SOMPO グループを横断する統合情報基盤を AWS 上に構築
高度分析から BI まで幅広いデータ活用へ

2021

SOMPO ホールディングスは、お客さまの人生に寄り添う「安心・安全・健康のテーマパーク」という目標に向けて、全社横断的なデータ活用基盤を構築しました。膨大でセンシティブなデータを取り扱うためのプラットフォームにアマゾン ウェブ サービス(AWS)を選択。データサイエンティストが自由に使える高度分析基盤からビジネス現場で活躍する BI 環境まで提供し、商品・サービスの付加価値向上や新規事業の創出など、グループ全体へデータ活用の枝葉を広げようとしています。

AWS 導入事例  | SOMPO ホールディングス株式会社
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データ活用のニーズは刻々と変化し、IT の価値も変わっていきます。AWS とウルシステムズのサポートによって、私たちはチャレンジし続けることができました

長谷川 智一 氏
SOMPO ホールディングス株式会社
デジタル戦略部 データ統括室 課長

グループの総力を挙げて安心・安全・健康を提供

SOMPO ホールディングスは、国内損害保険、国内生命保険、海外保険および介護・ヘルスケアという 4 つの事業を展開しています。中核企業の損害保険ジャパンの起源は、1887 年に設立された東京火災保険会社まで遡り、長い歴史を持つ日本を代表する保険事業者の一角を担っています。現在の同社は、お客さまの人生に寄り添ってライフサイクル全般をカバーする「安心・安全・健康のテーマパーク」──事故や病気を防ぎ、かつ万が一にも備えられるトータルサービスを提供することを目指しています。

そうした総合的なサポートを提供するためには、SOMPO グループ各社や各部門の協力体制が欠かせません。例えば、自動車保険と医療保険の情報が連携されていれば、交通事故に遭われたお客さまに対してご負担をかけることなく適切なご案内をしてスムーズに保険金を支払うことができます。

「SOMPO グループの各事業会社が提供している保険や介護サービスそのものに対するニーズが大きく変化していくことはありません。しかし、私たちを取り巻くリスクは刻一刻と変化しています。そうした中でお客さまのニーズは動的かつ多様化しており、当社グループの総合力を結集してお客さまの期待を上回る商品やサービスを提供していきたいと考えています」と、SOMPO ホールディングス デジタル戦略部 データ統括室で課長を務める長谷川智一氏は述べます。

しかし、これまで各サービスとその情報はグループ各社内に閉じており、各社をまたいだ顧客情報の把握や分析は困難な状態にありました。そこで、SOMPO ホールディングスでは、グループ横断で利用できるデータ活用基盤を構築し、商品・サービスの付加価値向上や新規事業の創出を加速したいと考えました。

AWS の成熟したセキュリティと APN パートナーの強力な支援を評価

グループを横断するデータ活用基盤の構築に関して、課題となったのがインフラ選びです。SOMPO グループが今後も成長を続けていくためには、増大していくデータを安全かつ最適なコストで管理し、滞りなく利用できることが求められます。本件の企画・構想立案当初から支援している SOMPO システムズでアーキテクト部 シニアアーキテクトを務める野口勝司氏は、推進してきたクラウド戦略に則るべきだと判断しました。
「保険や健康状態に関する情報には極めてセンシティブなものが含まれるため、私たちは厳格なデータ保管ルールを設けています。検討当時、それらを満たすアーキテクチャと機能を有しているクラウドサービスは、AWS だけでした。他社のサービスでも複数の技術や製品を組み合わせれば実現可能なものはありました。しかし、AWS はセキュリティ面の成熟度が圧倒的に高く、無理なく要求を達成できました。また、早くから日本でのサービスに注力しており、他のサービスに比べて一日の長があったこともポイントでした」(野口氏)

SOMPO ホールディングスは、AWS アドバンスドコンサルティングパートナーのウルシステムズ株式会社の支援を受けて綿密な PoC を実施しました。社内のリスク管理担当者とも協議を繰り返しながら、さまざまなテストを繰り返して機能や性能、安定性を確認していきました。ウルシステムズと AWS が具体的で実践的なサポートをプロアクティブに提供してくれたことが、この新しいチャレンジを実行するにあたって大きな助けになったと野口氏は話します。

データサイエンティストには高度分析基盤

ビジネス現場には BI ツールを提供

AWS を選んだ効果の 1 つとして、SOMPO グループは、変化に応じた段階的な構築が可能であったことを挙げます。当初、統合されたデータ管理基盤の必要性は感じていたものの、具体的にどのような活用をすべきか、どのような分析が必要かという点までは詳細に検討できてはいませんでした。

