Carro Group が AWS マネージドサービスにより急成長を促進

中古車の購入はリスクを伴う取引です。自動車の専門知識がない購入者は、車両に大きな問題があっても購入後まで気付かないかもしれません。一度、車両が駐車場を離れたら、もう後戻りはできません。

Carro Group は、そのような取引を一新することに取り組んでいます。2015 年に設立され、シンガポールに本社のある Carro は、東南アジア市場最大の中古車マーケットプレイスです。同社は 3 日間の返品ポリシーを導入し、販売前のすべての車両に 150 か所の点検を実施して、購入した車両が良好な作動状態で欠陥がないことを購入者に保証しています。従来の中古車取引と異なり、Carro は車の所有に関するすべての側面で、フルスタックサービスを提供しています。

「お客様が当社から車を購入することは、単なる始まりにすぎません」と、Carro Group の共同設立者である Kelvin Chng 氏は語っています。Carro から車を購入した顧客は、点検、修理、改修のために同社の工場を利用できます。Carro の国内市場であるシンガポールでは、利用ベースの保険や即日ローンも利用可能です。

Carro はその顧客ベースを毎年、2 倍もしくは 3 倍に急成長させてきました。順調な成長の理由の 1 つは、一連の合併、買収です。これにより、タイ、インドネシア、マレーシアへの進出が実現しました。2019 年、Carro はインドネシアの中古車マーケットプレイスである Jualo を買収しました。同社はローカルプロバイダーが管理するオンプレミスを運営していました。

Jualo のサイトは、1 日のユニークビジター数が最大 200 万という高レベルのアクセス数を誇っています。トラフィックと自然検索数において、これは同社の圧倒的な最大の資産です。Carro には、Jualo の既存のチームによるシニアエンジニアリングサポートに加えて、Jualo のバックエンドを管理する専任の DevOps およびメンテナンスチームが必要でした。ここで問題が発覚しました。Jualo の DevOps は、グループの全従業員 535 人のわずか 5 パーセントから成る少人数チームで構成されていたのです。

業務のために追加の従業員を雇用することも、ビジネスにおける難しい課題でした。「東南アジアに進出する企業間で人材確保競争が激化していたため、正しいスキルセットを持つ適切な人材を確保することはきわめて困難でした」と Chng 氏は説明しています。設立以来、Carro はスケーラブルなインフラストラクチャソリューションを備えるアマゾン ウェブ サービス (AWS) を活用してきました。AWS と協議した結果、Carro は、AWS マネージドサービス (AMS) を導入して「DevOps のオペレーション部分の負担を減らす」ことで、エンジニアは開発に専念できると判断しました。Carro は、Jualo を AWS に移行するために、AWS Premier Consulting Partner である Cloud Comrade との連携を開始しました。

インフラストラクチャの最新化と可用性の改善が移行の最重要目標でした。Jualo のサイトは散発的なダウンタイムにより、99.99% 以上という Carro の社内サービスレベルアグリーメント (SLA) を下回っていたものの、可用性レベルは約 98% を維持していました。Jualo の 40 のサーバーを AMS with Cloud Comrade のサポートに移行して以来、SLA を満たすまでに可用性レベルは向上しています。Chng 氏は、サイトへのトラフィックが増加しても、Jualo は平均 99.99% のアップタイムを維持できると予想しています。

AMS に代わって管理を行う Cloud Comrade により、Carro は高レベルのセキュリティとコンプライアンスを備えたエンタープライズグレードサービスのメリットを享受しています。「Cloud Comrade チームは、当社のオペレーションとインフラストラクチャに対する深い理解に基づいて、実用的なレコメンデーションをしてくれます」と Chng 氏は語っています。移行中、Cloud Comrade は、AMS のステップバイステッププロセスに従って、Jualo サイトのセキュリティとアイデンティティパラメータの確立をサポートしてくれました。

現在、Jualo サイトは、Cloud Comrade の推奨に従って、アカウントと個別のフェデレーションアカウント間をきめ細かくレベル分けして、ユーザーアクセスを厳密に制御しています。フェデレーション向けアクセスは、Carro が他のリージョンのウェブサイトに未だ実装していないセキュリティレイヤーですが、Jualo のユーザーアクティビティレベルを考慮すると、Jualo にとっては特に重要でした。

「セキュリティの社内エキスパートを少なくとも 1 名は雇用しない限り、このように厳密で高度な保護は実現できなかったでしょう」と Chng 氏は語っています。「移行により、強固なセキュリティ基盤の確立という短期的な成功を収めましたが、この基盤は将来にわたって、Carro Group の他の企業も利用できます」。

AMS の使用により、Carro は AWS Enterprise Support への年中無休のアクセスを活用し、インフラストラクチャのデプロイと最適化に関して、専任の 2人の AWS 認定ソリューションアーキテクトを採用しています。アーキテクトたちの備えるあらゆる業界や市場に関するの知識の深さには定評があり、Carro のような野心的な拡張計画を持つ企業にとってかけがえのない人材です。

例えば、AWS 認定ソリューションアーキテクトの行ったコスト最適化セッションにより、移行以来、Carro は Jualo のインフラストラクチャコストを 50% 削減しました。節約は、規模最適化コンピューティングとデータベースインスタンスによって実際のワークロードに合致させ、より多くの Amazon Elastic Cloud Compute (Amazon EC2) リザーブドインスタンスを使用して、Savings Plans にサブスクライブすることで実現しました。

慎重なスケーリングを行うスタートアップ企業である Carro にとって、コスト管理は特に重要です。Carro の設立者は、会社が急成長しているにもかかわらず、当初から、投資者へのリターンを促進することの重要性を強調していました。「AMS のおかげで、エンジニアチーム内でコスト最適化作業を行う必要はありません。AMS がグローバルな専門知識を提供し、最適化プロセスを迅速化してくれるため、エンジニアは行き詰まることがないのです」と Chng 氏は語っています。

Carro は、エンジニアがコストの最適化ではなく革新的な開発業務に集中できるようサポートすることで、人材市場で注目を集めることを目指しています。「イノベーションのランドスケープとバックエンドがエンタープライズグレードのインフラストラクチャで確実に実行されるようにしなければなりません。Cloud Comrade や AMS との連携により、中核事業を推進しながら、高い付加価値をもつビジネス機能への移行が実現しました」と Chng 氏は語っています。

2020 年に、Carro のエンジニアはシンガポールで、カーシェアリングのサブスクリプションサービスの立ち上げをサポートしました。現在、他の市場でも類似のサービスモデルに取り組んでいます。エンジニアたちは、カーシェアリングスキームやディーラーのショールームで使われる Carro の車両のデジタルロックシステムも設計しています。

Carro は、積極的に新しい地理的市場や業種へのビジネス拡張を模索しています。AMS はビジネスの拡張に合わせて、セキュアな AWS Landing Zone や、Payment Card Industry Data Security Standard (PCI DSS) など、各種コンプライアンス要件への適合をサポートする機能を提供します。

「AWS や Cloud Comrade との連携は喜びであり、Carro Group 全体でより強固なパートナーシップを結ぶことを検討しています」と Chng 氏は締めくくっています。

詳細については、AWS マネージドサービスをご覧ください。