東京海上日動火災保険株式会社

東京海上日動、通信機能付きドライブレコーダーを活用したサービス基盤に AWS を採用。累計 24,000 件の事故と約 3,300 件の救急要請* に対応し、お客様の安全・安心をサポート

* 2023年3月現在
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お客様の大切な命を守るドライブレコーダー付き自動車保険『ドライブエージェント パーソナル』にとって、システムの安定稼働を支える AWS は欠かせない存在です"

早川 徹 氏
東京海上日動火災保険株式会社
個人商品業務部 自動車グループ

日本初の保険会社として設立し、140 年以上にわたって国内外で事業を展開する 東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)。同社は 2017 年 4 月、大手損害保険会社で初となる個人向けドライブレコーダー付き自動車保険『ドライブエージェント パーソナル』(以下、DAP)を発売しました。2021 年 4 月にはアマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用して 2 カメラ一体型モデルをリリース。累計 24,000 件以上の事故に対応しています。

衝撃を検知すると自動で通報
通信型ドライブレコーダー付き自動車保険

東京海上日動は 1914 年、日本で初めて自動車保険の営業を開始しました。現在、自動車保険の保有契約台数は 約1,400 万台と、業界トップクラスの実績を誇ります。DAP は、自動車保険の特約として提供している通信機能付きオリジナルドライブレコーダーを活用したテレマティクスサービスです。ドライブレコーダーは前方 1 カメラ型と 2 カメラ一体型があり、契約時に選択が可能です。
 
「ドライブレコーダーに通信機能を備えているため、映像を記録するだけでなく、事故の強い衝撃を検知した際に自動で事故受付センターに連絡したり、事故の映像を東京海上日動に自動送信したりすることができます。お客様が意識を失った場合等の緊急事態では、お客様に代わって救急要請するなど、お客様を全力でサポートします」と個人商品業務部 自動車グループの早川徹氏は語ります。
 
その他、各種警告機能によりお客様の安全運転をサポートする事故防止支援サービスや、ドライブレコーダーに搭載のセンサー情報から運転特性を判定する安全運転診断サービスを提供。2 カメラ一体型では、連動する専用スマホアプリを通じて、優良ドライバーが特典を受けられる『クーポンチャレンジ』を実施しています。運転診断で算出された得点に応じてコンビニなどで利用できる電子クーポンを獲得できます。
 
ドライブレコーダー付き自動車保険の契約台数は順調に伸び、個人向け・法人向けあわせて100万台(2023年3月時点)に達しています。事故対応件数は累積 24,000 件以上、事故直後に発信した救急要請の件数も累積3,300 件以上と、多くのお客様の安全・安心を支えています。

お客様の期待に応えて
2 カメラ一体型をリリース

DAP は、今までの自動車保険にない「事故前・事故直後において、お客様に安心・安全を提供したい」という同社の想いの下、IoT デバイスから事故自動通知と安全運転支援を行える革新的なサービスとして発売されました。当初は前方 1 カメラ型のみでしたが、お客様からの要望を受けて 2018 年頃から 2 カメラ一体型の検討を開始し、2021 年 4 月にリリースしました。

「検討当時、あおり運転が社会問題化し、ドライブレコーダーの需要が高まっていた中で、市販のドライブレコーダーも複数のカメラを備えた製品が主流になっていました。DAPも2カメラ型を発売してほしいというお客様からの声を多くいただいていたため、約2年の開発期間をかけて2 カメラ一体型をリリースしました」(早川氏)

2 カメラ一体型のシステム開発に際し、プラットフォームには AWS を採用しました。同社は 2013 年頃から AWS の利用を開始し、全社方針として基幹業務やサービス基盤に AWS を活用する戦略としていました。IT企画部企画グループの新田光氏は次のように語ります。

「金融機関としてガバナンスの強化が求められる中、AWSは、安全対策基準を満たすための解説書やドキュメント類が充実しており、金融庁の指針に則したシステムを構築しやすいことが AWS を採用した大きな理由の一つです。お客様の命を預かるサービス基盤としても、セキュリティ面も含めAWS であれば安心感があります。継続的な値下げによるコストパフォーマンスの高さ、サービスの提供スピードなども評価しました」

システムは、Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)を活用したスケーラビリティの高いアーキテクチャとし、機能群はマイクロサービス化してAmazon Simple Notification Service (Amazon SNS) / Amazon Simple Queue Service (Amazon SQS)で連携。外部のサービスともAPIによる疎結合で連携しています。

「安全性が求められる緊急通報の機能との連携は、AWS Direct Connectを活用して性能を確保しています。大量データをやり取りするデータ分析基盤との連携は、ETLツールの AWS Glue を活用して処理時間の短縮を図りました」(新田氏)

自動車保険の付加価値を高める
必要不可欠なサービスに

約 3,300 件の緊急要請に対応した実績を持つ DAP は、同社の自動車保険の付加価値を高めるサービスになっています。

「お客様からは、事故の際に速やか救急要請でき、到着するまで声をかけ続けてもらえて助かったといった声が届いています」(早川氏)

事故発生時以外でも、DAP の各種サービスであおり運転等のトラブル発生時に活用できたり、事故の頻度が減ったり、事故解決の日数が短縮できたりと、さまざまなメリットをお客様にもたらしています。

DAP で取得した各種データは、AWS 上に構築した自社保有のデータ分析基盤上で分析し、AI を活用した事故状況再現システムによる事故の責任割合の自動算出や、商品開発の用途などにも活用しています。

「走行データや映像データを蓄積し、一度に数億、数十億のデータを処理するような要件に、AWSの基盤が持つ高いスケーラビリティはよく適合していると考えています。お客様への価値提供の精度を高めるうえでも、重要な役割を担っています」(新田氏)東京海上日動は、今後も DAP のお客様の声に耳を傾けながら、新たな機能を随時追加していく計画です。「サービスの進化とお客様数の増加によって、DAP の基盤負荷はより高まっていくことが予想されます。AWS には引き続き、安定稼働に向けた支援を期待しています」(早川氏)

そこにも AWS のイノベーションが