Amazon GameLift と Photon BOLT Pro の組み合わせでギルドバトルのパフォーマンスの課題を解決
短期間の開発でユーザー満足度を大幅に向上

2021

株式会社レアゾン・ホールディングスとグループ会社の株式会社ルーデルは、グループとして初めてのネイティブタイトル『大熱闘 ドラゴンスマッシュ』のギルドバトルのパフォーマンス改善を模索していました。そこで Amazon GameLift と Photon BOLT Pro の組み合わせでシステムを作り替え、スマートフォンの LTE 通信(非 Wi-Fi 環境)でも 10 対 10 のギルドバトルの快適な動作を実現。CCU(同時接続ユーザー数)も約 10 倍になるなど、ユーザー満足度を向上させています。

AWS 導入事例:株式会社レアゾン・ホールディングス
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ゲームやさまざまなサービスを新たな技術や市場に合わせたサービスとして成長させていくには、クラウドの柔軟性や拡張性が不可欠です。Amazon GameLift と Photon BOLT Pro の組み合わせも、AWS の協力のもと短期間で実現できました

丹羽 隆之 氏
株式会社レアゾン・ホールディングス
開発本部
取締役/CTO

ドラゴンスマッシュをリリースするもパフォーマンスの問題に直面

2020 年 10 月に 850 万ダウンロードを達成した『ドラゴンエッグ』をはじめ、多くのゲームを AWS 上で展開しているレアゾン・ホールディングス。開発本部 取締役/CTO の丹羽隆之氏は、オンプレミス環境よりもクラウドで展開するほうがサービスの質が向上し、新しいゲームやサービスを、スピード感を持ってリリースできると語ります。
「AWS はベーシックなところから使いやすく、既存のナレッジを応用しやすい上、新たなハードウェアや市場の変化に合わせて新たなインスタンスタイプが用意されるので、素早くそれらに対応したサービスなどを作ることができます」

複数人がチームとなってチーム同士で戦っていくギルドバトル型のソーシャルゲームの開発・リリースをメインに行っていた同社とグループ会社のルーデルは、2019 年末に初めてのネイティブタイトルとなる『大熱闘 ドラゴンスマッシュ』を Unity で開発してリリースしましたが、肝となるギルドバトルに大きな課題がありました。

「Photon の SaaS 環境を使ってギルドバトルを実装していましたが、P2P 接続のため、ユーザー 1 人でもスマートフォンの通信速度が低下するとサービス全体に影響してしまっていました。少しずつ改修していくという手もありましたが、サービスの質が安定しなければユーザー数を増やしていくことは困難です。これまでの仕組みを大幅に変えていく必要があると決断し、どのような形でギルドバトルを実装していくか見直すことにしました」(丹羽氏)

開発のしやすさやリアルタイム性を求め Amazon GameLift と Photon BOLT Pro を採用

ルーデルの開発本部 ゲーム開発部 シニアエンジニアの森本喜和氏は、Amazon GameLift と Photon BOLT Proの組み合わせを採用した理由を次のように明かします。
「他のクラウドサービスでは、当社側でサーバーのコントロールができず、決められたプログラムしか動かせません。Amazon GameLift は自分でサーバー上にプログラムを置けて、Unity で使い慣れている C# でプログラミングできます。Amazon GameLift だけでも実装は可能ですが、Unity のゲームシステム、オブジェクトをサポートしている Photon BOLT Pro と組み合わせて使えると判断し、2 つの組み合わせでギルドバトルを実装しようと考えました」

プロジェクト期間は検証 1.5 ヶ月、構築 1.5 ヶ月で実施されました。「2020 年の夏以降にリリースしたいと考えていたので、ギルドバトルの再実装に時間の余裕はありませんでした。ユーザーにはリニューアルを告知していたので、それに合わせてエンジニアのチームが頑張ってくれました」と丹羽氏は振り返ります。また、ルーデルの開発本部 ゲーム開発部 エンジニアの齋田太輝氏は、「ローカルに Photon BOLT Pro サーバーを 2 台立てて開発を進め、Amazon GameLift に Photon BOLT Pro サーバーのインスタンスを立てるのがリリース直前になったので少しハラハラしました。結果的にスムーズにいったので、良かったです」と開発の裏側を語ります。

