導入事例 / 情報・通信

2023
SORACOM Logo

ソラコム、160 以上の国と地域で利用できる IoT プラットフォームを AWS 上で運用し、「IoT テクノロジーの民主化」を実現

500 万

サービス開始から 7 年間の契約総回線数

160 か国・地域

グローバル展開

約 20,000

顧客数

20 % 減

AWS エンタープライズサポートを活用した AWS コストの削減効果

概要

IoT プラットフォーム『SORACOM』を提供する株式会社ソラコム。サービスの根幹である通信コア機能や、バックエンド機能は、2015 年のサービス開始当初からアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に構築して運用しています。IoT 通信の『SORACOM Air』は、7 年間で契約回線数が 500 万を突破。SORACOM のサービスは、世界 160 の国と地域に拡がり、遠隔監視決済、社会インフラ、工場の可視化、農業・漁業など、幅広い用途で活用されています。

SORACOM Case Study

ビジネスの課題 | IoT に必要な機能をクラウド上にソフトウェアとして実装

センサーやデバイスといった“モノ”を、インターネットを介してクラウドに接続する IoT。DX を推進するうえで注目を集めています。この IoT の実現において必要な機能をクラウド上にソフトウェアとして実装し、導入を容易にしているのがソラコムの IoT プラットフォーム『SORACOM』です。

「“テクノロジーの民主化”を掲げ、誰もが簡単に、少ない初期コストで、必要な時にスピーディに IoT システムを構築できるプラットフォームを実現するべく、SORACOM を立ち上げました。2015 年にセルラー通信を用いた IoT 向け無線通信回線サービス『SORACOM Air』をリリースして以来、革新的なプラットフォームサービスを提供しています」と語るのは、上級執行役員で SVP of Engineering の片山暁雄氏です。

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SORACOM は、AWS をベースに設計したプラットフォームです。世界中にリージョンが拡がる AWS であれば、私たちのサービスを容易に海外に展開することができるからです

片山 暁雄 氏
株式会社ソラコム 上級執行役員 SVP of Engineering

ソリューション | マイクロサービス化された機能コンポーネントで構成

ソラコムは、2015 年にリリースした『SORACOM Air』からすべてのサービスを AWS 上で運用しています。その理由は、世界中に展開するグローバルインフラであることと、急速に拡大するトランザクションに対応可能なスケーラビリティを備えていること、通信プラットフォームを支える堅牢性にありました。

「SORACOM は、AWS をベースに設計したプラットフォームです。世界中にリージョンが拡がり、さまざまな機能を API で管理できる AWS であれば、私たちのサービスを容易に海外に展開することができます。何十億、何百億という膨大な IoT デバイスの接続を考慮するなら、AWS のスケーラビリティも欠かせません。セキュリティや耐障害性に関しても、必要なサービスが機能として揃っていることも魅力でした」(片山氏)

SORACOM の通信インフラは、パケット転送、回線管理、帯域制御、アクセス制御などの通信を司る『Polaris(ポラリス)』と、セッション管理、認証、課金などのバックエンド処理を行う『Dipper(ディッパー)』で構成され、マイクロサービス化された機能コンポーネントが疎結合で連携しています。

通信機能の『Polaris』は、状態を保持しないステートレスとして、障害発生時のフェイルオーバーを容易にしています。状態を保持するステートフルの領域はバックエンドの『Dipper』が担当し、『Dipper』の内部もマイクロサービス化、データストアには安定性が高く、ほぼ無制限で利用できる Amazon DynamoDB を採用し、堅牢性を確保しています。マイクロサービス群は、監視システムの『Hubble(ハッブル)』で監視し、異常時には自動復旧を行う運用としています。

「アーキテクチャは耐障害性を意識し、AWS のベストプラクティスに即した設計としました。マイクロサービス化の狙いは、Multi AZ による冗長構成を実現することと、独立したライフサイクルによるソフトウェアの更新をしやすくすること、少人数での開発・保守・運用を実現することにあります」(片山氏)

