株式会社ディー・エヌ・エー

AWS を活用したクラウドへの全面移行でさらに加速した

DeNA のチャレンジングな企業文化

2021

全面クラウド化にゴーサインを出した経営トップ
エンジニアへの想いと日本社会へのビジョン。

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仕事をする人々がそれぞれの仕事の本質的なことに、夢中になって没入できる。会社もそのために努力する。それでも夢中になれない人は他の場所に移って輝けばいい。

こういう社会こそが健全であり、クラウド活用はその 1 つの契機になるはずです

南場 智子 氏
株式会社ディー・エヌ・エー
代表取締役会長

インフラエンジニアの頑張りを

広く伝えるため AWS Summit Online に登壇

2021 年 5 月 11 日に開催された「AWS Summit Online」。ここに株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)代表取締役会長の南場智子氏が登壇しました。講演のテーマは、同社がオンプレミス環境から約 3 年かけて実施した、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用したクラウドへの全面移行についてです。その全容が経営トップによって語られました※1。

DeNA は 1999 年の設立以来数多くのサービスを世に送り出しています。「一人ひとりに想像を超える Delight を」をミッションに掲げ、エンターテインメントと社会課題解決という 2 つの柱で事業を展開しています。

「AWS Summit Onlineに登壇を決めたのは、AWS を活用したクラウドへの移行でインフラチームが非常に素晴らしい仕事をしてくれたことを実感していたからです」と南場氏は語ります。同社は長らくオンプレシステムでサービスを提供しており、極限までチューニングされた高度な運用を行っていました。それを自ら切り替える決断をしたフロンティア精神も、高く評価していると話します。

「当社のエンジニアはそういったことはエンジニアとして当然やるべきことだと考えて、あえて語らないことの方が多いです。そこで私自身がそのプロセスを改めて確認し、多くの方に届けたいと考えました」(南場氏)

今回の登壇ではクラウドへの全面移行のことを社内に改めて認識させたことも成果だったと語ります。「さらなる効果は、優秀なエンジニアの採用申し込みが増えたことです。エンジニアの頑張りを経営者が理解していることを示すことは、とても大切なことなのだと再認識しました」(南場氏)

限界を感じていたオンプレミスでの運用

3 つの理由により AWS を選択

クラウドへ全面移行について、技術面を支えるシステム本部IT統括部 統括部長の金子俊一氏は次のように説明します。

「オンプレミスでは負荷集中に合わせてサーバーを用意しておく必要があり、その後負荷が下がってもサーバーを減らすことはできません。コスト削減に向けた取り組みで大きな効果が出しにくいため、コストを重要視するインフラエンジニアのモチベーションを上げにくいという実態がありました。また、日常的に問題対応を行う中でエンジニアのチャレンジ精神が損なわれ、新しいバリューを生み出せなくなるのではないかと危惧していました」

同社はオンプレミスで極限までチューニングを行い、通常であれば 1 万台のサーバーが必要となるところを約 3,000 台のサーバーで運用していましたが、この方法では限界を感じていたと金子氏は話します。そこで、経営層に全面クラウド化を提案。移行先は AWS を含めた複数のクラウドサービスに決定しました。

「その理由は 3 つあります。1 つ目は、すでに AWS を使ったスモールスタートを経験していたこと。2 つ目は当社のサービス基盤として十分に使える”キラーサービス / プロダクト”が用意されていたこと。そして 3 つ目 が充実したサポート体制でした。例えば『Pococha(ポコチャ)』という LIVE コミュニケーションアプリでは Amazon IVS を使っていますが、IVS の開発当初から要望をヒアリングいただき、その要望の多くをサービス開発に反映いただきました。それだけにとどまらず、ソリューションアーキテクト、テクニカルアカウントマネージャーをはじめ、すべての関係者が一体となり、点ではなく面で課題解決に邁進してくれました。こうした総合的な組織サポート力は他社を抜きん出ていると実感しています」

このような判断について南場氏は「スキルの高さと会社に最適な意思決定をしようとする姿勢の両面において、当社のエンジニアには全幅の信頼を置いています。しかし、手放しで任せたわけではありません。コスト / クオリティ / デリバリーの観点から、社長が厳しくモニタリングしながらプロジェクトを進めていきました」

