株式会社タイテックは、愛知県名古屋市でFA関連機器、情報通信機器の開発、製造販売を行う企業です。会計、生産管理、在庫/購買管理、販売管理等、人事 以外のほとんどの業務で、SAP Business Suiteを活用しており、2013年に基盤となるサーバー環境の保守切れを迎えました。当初、新規の物理サーバー導入によるサーバーリプレースを検討し ていましたが、高い拡張性や信頼性を有しながら、初期費用を低減できる方法が無いかと検討をしていました。

SAP基盤としてAWSを選定した理由としては、以下の点になります。

  • 初期費用が不要で、スモールスタートではじめられ、且つ拡張性に優れている
  • 2020年まで保守期限があるERP6.0に対して、次回のインフラリプレースが必要なくなる
  • 停電等の設備上のトラブルやハードウェア障害の対応負担を減らせる

運用要員を多くは割けない中で、適正なコストで導入でき、運用負担も減らせるSAP on AWSは魅力的な選択肢でした。ただし、従来、AWSの利用は部門の簡単なアプリ環境でしかありませんでしたので、多数の重要な業務を行うSAP環境を AWSにリプレースするにあたっては、以下のような懸念がありました。

  • AWS環境がJSOX(IT統制上)、会計監査上、問題になるかどうか
  • 基幹システムとして全社で利用する上で、現状と変わらないパフォーマンスが安定的に得られるか

会計監査については、監査法人に確認をしましたが、従来のハードウェア以下の部分がクラウドに変わるだけということで、AWS特有の問題はありませんでし た。また、パフォーマンスについても、従来と変わらないパフォーマンスであることを確認することができました。
導入を決定してから、本番環境の稼働にいたるまでは、約6か月の工程で実現できました。主なスケジュールは以下の通りです。

2012/11 計画作成
2012/12-2013/4 動作評価環境構築、パフォーマンス確認、動作確認・エラー修正
2013/2-3 本番環境構築および運用環境準備(死活管理、起動、バックアップ) 外部システム連携対応
2013/3  移行の予行練習
2013/5/3-4 本番環境移行
2013/5/7 本番環境運用開始

 

 

「株式会社タイテック様 システム構成図」

自社でSAP環境を構築するのは、初めての取り組みでしたが、AMI(Amazon Machine Image)を利用することで、開発環境や評価環境を手軽に構築でき、トライアンドエラーで進めることができたため、無事に構築することができました。構 築にあたってはAWS サポートも活用し、APIツールやAmazon VPC、さらには、Windowsやネットワークなど範囲外のこともアドバイス頂き助かりました。

今後、5年間の利用を考えた場合、物理サーバーを導入する場合と比較して、60%以上のコスト削減になる見通しです。5年後に物理サーバーを再度リプレースすることも考えれば、コスト削減効果は更に高いと言えます。

すぐに新規導入、増設が可能で、柔軟な導入計画が可能で、従量課金の為、まず試してみるというアプローチがとれたことが大きな成功要因だっ たと思います。評価環境のインスタンスタイプを変更するだけで本番環境を構築できたことも、コストだけではないメリットを実感出来ました。

今後は、社内のファイルサーバやActiveDirectory、グループウエアといった環境でも、AWSを検討しています。また、SAPのバージョンアップや新機能確認の為のテスト環境としても利用していく予定です。

 

 

- 株式会社タイテック 経営管理部 エキスパート 石田晃一様