テストの問題を自動で生成する

生徒に合わせたテストの問題を効率的に作成したい

学校をはじめとする教育の現場では、指導にあたる先生の負担の大きさが一種の社会問題になっています。反面、生徒により良い学習体験を提供することは、先生方にとって特に重要な職務であり、おざなりにはできません。

こうした背景から、自身の生徒に合わせたオリジナルの問題を提供したい思いはありつつも、どうしても毎年新しい問題を作成することは難しいというジレンマに陥ってしまう場合も多いと思います。

そこで、生成 AI の力を借りてテスト問題の作成を補助できないか考えてみました。

学習状況に応じた問題を生成する

先生は、次のような形で問題の作成を依頼します。

中二までに習う単語の範囲で、動名詞と不定詞の選択問題を作成してください。
例1) I enjoy _ (play) soccer with my friends.
  a) playing
  b) to play
例2) They plan _ (visit) their grandparents this weekend.
  a) visiting
  b) to visit

この時に、作成したい問題の類題を与えるとより精度が高まります。
(これは大規模言語モデルではよく用いられる手段で、Few-shot learning と呼ばれます。)

既存の教材や、学習指導要領といったデータを参照することで、生徒ごとに最適なレベルの問題を生成することが可能です。
例えば、数学の問題ではより高学年の知識を使うことで容易に解けてしまうケースがありますが、現在の学習範囲で解きやすいような問題設定を行うことが可能です。

また、生成された問題を解いたときの正答率やフィードバックを元に新たな問題を作成でき、生徒が苦手としている問題については類題を増やす、といったことを簡単に行うことができます。

構成のポイント

今回の構成では、Amazon Kendra を用いて、生成 AI アプリケーションから既存の教材や学習指導要領、過去問のようなデータを参照して問題を作成できるようにしています。学校ごと、科目ごと、先生ごとに重視する指導項目は変わってくることが考えられるので、参照するデータを変更することでカスタマイズできるように考慮しています。

また、一度生成した問題をデータベースに保存し、その問題に対する正答率やフィードバックを蓄積していくことで、使い込むことでより学校のカリキュラムにあった問題を生成できるようになっていくことを期待しています。

まとめ

先生方の負担を軽減することと生徒により良い学習体験をもたらすことを目標に、今回のソリューションを提案しました。

新しい問題の“生成”というのは、文字通り生成 AI が特に強みを発揮できるユースケースであると考えています。

今回のシステムを改善し、生徒が自習の際にも自分で苦手な問題の類題を作成できるようなシステムを構築すると、さらなる学習体験の向上をもたらすことができるかもしれません。

本記事の執筆者

松田 丈

パブリックセクター技術統括本部
プロトタイピングソリューションアーキテクト

普段は公共部門向けのプロトタイプを作成する専門のソリューションアーキテクトとして、地方自治体や病院など様々なお客様に向けたプロトタイプの開発を行っています。


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