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【開催報告 & 資料公開】AWSメディアセミナー NAB Show 2026 recap

AWS は 2026 年 4 月 18 日 – 22 日にラスベガスで開催された世界最大の放送機器展「NAB Show 2026」に出展し、30 を超えるデモを展示しました。全デモの 83% に AI が組み込まれ、 そのうちの半分の展示に AI エージェントが採用されるなど、さまざまなメディアワークフローに AI が組み込まれていました。

AWSメディアセミナーでは、NAB Show に参加したソリューションアーキテクトの井村紀彦と小南英司が登壇し、AWS ブース展示の中から注目度の高いトピックを厳選してご紹介しました。 本セミナーは AWS Black Belt Online Seminar シリーズとして資料を公開しています。

NAB Show 2026 recap メディア & エンターテインメント業界編 [資料][動画]

Multiplatform Distribution — クラウド × IP × AI でライブ配信を再定義

MXL(Media eXchange Layer)— 11 社相互運用で業界標準が現実に

本エリアで最もインパクトが大きかったのが MXL v1.0 の正式リリースです。非圧縮メディアを超低遅延で交換するクラウド共通規格が存在しなかったために、これまでのライブ制作では環境がベンダーロックインされてしまったり複雑なインテグレーションを自前で行う必要があったりと困難が生じていました。NAB Show のデモでは、Amazon EC2 上の共有メモリと EFA RDMA を活用し、11 社が映像や音声、メタデータを放送品質で相互に共有しました。多くの製品間で相互運用性が成立することを示した点が画期的です。

3つの AI エージェントでライブ配信障害を End-to-End で診断

ライブ配信の障害特定はこれまで時間と専門知識を要する課題で、視聴者から「映像が止まった」との問い合わせが来た際に、エンコーダーや途中経路、CDN などのどこが原因なのか、切り分けに多大な時間を要していました。会場で常に人だかりができていたこのデモでは、Amazon Bedrock AgentCoreStrands SDK で実装した 1 つの Supervisor と 3 つのサブエージェントが、MCP(Model Context Protocol)を介して各データソースを統一的に分析します。本デモはこれらのバックエンドを 2 つの UI から利用できる点も特徴的で、非技術者向けの AI アシスタント Amazon Quickと技術者がトラブルシューティングやデプロイを行う AI IDE の Kiro を、利用者のスキルに応じて入口を選べます。実装サンプルは GitHubで公開されており、任意の AWS アカウントへのデプロイが可能です。

その他の注目展示

AWS Elemental MediaConnect Router は、SDI マトリクスや IP ルーターを使わずにクラウド上でライブ映像フィードのルーティングや切替を API 経由で制御することが可能な AWS サービスです。TAMS(Time-addressable Media Store)は BBC が開発をしたオープンソースプロジェクトで、Amazon S3 上に保存したライブ素材を TAMS 対応ソリューションを介して追っかけ編集したりプレビューしたりすることを紹介しました。また、AI ブランドセーフティのデモでは Amazon BedrockAmazon RekognitionAmazon Transcribe でライブニュース映像をリアルタイムにカテゴリ分析して、適合した広告のみを配信する仕組みを展示しました。

Content Creation — コンテンツ制作

AWS Elemental Inference — 複数デモで存在感を示した今年最大の注目サービス

AWS Elemental Inference は、AWS 初のライブ映像向け AI サービスで、追加の制作チームや特別な AI 専門知識を準備することなく、リアルタイムに縦型フォーマットに自動変換し重要シーンのハイライトクリップを自動抽出可能です。AWS Elemental MediaLiveAWS Elemental MediaConvert と統合されており、既存ワークフローにそのまま組み込めます。Fox Sports での採用も発表されています。

その他の展示

Kiro を用いて Adobe Premiere Pro のネイティブプラグインを半日で開発するデモや、ComfyUI を Amazon EKS 上でコンテナ化することで GPU 環境を安価に実現する AI クリエイティブ環境、AWS Deadline Cloud による最大 85% コスト削減のレンダリング最適化、Avid Content Core によるクラウド MAM 環境なども展示されました。

Media Lifecycle Management — アーカイブを収益源へ

本テーマは「アーカイブをコストセンターから収益源へ」で、メタデータの自動付与やメタレス検索などの検索の高度化、コンプライアンスや契約のチェックを行う利用可否の判定、多言語翻訳やニュース自動編集を行う作業の自動化の 3 軸で展示が行われました。

AI エージェントによるコンテンツ審査・契約書チェックの自動化

利用可否の判定で多くの来場者の注目を集めていた展示はコンテンツ審査の自動化です。Amazon Nova で映像全体を分析してレーティングとモデレーションフラグを検出し、Amazon Bedrock Agents で権利検証とメタデータ品質管理を自動化することで、審査サイクルを大幅に短縮し、コンプライアンス基準への一貫した準拠を実現します。また契約書の構造化も多くの来場者を集める展示でした。膨大な PDF に埋もれた権利契約やライセンス、人材契約を、25 種のAI エージェントが分析し、Amazon OpenSearch Service で検索可能なメタデータに変換します。これにより数十年分の契約を数秒で検索でき、権利判断の意思決定を大幅に加速することが可能です。

その他の展示

検索の高度化では Media2Cloud によるフレームレベル動画分析と、MediaLake による自然言語によるマルチモーダル検索が展示されました。どちらもオープンソースで公開されており、すぐにデプロイ可能です。作業の自動化では Amazon Bedrock などを用いた 20 言語以上の字幕や吹替自動化が展示されました。

Revenue Generation — 収益の創出

本エリアでは、AI を用いることで中小企業が数分でテレビ広告を自動生成するデモ、広告エージェントによるメディアプラン立案の短縮、ライブスポーツ配信における文脈判断による広告挿入などが展示されました。

Builder Zone

製品開発チームによる高度な技術ディスカッションエリア「 Builder Zone」では、AWS Elemental Inference による縦型動画やハイライト自動生成、AWS Elemental MediaConnect によるライブ配信品質監視(MQAR)と自動フェイルオーバー、AWS Elemental MediaConnect Router によるクラウドネイティブ映像ルーティング、Amazon CloudFront の CBOR Web Token (CWT)/Common Access Token (CAT) によるミリ秒以下の認証トークンの展示がありました。

おわりに

本ブログでは、NAB Show 2026 の AWS のブース展示を 4 つのテーマで振り返りました。今年の展示が示した方向性は、(1) AI がリアルタイムを制す (2) IP × クラウドでソフトウェア化を加速 (3) アーカイブが”動く資産”になる (4) コンテンツ制作の民主化でした。セミナーにご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。メディアチームでは、業界の皆様に役立つ情報を引き続きセミナーやブログで発信してまいります。

参考リンク
AWS Media Services
AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
AWS Media & Entertainment Blog (英語)

AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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この記事は SA 小南英司が担当しました。