株式会社ゼンリンデータコムは、長年積み重ねて築いてきた正確な地図情報力を背景として、地図配信や位置情報サービスを提供している会社です。個人向け法人向け問わず、様々な種類のシステムの開発や運用を行っております。

当社が提供するサービスでは、高い可用性が求められます。当社は早い段階からAWSを検討し部分的に採用を進めてきましたが、より重要なシステムを安定的に運用するためには、AWSをより深く理解して、運用体制を構築することが必要でした。また、よりコアビジネスに集中できる体制を確立する上で、インフラストラクチャ運用の手間を抑えることも課題となっておりました。

こうした課題を解決するために、当社では Amazon Elastic MapReduce, Amazon SQS, Amazon DynamoDB 等のような AWS のマネージドサービスを積極的に利用し、インフラストラクチャ運用の手間を削減することを目指してきました。

しかしながら、新しいことにチャレンジしていくにあたっては、様々な問題が発生することが予想されました。それまでのオンプレミス環境の運用とは異なる知識、ノウハウも必要となることもあり、効率的かつ効果的に対応していくために、当社は AWS とより密に連携しつつ進めていく必要性があると考えました。このような背景から当社では、AWS サポートの「エンタープライズプラン」を導入しました。

AWS のサービスは目的に合わせて数多く提供されており、また非常に速いスピードで進化します。これらのすべてをキャッチアップすることは容易ではありません。こうしたサービスの進化に合わせて、適切な利用が行えるようにする上でも、「エンタープライズプラン」で提供されるサービスは非常に当社にとって助かりました。

AWS サポートの「エンタープライズプラン」では、サポートセンターに加えて、当社担当のエンジニアであるテクニカルアカウントマネージャーがアサインされます。AWS の利用に際して、どのサービスを使っていけばよいか、あるいは新しい機能を導入していく上で悩んだり困ったりしたときに気軽に相談できる担当エンジニアの存在は心強いものでした。

システム構築の際には、テクニカルアカウントマネージャーやソリューションアーキテクトの方との議論を通して、より良いアーキテクチャ、実装を目指してきました。現在もなお継続的に改善を行っています。AWS のエンジニアの方々は、エンジニアとして高いスキルや経験、AWS における運用のノウハウをお持ちで様々なアドバイスをいただけるため、議論の時間は有意義なものであると感じています。

当社が AWS 上で運用しているシステムの中には、高い可用性が求められるものが多く、その要求水準を満たすために様々な施策を実施しています。

アプリケーションの設計段階においては、様々な状況を想定しながら設計を行っておりますが、それでも不測の事態が発生する可能性は、常に考慮にいれておく必要があります。

そして、万が一そういった不測の事態が発生してしまった場合には、可能な限り迅速な復旧をする必要がありますし、また、再発防止策の実施や、根本対応が不可能な場合には、再発時の対応方法を検討する必要があります。高可用なシステムの実現のためには、構築段階における適切な設計、実装のみならず、稼働後の運用プロセスを洗練させることは必要不可欠と考えております。

この点においても、当社ではテクニカルアカウントマネージャーの方と協議を行い、より高い可用性を実現するためのプロセスを構築してきました。

「エンタープライズプラン」の一つの特徴が、24 時間 365 日 15 分以内の初回応答が期待できる「非常事態」という緊急度をサポートセンターで使用できる点です。このような機能を障害対応のプロセスに組み込めることは高可用性を担保するうえでアドバンテージであると感じています。

AWS サポートを利用することにより、トラブルの際も運用の負荷が確実に下がっていると感じています。

また、当社では、月一回のペースで担当のテクニカルアカウントマネージャーの方と運用にテーマを絞った定例会を実施しており、特定の事象に対して説明をうけたり、それに対する対応方法に関する議論を行ったりしています。

これにより、再発防止策の検討や、再発を前提にすべき状況での対応方法の検討の際に、テクニカルアカウントマネージャーの方が持っている知見を運用プロセスにおいても活用できており、業務の改善に役立っています。高い可用性を持つシステムの運用実績も積み重なってきており、自信をもって AWS を使用できる状況になりました。

「エンタープライズプラン」を利用することにより、設計構築段階でいただける支援や、運用負荷の軽減が実現できているため、利用した価値は十分にあると感じています。

 

- 谷川 武人 様(株式会社ゼンリンデータコム 技術本部 運用統括部 マネージャー)

「高い可用性を持つシステムの運用実績も積み重なってきており、自信をもって AWS を使用できる状況になりました。」