森本氏は問題が発生したときに、要因が Amazon GameLift と Photon BOLT Pro のどちらにあるのか突き止めるのが難しいことが多くあったと語ります。
「AWS のサポートは真摯に答えてくれました。やり取りをしていくうちに社内で解決法を模索していった感じです。1 インスタンスに 50 セッションを入れようとしていて、負荷試験では問題なかったのに、リリースしたら問題が発生したこともありました。原因はすぐにはわからず、セッション数を減らして対応していましたが、AWS に協力してもらってボトルネックを探して、少しずつセッション数を増やすことができました」

20 秒かかっていた拠点の移動も瞬時にゲーム性を高めて CCU も 10 倍に

ドラゴンスマッシュのパフォーマンスとユーザー満足度について齋田氏は、「動きが非常によくなり、戦い方や作戦を変える必要があるという声を聞くことができて、ゲーム性を変化させられたことがうれしいですね」と話しています。また、ルーデル 開発本部 ゲーム開発部でサーバー側のエンジニアの大菅詩乃氏も、「以前はサーバーへのアクセスが高負荷になっていて大変でした。Amazon GameLift を使うようになって、API サーバーへのアクセスが減りました。自分でプレイしていても、サクサク動いて楽しく遊べます」と語ります。

丹羽氏も、今回の構築の効果を高く評価しています。
「リニューアル前と後では、天と地の差があると感じました。20 秒くらいかかっていた拠点の移動が瞬時で可能になり、ユーザーもびっくりしていると思います。CCU(同時接続ユーザー数)も約 10 倍になっています。ドラゴンスマッシュは、パズルなのに自分たちでパズルを操作しないという新感覚のゲームで、その面白さに気づいたコアなユーザーが付いてくれたのは非常にうれしいことです」

音声操作できる製品の拡充や海外展開も視野に

ドラゴンスマッシュのギルドバトルは 1 日に 3 回行われますが、AWS なら必要な時だけオンデマンドでサーバーを立てられて、コストを最適化できる上、ユーザー数が急に増えてもサーバー台数を増やすだけで対応できるため、プロモーション計画なども立てやすいと丹羽氏は語ります。
「AWS からは Amazon GameLiftの導入に尽力してくれる中で、毎月のフィードバックでさまざまな提案を受けました。国内事例が少なく、トラブルにどう対応したらよいかがわからないこともありましたが、我々が先駆者となって挑戦できたのは非常によかったと思います。Amazon GameLift を他のサービスでも利用することも検討しています」

その上で、Amazon GameLift の導入を検討している人に対して、次のようにアドバイスを送ってくれました。
「Photon を使って苦労しているゲーム開発者も多いと思いますが、Amazon GameLift は利用価値のあるサービスだと思います。我々はリアルタイム性を求めて Amazon GameLift と Photon BOLT Pro を組み合わせましたが、Amazon GameLift 単体で JavaScript を使って簡単に作ることもできるので、スピードに許容があるのであれば楽しいギルドバトルや PvP を作れるのではないでしょうか。新たなゲーム『はじめの一歩 FIGHTING SOULS』も 2020 年 11 月 17 日にリリースし、テイクアウトアプリの menu やイラストを気軽に投稿できるポイピクなど、ゲーム以外のサービスもグループで展開しているので、今後も AWS のさまざまなサービスを使っていきたいと考えています」(丹羽氏)

丹羽 隆之 氏

森本 喜和 氏

齋田 太輝 氏

大菅 詩乃 氏


カスタマープロフィール:株式会社レアゾン・ホールディングス

  • 設立年月日:2019 年 2 月 1 日
  • 事業内容:グループの経営戦略、経営管理・事業支援

カスタマープロフィール:株式会社ルーデル

  • 設立年月日:2013 年 2 月4 日
  • 資本金:9,000 万円
  • 事業内容:ソーシャルゲーム事業

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 20 秒かかっていた拠点移動が瞬時に実現
  • ユーザー満足度とパフォーマンスの向上
  • CCU が 10 倍に増加
  • 別のサービスでも Amazon GameLift の利用を検討

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