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2023 株式会社CRI・ミドルウェア

CRI・ミドルウェア、多人数で臨場感あふれる会話が楽しめる空間オーディオ対応ボイスチャット『CRI TeleXus』を AWS を活用して開発

ミドルウェア

概要

ゲームやモビリティ、組込み機器向けに音声・映像のミドルウェアの研究開発を行っている 株式会社CRI・ミドルウェア。ゲームのパッケージやアプリの起動画面で表示されるロゴでおなじみの「CRIWARE」を提供しています。同社は、ボイスチャット『CRI TeleXus ®(テレクサス)』を開発するにあたり、Kubernetes 上でのゲームサーバー構築をサポートする Agones の利用を検討。マネージド環境にアマゾン ウェブ サービス(AWS)の Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)を採用しました。
A visual graphic for the CRI-TELEXUS case study, featuring abstract network lines with the TXU CRI-TELEXUS logo and Japanese text about remote connections.

課題・ソリューション・導入効果

ビジネスの課題

空間オーディオ対応ボイスチャット『CRI TeleXus』を開発

エンターテインメント、組込み /IoT、モビリティなど、さまざまな分野にミドルウェア製品を提供する CRI・ミドルウェア。同社は 2022 年 8 月、高機能ボイスチャットをはじめとした機能でオンラインコミュニケーションを拡張するミドルウェア『CRI TeleXus(以下 TeleXus)』の提供を開始しました。

TeleXus の空間オーディオ対応ボイスチャット機能では、一般的なステレオヘッドホンでも臨場感を味わうことができます。複数人が発話している場合、それぞれの声が分離されるため、メタバースやゲームなどの仮想空間においても実在感のある会話が再現されます。

「コロナ禍でコミュニケーションの手段が大きく変わり、Microsoft Teams や Zoom といったビデオチャットの利用が当たり前となりました。ゲームの世界では、オンラインゲームが急成長しています。コミュニケーションの手段が変わったとしても、映像と音声は不可欠なものです。そこで音声・映像技術を駆使した機能を提供し、オンラインコミュニケーションを“居心地良いもの”にしようと考えました」と語るのは、代表取締役社長の押見正雄氏です。

TeleXus のボイスチャット機能は、同社の音声圧縮技術、パケット制御技術、音声処理技術によって通信量を大幅に削減。数千人規模の多人数同時会話に対応しています。

ソリューション

ボイスチャットのサーバー管理に Agones と Amazon EKS を採用

TeleXus を開発するにあたり、同社はボイスチャットのサーバー管理に、Kubernetes 上でのゲームサーバー構築・管理をサポートするオープンソースソフトウェア(OSS)の Agones の活用を検討しました。Agones を利用するためには、Kubernetes の実行環境が必要となるため、各社のマネージドサービスを比較検討し、Amazon EKS の採用を決めました。AWS 採用の理由を、開発本部 第 1 開発部 エンジニアの横木健太氏は次のように語ります。

「Agones は Google 等が開発した OSS ということを考慮して GKE も考えましたが、検証した結果、主に利用したい機能での差はありませんでした。当社ではサーバー環境などで 10 年以上前から AWS を利用し、自社製品の動画配信プラットフォームの CRI LiveAct ® でも AWS を利用しています。こうした実績も含めて、Agones と AWS の組み合わせにおいても理想的なアーキテクチャが実現できること、マルチ AZ による安定性や耐障害性の高さなどを考慮して採用を決めました」

TeleXus のボイスチャット機能の開発は、2021 年 4 月にスタート。2022 年 5 月にはアーリーアクセス版の提供を開始し、同年 8 月より複数の機能を強化した正式版をリリースしました。同社におけるボイスチャット機能の開発自体は 2015 年からスタートしており、最初はアーケードゲームに搭載されました。2018 年にはロケーションベース VR と呼ばれる VR 体験施設で採用されました。それらの技術をベースに、ネットワーク機能を付加する形で開発したのが TeleXus のボイスチャット機能です。

「最初にオンラインカラオケルームの中で、複数人がカラオケとボイスチャットで盛り上がるためのサービスに採用されました。正式版では、ボイスチャット機能をより多くの人が楽しめるように音声データを 10Kbps、パケットヘッダを含む総データ通信量を 13Kbps まで圧縮しながら低通信量で高音質のボイスチャットを実現しています」(押見氏)

