NECソリューションイノベータ株式会社は、AWS のパートナーとして AWS サービスをエンドユーザー様に販売するとともに、AWS を活用したソリューションとサポートサービスを提供する役割を有しています。当社は、NEC グループが展開する社会ソリューション事業における中核会社として、幅広い業種のお客様に向けた SI サービス事業を遂行しており、AWS に関する案件に対しても、迅速に問題解決できるようにするため、知識や運用・保守経験など技術的な観点でのスキル強化が急務でした。このような背景から、弊社は AWS に関する技術支援の専任組織として各テクノロジー分野で問題解決経験が豊富なプロフェッショナルによって構成されたCoE (Center of Excellence) チームを発足させました

AWS はオープンな技術に基づいたサービスで、AWS の ウェブサイトに掲載されたドキュメントをはじめとして一般に公開されている情報からサービス概要や関連技術を理解することが可能です。しかしながら、お客様が抱くサービスに対する期待や要望に応えられる高水準のサービスを提供するためには、クラウドや AWS ならではの運用・保守に関するチャレンジがどのようなものなのかを理解する必要がありました。また、CoE チームが発足した時点においては既に「AWS の利用を検討したい」という声を多くのお客様からいただいており、 AWS 環境における問題解決スキルを身に着けることも急務でした。

これらの課題を解決して、迅速に組織を立ち上げるために採用したのが、AWS のエンタープライズサポートでした。エンタープライズサポートでは、技術的な質問の優先対応を受けられるだけではなく、弊社担当のエンジニアとしてテクニカルアカウントマネージャー(TAM)がアサインされます。弊社では、この TAM の方と密接にやり取りすることで、上記のような課題の解決を図っており、一つの施策がオフィスアワーです。

オフィスアワーは、TAM と対面してその時々の課題を気軽に相談できる時間です。例えば、AWS のアライアンス担当チームにも加わっていただき契約の手続きや請求書の扱い方に関して話をしたり、クラウドサポートエンジニアにも参加していただきサービスに関する技術的なディスカッションやお客様対応をおこなう弊社エンジニアの育成プランについて相談したり、重要案件を想定したサポート体制などについて話をさせていただくなど、様々な施策の立ち上げに活用しています。他にも、継続したサポート品質の向上のために実際に対応をしていただいたサポートケースの内容を精査し、対応内容を向上するためのディスカッションをさせていただくことや、お客様向けの回答文案について、必要であればアドバイスをいただくなどのご利用方法もご提案いただいています。

オフィスアワーの中で、クラウドの技術的な支援に関する不安を相談したところ、多くのお客様で広く使われているサービスから対象に、AWS サポートが蓄積している問題対応事例やクラウドサポートエンジニアがもつ問題解決のアプローチ方法を紹介してもらうことになりました。2015 年 5 月から開始された技術トレーニングは計 5 回を数え、Amazon EC2 や Amazon RDS などの主要サービスに関して問題解決する場合の対応方法を身に着けることができ、自信を持ってお客様対応を行う準備ができました。実際、そのトレーニング内容は弊社お客様でも採用されているユースケースや想定されるトラブルに合わせて設計されており、日々の運用・保守業務に役立つ実践的なものだったと感じています。特に、AWS サポートに問い合わせすることなく弊社の初期対応で自己解決できる問題も着実に増え、AWS サポートへの問い合わせが必要な難易度の高い問題においても、弊社で一次切り分けと調査を適切に実施することで問題解決までの時間を短くして、お客様への価値につなげることができるようになりました。

また、当初は期待していなかった副次的な効果として、AWS サポートのエンジニアと顔を合わせてコミュニケーションできたことで、メールや電話での単なる一問一答を超えて、それぞれの立場や苦労を理解した上で、お客様の課題を共に解決して最高のサービスを提供することを目標にした協力体制を築くことができました。

AWS のエンタープライズサポートを利用することで、万一お客様の業務やビジネスに影響を与えるような問題が発生してしまった場合においても、その状況に応じた適切な緊急度を選択してサポートセンターに問い合わせをすることで、迅速に AWS 環境における問題解決に精通したサポートエンジニアと連絡をとり、問題解決の支援を受けることができます。また、エンタープライズサポートの問い合わせは、同じ緊急度のビジネスサポートや開発者サポートの問い合わせと比べて優先的にサポートケースを対応していただけるだけでなく、緊急度「非常事態」の問い合わせに関しては 15 分の応答時間で対応していただけます。そして、障害対応が始まった後も、専任の TAM が弊社エンジニアと AWS のサポートエンジニアの架け橋となり、スムーズに問題解決まで導いていただけます。エンタープライズサポートにおける手厚いサポートがあることで、お客様のビジネスにとって重要なシステムも AWS 環境で安心してご利用いただくことができています。

 

-  賀門 和巳 様(NECソリューションイノベータ株式会社 クラウドサービス事業部 マネージャ)