Base Food

ベースフード、サブスクリプション購入の EC サイトを AWS 上に構築し、約 40 倍のスパイクアクセスにも耐えるスケーラビリティを確保

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必要なサービスや機能が揃っており、私たちが開発したいと思ったものが、すべて AWS 上で完結できることが AWS 選定の一番の理由です"

煙草森 直也 氏
ベースフード株式会社 VPoE

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完全栄養食 * のパイオニアである ベースフード株式会社。同社は自社運営の Web サイト、EC サイト、データ分析基盤をアマゾン ウェブ サービス(AWS)上で運用しています。クラウドのスケーラビリティにより、通常の 40 倍近いスパイクアクセスにも対応し、成長を続けるサービスを支えています。開発はすべて内製で行い、AWS の幅広いサービスと機能を使用しながら、モダンアプリケーションの構築を目指しています。

開発自由度の高い自社 EC サイトを構築

ベースフードは、2016 年創業のフードテックスタートアップです。1 食で 1 日に必要な栄養素の 1/3 を摂ることができる完全栄養食 * を、サブスクリプションで提供しています。商品は、完全栄養パン『BASE BREAD』、完全栄養パスタ『BASE PASTA』、完全栄養クッキー『BASE Cookies』をラインアップ。2022 年 11 月時点の月間定期購入者数は 15 万人を超えています。
 
サブスクリプション購入の窓口の中核となるのが自社の EC サイトです。EC サイトはこれまで、Web のサブスクリプション領域を AWS 上に自社で構築し、ショッピングカートや商品管理などの管理領域はクラウド型の CMS を利用してきました。
 
しかし、商品の種類が増え、サブスクリプション購入者が増加していくうちに、より自由度の高い EC サイトの構築が必要になり、自社開発に一本化することを決断しました。「サブスクリプション型のサービスで、お客様の要望を高いレベルで実現するためには、CMS を脱却して Web サイトの全体を構築・管理・運用しながら進化させていくべきという結論に至りました」と語るのは、VPoE の煙草森直也氏です。

AWS のマネージド型サービスを活用して内製開発

新たな EC サイトの基盤には、Web のサブスクリプション領域で採用していた AWS を利用することにしました。選定の理由は、クラウドサービスとしての実績があり、技術的に成熟されていたことにありました。

「AWS は必要なサービスや機能が揃っており、私たちが開発したいと思ったものが、すべて AWS 上で完結できることが最大の理由です。特に東京リージョンでは新しいサービスがいち早くローカライズを終えてリリースされている印象があり、技術者として期待感もありました」(煙草森氏)

AWS のサービスで再構築した新たな自社EC サイトは、2020 年 5 月より運用を開始しました。拡張性を高めるためにサーバー環境にはコンテナを活用し、Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)で管理しています。高負荷に耐えるように、非同期処理にはキューイングサービスの Amazon Simple Queue Service (SQS)を採用して可用性を高めています。

また、開発やリリースの効率向上に向けて CI/CD 環境を構築し、AWS CodePipelineAWS CodeBuild を活用してテストやデプロイを自動化しています。

自社 EC サイトの再構築を終えた後、2021 年には販売実績やユーザーの嗜好などを分析するための分析基盤を、新たに AWS 上に構築しました。

「AWS 上に構築した EC サイト、CI/CD 環境、分析基盤では、積極的にマネージド型サービスを採用し、モダンなアーキテクチャ設計を心掛けました。開発のポリシーは、エンジニアチームの運用負担を軽減することと、技術的負債を残さないようにすることです」(煙草森氏)AWS 環境は、原則として同社のエンジニアチームが内製で開発し、運用も含めて自社で対応しながら、スピーディな開発、改修を進めています。現在、自社エンジニアの技術力向上に向けて、隔週のペースでエンジニアチーム全体による社内勉強会を開催するなど、学習意欲も旺盛です。

AWS に蓄積したデータをもとに需要予測を実施して廃棄物を削減

新たな EC サイトの構築によりスケーラブルな環境が実現し、スパイクアクセスやサブスクリプション購入者の増加にも十分耐えられるようになりました。PR 担当の鯉沼花帆氏は次のように語ります。

「2021 年 12 月にテレビ番組で当社が紹介された際、自社サイトに通常より 40 倍ほどのアクセスがありましたが、問題なくスケールして安定的に運用することができました。自社サイトのサブスクリプション会員数も直近 1 年半(2021 年 2 月末~ 2022 年 8 月末)で約 3.6 倍となり、EC サイトからの注文数は急激に伸びています。それに対しても柔軟にスケールができ、事業の成長に貢献しています」

分析基盤では、マーケティング部門のアナリストなどが蓄積された各種データをもとに需要予測を実施し、商品の生産数の適正化を図ることで廃棄物を減少させたり、品切れを防止したりする取り組みも行っています。

今後は、既存環境の改善や、継続的なアーキテクチャの進化と並行しながら、さまざまな IT 技術を駆使して事業の効率化、高度化を進めて行く予定です。

「EC サイトや分析基盤は開発に終わりはなく、サービスの状況に応じてアーキテクチャを進化させていく必要があります。一方、食品製造業としての事業の根幹の領域、例えば工場、倉庫、配送関連の業務に対しても、IoT の技術を活用した異常検知や、各種テクノロジーを活用した作業の自動化などを進めていきます」(煙草森氏)鯉沼氏は「少数精鋭体制でありながらも、テクノロジーを活用し常に進化を続けることで、『主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。』のビジョンを達成していきたいです」と展望を語ります。

* 1 食で、栄養素等表示基準値に基づき、他の食事で過剰摂取が懸念される、脂質・飽和脂肪酸・炭水化物・ナトリウムを除いて、すべての栄養素で 1 日分の基準値の 1/3 以上を含む。

ベースフード株式会社

そこにも AWS のイノベーションが