷代、紙代、さらに精神的な負担コストなども含めると、数字では表せない大幅なコスト削減となり、AWS 月額費用を上回るコストパフォーマンスの高さを実感しています。もし AWS 活用に躊躇している中小企業がいたら、安心して導入して欲しい、お試しでもいいから一度使ってみて欲しいと自信を持ってお勧めできます」(萬代氏)

実際の運用では、アクセススピードはオンプレミスのサーバーとほぼ同等を確保。セキュリティ面でも情報漏洩のリスクを限りなく低減することができました。従来のオンプレミス環境ではハードウェアの障害等で、データが破損してファイルが文字化けしたり、バックアップデータをロストしたりすることもありましたが、移行後はデータの破損リスクもなくなったといいます。

固定的な執務室の概念を撤廃し場所を選ばず働ける環境の整備へ

今後は総合コンサルティング企業として、最新のデジタルと、従来のアナログの良さを使い分けた働き方改革をさらに推進していく方針です。
「クラウド化が進めば、これまで常識とされているオフィスの機能のうち、執務室や保管庫などのバックヤード機能は不要になります。極論をいえば、オフィスはなくても、応接室さえあればいい。近い将来は、執務室の概念を撤廃し、場所を選ばずデスクワークができる環境を整備していきます」(萬代氏)

一方、既存環境では、メール、スケジュール管理、ビジネスチャットを個別に運用しています。将来的には管理業務の効率化に向けて、Amazon WorkMail の利用や、AWS 上へのシステム統合を進めていく考えです。

高木氏は「NTT 東日本には、今後もスピーディな対応と、機能拡張に向けた事例集やセミナーの紹介などの情報提供を期待しています」と語っています。

萬代 猛 氏

高木 紀江 氏 


カスタマープロフィール:株式会社資産科学研究所

  • 設立:2011 年 1 月 11 日
  • 資本金:9,900 万円(2021 年 1 月現在)
  • 事業内容:総合コンサルティング業(相続承継、事業承継、企業再生コンサルティング等)

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 場所を問わずタイムリーに顧客情報の閲覧や書類作成が可能に
  • ライフサイクルや環境に応じた働き方の実現
  • 新型コロナウイルス感染症のまん延時のスムーズな在宅ワークへのシフト
  • 社内決済書類の完全ペーパーレス化、データ印の電子化

AWS アドバンスドコンサルティングパートナー

東日本電信電話株式会社

AWS の導入から 24 時間 365 日の監視運用、AWS への閉域接続ネットワーク、お客さまの LAN 環境など、クラウド利用に必要なサービスを総合的に提供する AWS アドバンスドコンサルティングパートナー。各県域の身近な担当者が、お客さまの課題に寄り添い、最適なソリューションを提供し、ビジネスの成功をリードしている。


ご利用中の主なサービス

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon EBS

Amazon Elastic Block Store (EBS) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と共に使用するために設計された、スループットとトランザクションの両方が集中するどんな規模のワークロードにも対応できる、使いやすい高性能なブロックストレージサービスです。

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