そこで SOMPO システムズとウルシステムズは、仮説検証を行いながら要件とアーキテクチャを固めていく“アジャイル開発”を実施しました。
「ウルシステムズは、私たちの希望や依頼を正確に理解し、それに上乗せした回答を用意してくれました。例えば、複雑な権限管理作業を自動化したことで運用負荷を 10 分の 1 に低減することができました。自動化すれば設定ミスなどによるセキュリティリスクの発生を回避できますし、浮いた人的リソースを IT 戦略に配分できます」(野口氏)

プロジェクトでは、SOMPO グループ各社が保有するデータの大きさ(数千万件規模になるものもある)から、ストレージには Amazon S3、データウェアハウスには Amazon Redshift を採用しました。そして SOMPO グループに所属する数十名のデータサイエンティストが実施する高度分析用途として、自由に使いたいツールを選ぶことができる Docker 環境を Amazon EC2 上に用意しデスクトップサービスの Amazon WorkSpaces を介して提供することでセキュリティを確保しました。今では大規模データを相手にモデルをクイックに作って実行できる基盤として大いに活用されています。

そして、活用イメージが具体化したことから、ビジネス現場の担当者によるデータ可視化/ BI 用途も今回の基盤で実現することになりました。ビジネス現場では、これまで扱うデータが限定的で表計算ソフトを使うスキルも俗人化しがちでしたが、BI ツールTableau を用意し SOMPO グループの DX 、 “データ活用の民主化”が着実に進展しています。
「すでに 1,000 名近いユーザーが Tableau を用いたデータ活用を実践しており、統合データが手軽に”見える””見せられる”ようになったと好評価です。プロジェクトオーナー部門としても、AWS を活用したからこそこのような開発方針の軌道修正を柔軟に行い大きなビジネスインパクトにつなげられたと思っています。同時に、柔軟であるがゆえに責任ある判断が求められることから、プロジェクトメンバーは強い使命感を持って取り組んでおり、AWS 活用やアジャイル開発は人が育つ環境でもあると感じています」(長谷川氏)

データの価値をお客さまのもとへ

AI/ML(機械学習)にも注目

今後、SOMPO ホールディングスでは、さらなるデータ活用に向けて本システムの機能強化に努める計画です。例えば、Amazon SageMaker を利用し、膨大なデータの活用をより効率化していくことを検討しています。また、巨大なデータ活用基盤のコスト最適化を図るため、Amazon S3 のデータを直接利用できる Amazon Redshift Spectrum の採用も視野に入れています。データの質・量や用途に応じて使い分けることで、ノード数やロード処理の負担を適正化していきたいとのことです。

「私たちが保有するデータは、これからビジネスの成長に合わせてどんどん増えていくことでしょう。より多くのデータを集めて、情報の質を高めていきたいとも思っています。そうした膨大で質の高いデータから得られた知見を活用してグループシナジーを発揮し、サービス品質の向上や新しい価値の創出につなげ、お客さまへ還元していきたい。そのために AWS の活用を促進していきたいと考えています」(長谷川氏)

長谷川智一 氏

野口勝司 氏


カスタマープロフィール:SOMPO ホールディングス株式会社

  • 設立: 2010 年 4 月
  • 資本金: 1,000 億円
  • 従業員数: 323 名(2020 年 3 月末現在)
  • 事業内容:損害保険会社、生命保険会社その他の保険業法の規定により子会社等とした会社の経営管理およびこれに附帯する業務

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • グループ横断的な統合データ管理基盤を実現
  • データサイエンティストへ自由度の高い高度分析環境を提供
  • ビジネス現場向けの BI 環境でデータ活用を促進

AWS アドバンスドコンサルティングパートナー

ウルシステムズ株式会社

デジタル変革をリードし、優良企業に対する数多くの実績を持つ IT コンサルティング会社。Amazon RDS および、Amazon Redshift のサービスデリバリー認定を所有。最先端のテクノロジーに精通し、ユーザー企業の DX を推進している。


ご利用中の主なサービス

Amazon Redshift

Redshift では、データウェアハウス、運用データベース、およびデータレイクにあるペタバイト規模の構造化データと半構造化データを、標準的な SQL を使用してクエリすることができます。

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Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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Amazon WorkSpaces

Amazon WorkSpaces は、マネージド型でセキュアなサービスとしてのデスクトップ (DaaS) ソリューションです。Amazon WorkSpaces を使うと、Windows または Linux のデスクトップが数分でセットアップでき、すばやくスケールすることで世界中のたくさんの従業員にデスクトップを提供できます。

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