アーキテクチャの設計から、プラットフォームの構築までは、約 6 人のメンバーによる内製開発で進めました。サーバーサイドのアーキテクチャは Amazon EKS をベースに、通話時間、通信量メトリックスの集計には AWS Lambda、それらを蓄積するデータベースには Amazon DynamoDBと、サーバーレスで構築しています。

「ボイスチャット機能では、一定の人数が集まる“ルーム”という仕組みを用意しています。通常のサーバーの場合、CPU 利用率などを目安にオートスケールしますが、ボイスチャット機能では、ルームのサイズに基づいてサーバーリソースを確保できるほうが理想的です。今回、柔軟性・拡張性が高い Kubernetes を活用したことで、ルーム単位でスケールするアーキテクチャを設計することができました」(横木氏)

Amazon EKS と Agones の連携については、AWS のソリューションアーキテクトよる技術相談会で確認。プロジェクト中にも必要に応じて随時、ソリューションアーキテクトの支援を受けながら進めました。

「AWS の支援もあり、Kubernetes の知識を習得することができました。今回身に付けた知識を、今後の開発にも活かしていきたいと思います」(横木氏)

導入効果

エンターテインメントから産業分野まで幅広い用途での活用を想定

TeleXus には、すでに多くの問い合わせが寄せられています。例えば、Teams や Zoom で人の気配まで感じられるバーチャルオフィス、オンラインのコンサートやアトラクションなどの開催に向けたファン専用のミーティングルームなどの利用が想定されています。

産業分野においても、モビリティ業界から注目を集め、複数の車がつながってドライバー同士がバーチャル空間で会話を楽しむ用途、車の中と外の人がつながって会話を楽しむ用途など、生活空間をサポートする活用方法が検討されています。その他、製造業ではバーチャル空間を利用したベテラン社員の技術伝承、流通業では販売者と消費者がライブ動画を通して商品を売買するライブコマースなど、さまざまな可能性を秘めています。

「大規模な設備投資をすることなく、必要なサーバーリソースが調達できる AWS は、私たちにとって経営リスクを抑えながら事業拡大のチャンスをつかむためのトライが容易にできることを意味しており、なくてはならない存在となっています」(押見氏)

今後、TeleXus は継続して機能強化に取り組み、2023 年 9 月にかけてボイスチャット内の会話をリアルタイムでテキストに起こす『Speech to Text』や、言語が異なるユーザー間の通訳をサポートする『AI 通訳』、ゲームのプレイ画面を共有しながら会話ができるビデオチャット、ゲーム内ストリーミング再生など、コミュニケーション体験を向上させる機能を提供する予定です。

「TeleXus を多くの方に利用していただくためにも、AI 通訳を通して言葉の壁をなくし、海外の人と一緒に画面共有をしながら、ゲームやイベントを楽しめるような新しい世界を作っていきます。Amazon TranscribeAmazon Translate といった関連技術を有する AWS には、引き続きの支援を期待しています」(押見氏)

The logo for CRIWARE, featuring a blue and black design with the name 'CRIWARE' and a stylized dotted box icon.
大規模な設備投資をすることなく必要なサーバーリソースが調達できる AWS は、経営リスクを抑えながら事業拡大のチャンスをつかむためのトライが容易にできることを意味しています

押見 正雄 氏

株式会社CRI・ミドルウェア 代表取締役社長

アーキテクチャ

Architecture diagram for CRI TeleUxSI solution on AWS, featuring multiple VPCs, public and private subnets, Amazon EKS, Lambda, CodePipeline, Route 53, and various AWS services. Labels and flow are in Japanese.

株式会社CRI・ミドルウェア

1983 年、株式会社 CSK 総合研究所として設立。2001 年にミドルウェア部門が独立して設立。「音と映像で社会を豊かに」を企業理念に、音声・映像関連の研究開発を進めながら、その成果をミドルウェア製品ブランド『CRIWARE(シーアルアイウェア)』として、ゲーム分野や組込み分野を中心に製品・サービスを展開する。

取組みの成果

  • 13 か月 - CRI TeleXus の開発期間

  • 約 6 人 - 内製開発のメンバー

  • ゲームサーバー管理用 OSS の Agonesとの連携

  • Amazon EKS によるスケーラブルなアーキテクチャの実現

本事例のご担当者

押見 正雄 氏

Portrait of Masao Oshimi, a speaker featured in a case study for CRI. He is wearing glasses and a business suit, smiling in front of a neutral background.

横木 健太 氏

A man wearing glasses and a blue shirt, smiling, seated in front of a brown background. This image is used for a case study speaker profile.