花王株式会社 デジタルコミュニケーションセンターは、自社webサイトの運営やインターネット広告、ソーシャルメディアを活用したお客様との対話など、花王グループのデジタルコミュニケーション活動を推進・支援する部門です。

デジタルコミュニケーション活動とWEBインフラ構築をグローバルに統括する一方で、データ解析に基づく、コミュニケーションの最適化や、新技術に積極的に取り組み効果的・効率的コミュニケーションの実現を目指しています。

花王がグローバルに展開している全てのPC・携帯用の対外向けWebシステムおよびCMSをAWSに移行しました。利用しているAWSサービスは Amazon EC2、Elastic Load Balancing、Amazon S3、Amazon RDS、Amazon CloudFront、Route53です。システムの検証、構築は伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)に委託いたしました。

今回のプロジェクトで目指したものは、コストの低減、グローバル展開、BCP対応に向けての準備でした。特に花王、グループ会社、販社それぞれが展開して いるグローバルの花王グループのWEBインフラを統合する必要があります。アジア圏は統合出来ていますが欧米対応を今後行うにあたって、グローバルにイン フラを展開しているAWSを採用しました。今回のプロジェクトで今後のグローバル展開の基盤を作ることが出来ました。

AWSを採用することにより、従来のデータセンターを利用した場合と比較して年間のコストを80%削減することが出来ました。またこれまで数年毎に必要であったハードウェア更新時にかかるコストも無くすことが出来ました。

さらに、システム構築のスピードは一気に上がりました。AWS利用正式決定後システム構築から移行まで4ヶ月で完了しました。従来ではハードウェアの調達、設置で最低2か月必要でしたが、AWSでは数日で完了する点が非常にメリットです。

また、CMSの性能面では、同時にタスクを流しても重くならなくなりました。例えばデータベースから製品カタログを全て生成するのに従来2日かかっていた ところを30分に短縮することが出来ました。これは、求められる性能にあった最適なサーバーをAWSでは常に選択できることによります。

そして、今回の更新を期にサーバーの冗長化、Multi-AZを利用しており、結果としてサービス継続性を高めることも出来ました。

AWSの柔軟性、マシンの構成変更の簡易さが非常にメリットと感じています。開発スタート時には最少スペックから試すことができ、増やしたり減らしたりを 柔軟に対応出来ました。従来はハードウェアの需要を予測して計画を立てなければならなかったため、需要予測が困難な場合でも、AWSを利用するようになっ てからは必要に応じて最適な環境を常に用意することが出来るようになりました。またハードウェアの更改や陳腐化を気にする必要もなくなりました。

今後は花王グループのグローバルWEBインフラの統合を予定しています。またマルチデバイス対応、グループ会社展開も進めていきます。さらにビッグデータ対応として、ログ解析をAmazon Elastic Map Reduceで行うことも考えています。