SORACOM の開発に着手したのは 2015 年春で、半年後の 9 月には『SORACOM A i r 』と、データ転送支援サービスの『SORACOM Beam』をリリースしました。当時の開発メンバーは 10 名ほどで、パケット交換機能、課金や認証の機能、運用管理の機能などと分担し、2 週間単位のスクラムを繰り返しながら開発を進めました。

「AWS の担当者からは、IP アドレスの割り当てやキャリアとの接続など、ネットワーク関連の処理に関して相談に乗っていただき、大変助かりました」(片山氏)

リリース後も機能強化を続けてきました。現在は 40 名のエンジニア体制で、7 つのチームに分けて新たなサービスを開発しながら、2 週間に 1 回のサイクルでリリースしています。アーキテクチャも一部のサービスをコンテナに移行するなど、修正を続けています。2021 年には AWS エンタープライズサポートに加入し、技術サポート、コスト最適化、新サービスの紹介などの支援を受けています。

「エンタープライズサポートによるコストの最適化支援により、リザーブドインスタンスや Savings Plans を適用したり、不要なサービスを見直したりした結果、契約回線数が右肩上がりで増えているにも関わらず、数か月間で AWS の費用を約 20% 削減することができました。新たなサービスとしては AWS のブルー / グリーンデプロイを紹介していただき、デプロイを自動化することができました」(片山氏)

アーキテクチャ

SORACOM Architecture Diagram

導入効果 | 導入実績は世界全体で約 20,000 件、幅広い用途で活用

SORACOM のサービスは、提供開始から 7 年間で大きく成長し、2022 年 12 月現在、世界 160 の国・地域で利用できます。SORACOM Air は、国内外の通信キャリアで使えるセルラー通信(5G/LTE/LTE-M)から、IoT 向けの Sigfox や LoRaWAN までカバーし、契約総回線数は 500 万を突破しています。

顧客数は、世界全体で約 20,000 件。活用用途は幅広く、モノやヒトの位置情報を把握する動態管理、機器の故障検知や安全保全を実現する遠隔監視、キャッシュレスを見据えた決済端末、ラインの稼働状況を把握する工場の可視化、大手ガス会社の自動検針や防災などの社会インフラ、一次産業の農業・漁業・畜産など多岐にわたります。近年ではコンシューマー向けのプロダクトやサービスに組み込む事例も増えており、世界中で使える通訳デバイスなどが製品化されています。

「おかげさまで国内から海外まで、多くのお客様に SORACOM のサービスを利用いただいています。国内では IoT が地域に浸透しつつあります。海外でもミツバチの健康管理と受粉活動を支援するサービスなど、私たちが思ってもみなかった領域で活用され、裾野が広がっていることを実感しています」(片山氏)

SORACOM は現在も進化を続けており、続々と新たなサービスがリリースされています。2022 年 5 月にはスマートフォンのアプリから、複数台の監視カメラの端末を管理できるクラウドカメラサービス『ソラカメ』をリリース。2022 年 7 月には人工衛星を利用したメッセージ送信機能をプラットフォームに統合し、さらなるカバレッジ拡張を進めています。

「SORACOM は世界共通のプラットフォームです。SORACOM の名前が表に出なくても、IoT を使って新しいビジネスを実現するお客様を増やしていくことが、私たちの役割だと思っています。今後も IoT の民主化に取り組みながら、社会やビジネスのイノベーションに貢献していきます。AWS には引き続き、技術面とビジネス面の両面で支援を期待しています」(片山氏)

カスタマープロフィール:企業概要 株式会社ソラコム

「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」をビジョンに 2015 年にサービスを提供開始。「テクノロジーの民主化」をミッションに、I o T プラットフォーム『SORACOM』を提供する。提供サービスは、SORACOM Air を筆頭とする IoT 通信、デバイス、ネットワーク、アプリケーション、インターフェースと多岐にわたる。

片山 暁雄 氏

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上記は 2022 年 11 月時点での情報です。

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