株式会社すかいらーくは、全国3,000店舗で年間延べ4億人のお客様にご利用いただく総合ファミリーレストラン企業です。
以前から当社ではデータウェアハウスを利用していたのですが、マーケティング部門で必要なレシート明細レベルの分析に数時間かかり、仮説・検証サイクルを週に数回しか実行できず、精度の高い分析ができないことが課題となっていました。
パフォーマンスの課題を解決し、効果的な施策をタイムリーに立案できるようにするために、新たなデータ分析環境を検討することとなりました。
データ分析環境の導入にあたっては、これまで課題となっていたパフォーマンス面はもちろんのこと、運用に必要となるリソース、費用を含むコスト、そして環境構築の容易さを重視し、各社が開催するセミナーへ参加したり、提供会社の担当者へヒアリングも行いました。
最終的には実際に環境テストまでを行った結果、AWS がこれらのポイントをすべてクリアすると判断し、採用を決定しました。
2014 年 1 月に AWS の採用を決定しましたが、Amazon Redshift、Amazon EC2、Amazon VPC、Amazon S3、Amazon EBS といったサービスを活用することで、およそ 1 ヶ月後の 2 月には、データ分析システムをリリースすることができました。体制としては、マーケティング部門がデータ分析用のシステム構築を主導し、情報システム部門が基幹系システムから明細データを抽出するプログラムを開発、AWS 専業ベンダーが分析基盤を構築するという役割分担で実施しました。
同じ年の 7 月には、モバイルアプリもリリースしましたが、こちらも可用性やセキュリティ等を評価・検討し、最終的に AWS を採用しました。Amazon EC2、Amazon RDS、Amazon VPC、Amazon S3、Amazon EBS、Elastic Load Balancing、Amazon Route53、Amazon CloudFront といった AWS のサービスを活用し、AWS 専業ベンダーと緊密に連携したことにより、発注から 2 ヶ月強でリリースすることができました。
AWS は必要な時に即座にリソースを調達できるため、オンプレミスだと 1 年かかってもおかしくない DWH システム構築を、わずか1 ヶ月強で、モバイルアプリも災害対策/ピーク対策まで考慮したシステムを 2 ヶ月強で構築でき、決定~リリースまでにかかる時間に伴う無駄な投資を削減することができたことは、非常に大きなメリットだと思います。
また、AWS を利用することによって、データ分析環境では、 オンプレミスと比べて1ケタから2ケタ安いコストとなっており、モバイルアプリでは、DWS アプライアンスのようなオンプレミスと比べると、70 % ものコスト削減となっているだけでなく、いずれのシステムも現在までダウンタイムなく稼働しています。
マーケティング面でも、これまで数時間かかっていたデータ集計速度が数分程度まで短縮することができるようになっています。
これにより、データ分析をもとにしたマーケティング施策の改善、投資配分の見直しがタイムリーにできるようになり、半期で広告宣伝費を昨対 3 億円削減しつつ、売上高も 40 億円成長させることが出来ました。また、バスケット分析や、A / B テストを通じて、例えば、キャンペーン対象商品の変更や、広告媒体の見直し等の施策を効果的に打てるようになったのも、AWS を利用することによって得られた大きな改善だと考えています。
現在、AWS 基盤を担当して頂いているベンダー経由で AWS サポートを利用しており、別途、アマゾンの担当の方とも直接会話し、ベンダーの選定の相談や、AWS そのものの機能改善のリクエスト等を対応いただいています。以前 Amazon Redshift と Tableau の同時接続ユーザー数について要望があった際も、担当の方に素早く対応いただき、サービスのアップデートに改修を反映いただいたことで、解決まで2~3週間程度と、迅速に対処いただき大変助かりました。こうしたフィードバックループの早さも AWS の魅力の一つです。
このように、AWS はコスト、導入スピード、パフォーマンス、運用性、フィードバックループのどれをとっても革新的なサービスだと思います。IT を生業としていない企業がインフラ周りを自社で構築/運用するのは既にナンセンスな時代になっているのではないでしょうか。
今後当社がモバイルアプリのユーザー数で数千万ユーザーを目指す上でも、AWS を活用した基盤はサービスの確実な提供に大きく貢献して頂けることを確信しています。
今後も当社では、顧客アンケートシステムや新規事業関連システムなどに AWS を活用していく予定です。
- 株式会社すかいらーく マーケティング本部 ディレクター 神谷 勇樹 様