ハードウェアリプレースの負担を軽減したいという思いから、情報系システムから AWS への移行を決断しました。
社内システムと専用線でつなぐ AWS Direct Connect や、AWS のセキュリティ機能を説明することで、
稟議をスムーズに通すことができました。
藤本 幸成 氏 ヤマエ久野株式会社 情報システム部 部長代理

福岡県を拠点に加工食品卸事業や住宅・不動産関連事業を展開するヤマエ久野株式会社。インフラ保守の負担軽減を目的に、社内システムのクラウド化に着手した同社は、株式会社 NTT データ九州の支援を受けて、グループウェアを皮切りにワークフローシステム・ウィルス対策システム・IT 資産管理システムを 1 年以内に AWS に移行しました。決定から 2 週間でインスタンスを立ち上げて、グループウェアのアプリケーションをインストール。2 ヶ月で本稼働させ、全社展開しています。グループウェアは Amazon EC2、Amazon RDS で構成し、導入コストと管理工数を軽減しました。今後も必要に応じて情報系、基幹系システムのクラウド化を推進していく構想です。


 

九州トップクラスの総合卸売業者として、「食」と「住」の分野を中心に、人々の暮らしを支えるヤマエ久野。30 社以上のグループ会社を擁し、取扱商品は、冷蔵・冷凍食品や調味料・インスタント食品などの加工食品、ビール・焼酎など酒類全般、小麦粉・砂糖・穀類などの原材料、飼料など「食」に関するものから、「住」に関する木材・住宅設備機器まで多岐にわたります。近年は「グッド アンド ビッグカンパニー」を経営方針に掲げて物流・情報網を整備し、事業地域を九州全域から関西、関東、さらには海外へと拡大しています。

同社はビジネスを支える基幹系、情報系システムは、オンプレミスで構築し、情報システム部とグループの情報子会社で運用管理してきました。しかし、システムの保守メンテナンスや、ハードウェアリプレースの負荷が大きくなってきたことから、20 年来利用してきたグループウェアの刷新とハードウェアの更新を機にクラウドサービスへの移行を決断しました。「クラウド化の最大の目的は、ハードウェアを資産として持たないことです。5 年ごとのハードウェアリプレースは情報システム部門の大きな負担になっていました。また、2016 年に震度 7 の熊本地震が起きたこともあり、BCP 対策も必要でした。そこで、まずは情報系システムからクラウド化に着手することにしました。」と語るのは、情報システム部 部長代理の藤本幸成氏です。

 

同社は 2016 年の秋から具体的な検討を開始し、3 社のベンダーの提案を比較。その中から採用したのが、NTT データ九州が提案した AWS です。決め手は、導入実績の豊富さに加え、パートナーである NTT データ九州のサポート対応を含めた提案レベルの高さにありました。情報システム部 ビジネスサポート課 課長の青木一也氏は次のように語ります。

「本格的なクラウドサービスの導入は初めてのため、サポート体制を重視しました。当時は九州でクラウドを活用している企業は少なく、ノウハウを持つベンダーも多くありません。ところが、NTT データ九州は AWS に関する技術者が多く、九州でも豊富な実績がありました。万一の際に駆け付けてオンサイトでサポートしていただけることもポイントになりました。」

クラウドサービスを導入する際に必ず話題となるのがセキュリティです。同社でも、システムを社内ネットワークの外部に置くことを不安視する声が一部から挙がりました。そこで、AWS 環境と自社のオンプレミス環境を専用線でつなぐ AWS Direct Connect や、AWS のセキュリティ機能で万全な対策が実現できることを説明し、理解を得たといいます。情報システム部 ビジネスサポート課 係長の瀬川孝生氏は「AWS は既存環境と同等、もしくはそれ以上にセキュリティレベルが高いと説明することで経営層にも納得いただき、稟議をスムーズに通すことができました。」と説明します。

グループウェアの更新プロジェクトは、2017 年 3 月にスタート。AWS のインスタンスを 2 週間で立ち上げてアプリケーションを導入し、同年 5 月には新たなグループウェアとワークフローシステム(WF)が本稼働を開始しました。その後、アプリケーションの動作テストやユーザーへの操作教育などを経て、2017 年 8 月には全社展開を完了。現在は同社の従業員約 1,500 名とグループ会社の一部社員約 500 名を合わせた約 2,000 名が新たなグループウェアと WF を利用しています。

グループウェアと WF は、Amazon EC2 と Amazon RDS for PostgreSQL を用いて 3 層のネットワークを構成し、初期コストと運用負荷の軽減を図っています。導入を支援した NTT データ九州の友永英機氏は「アプリケーションに対応した Amazon RDS を採用することで、データベースの構築コストが削減できます。フルマネージドサービスの Amazon RDS であれば、導入後の管理工数を下げることができ、運用負荷が軽減されます。」と話します。

グループウェアが稼働してから半年後の 2018 年 2 月には、既存のウイルス対策システムをバージョンアップしてオンプレミス環境から AWS に移行。さらに IT 資産管理システムを新規で AWS 上に構築しました。

「AWS を採用することでサーバー調達期間が従来のオンプレミスと比べて 4 分の 1 になりました。また Amazon EC2 は他社と比べてもインスタンスタイプが幅広く、要件に合わせて最適なリソースを選べる点もメリットです。近年は業容拡大やユーザー数増加に伴い、サーバーのスペック増強の要件も出ていますが、スペックを容易に変更できることも運用側から見ると大きな魅力です。」(青木氏)

AWS への移行により、旧グループウェアを運用していた物理サーバー 3 台と、ウイルス対策システムを運用していた物理サーバー 1 台が不要になり、その運用負荷が軽減されました。瀬川氏は「5 年ごとに発生するハードウェアのリプレースを考える必要がなくなり、精神的な負担は大幅に少なくなりました。」と話します。

グループウェアと WF の導入から 1 年後には稼働実績を踏まえて、Amazon EC の料金を従量課金のオンデマンドから、一定期間の料金を定額で支払うことで大幅な割引になるリザーブドインスタンスに切り替え、2 年目以降はスペックの見直しを行いコストの低減を図りました。これにより、長期的なコストの最適化が実現する見込みです。

今後については、情報系システムを中心に AWS へ移行していく考えです。

「一部の情報系システムは数台の物理サーバー上で運用していますが、今回のノウハウを活かして移行を検討していきたいと考えています。基幹系システムについても、サーバー OS、連携システム、ネットワークの負荷などを踏まえて、クラウド化の可能性を探っていきます。」(藤本氏)

クラウドサービスの活用としては、事業拡大によって出張などが増えていることから、セキュリティを確保するために仮想デスクトップ(VDI)サービスの Amazon WorkSpaces を試験導入し、評価を続けています。

さらに、2018 年秋には組織横断型の「AI プロジェクト」を発足し、商品の需要予測などに全社を挙げて取り組んでいます。「ビジネスの急激な成長に IT が貢献できるよう、デジタル化を積極的に進めていきます。AWS や NTT データ九州にはそのための提案を期待しています。」と藤本氏は語ります。

藤本 幸成 氏

青木 一也 氏

瀬川 孝生 氏


APN セレクトコンサルティングパートナー
株式会社NTTデータ九州

九州エリアで Web システムから基幹システムまで多様な AWS 上でのシステム構築実績を持つ NTTDATA グループ企業。お客様の立場で最適なクラウド活用、グランドデザインを策定するクラウドコンサルティングから、エンタープライズシステムで重要な障害監視、運用代行を含むマネージドサービスまで、上流から運用まで一貫してお客様のクラウド導入を支援している。


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