“秘伝のたれ”の理解や社内折衝は不要

入社した社員が DAY1 から輝ける

移行プロジェクトがスタートしたのは 2018 年 6 月。まずは最大の課題だったコスト削減についての実証が進められました。これと並行して徹底した標準化も実施。その後段階的に移行を実施し、2021 年 4 月末にすべてのシステムの移行が完了しました。

「AWSを含めたクラウド へと全面移行したことで、サーバーや部品の在庫管理を一切行う必要がなくなりました」と金子氏は語ります。また物理機器のトラブル対応を行う必要もなくなったため、心理的なプレッシャーからも解放されたことは大きな効果だと話します。

「システム運用の柔軟性も高まり、コスト削減などのアイディアも出やすくなりました。インフラエンジニアの仕事はどうしても守りにいきがちですが、クラウド に移行してからはよりクリエイティブになり、新たなバリューを自ら生み出せるのだという発想に切り替わりました」(金子氏)

その一方で開発者からも「以前より仕事がスムーズになった」という声が寄せられています。以前は開発環境を確保するためにインフラエンジニアに環境準備を依頼する必要がありましたが、物理的なサーバーの準備に一定の期間が必要でした。しかしクラウドであれば開発を思い立った初日から開発に着手できます。

「このように DAY1 から開発できるというのは非常に重要なことだと考えています」と南場氏は話します。これは入社したエンジニアが初日から活躍できるということを意味するからです。「以前のオンプレミスシステムは当社の工夫が積み重ねられた、いわば“秘伝のたれ”が詰まっていましたが、それをすべて習得するには腕利きの中途採用エンジニアでも半年は要していました。これに対して AWSなどのクラウド は広く使われており、ある程度の知識を持っていれば、入社したその日から輝くことができます。実際にクラウドに惹かれて当社の採用に応募する人も少なくありません」(南場氏)

マネジメントも本質的な仕事に向き合う

「ここにいたいからいる」会社へ

このように AWSを含めたクラウド への全面移行は、チャレンジングな開発を可能にするとともに、優秀なエンジニアを惹きつける役割も果たしています。DeNA は「永久ベンチャー」と自ら名乗り、日々挑戦し続けるという姿勢を打ち出しています。 AWS を含めたクラウドへの移行後はチャレンジの数も以前より増えているといいます。同社の姿勢と AWS は、大きなシナジーを生み出しています。

また DeNA は AWS のサービスの機能を徹底的に使いこなしていることも、注目すべきポイントです。そのため同社のエンジニアは、他の会社でもすぐに高い能力を発揮でき、市場価値も上がっているといいます。「その結果、当社のエンジニアにヘッドハンティングが増えています」(南場氏)

しかし、これも決して悪いことではないと南場氏は説明します。「他で通用しないのでここにいる」というのではなく「他でも通用するが、ここにいたいからいる」という社員が集っていることは、むしろ健全なことだと語ります。

「そのためには経営者や管理職も、よい組織風土を作る努力をしなければなりません。エンジニアが本質的で創造的な仕事にフォーカスするだけではなく、マネジメントも本質的な仕事に向き合うことが求められる。これは大変に素晴らしいことです」

そして南場氏のこの言葉は、自社だけではなく日本社会全体をも視野に入れた、より大きなビジョンにつながっています。

「仕事をする人々がそれぞれの仕事の本質的なことに、夢中になって没入できる。会社もそのために努力する。それでも夢中になれない人は他の場所に移って輝けばいい。こういう社会こそが健全だと思います。クラウド活用は、その 1 つの契機になると実感しています。これによってイノベーションにチャレンジしやすい環境を広げていくことが、日本経済を元気にする原動力になるのではないでしょうか」(南場氏)

AWS Summit Online Keynote (2021)

※1 「AWS Summit Online」における南場氏の講演内容は、DeNAが運営するサイト「フルスイング」にノーカット掲載されています。


カスタマープロフィール:株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)

● 代表取締役会長 南場 智子 氏
● 代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟 氏
● 従業員数 2,100名 (2021年3月末現在、連結)
● 事業内容 ゲーム、エンターテインメント、スポーツ、ライブストリーミング、ヘルスケア、オートモーティブ、Eコマースなど

実施施策

● 3,000 台のサーバーを全面的にクラウドへと移行
● 徹底した標準化で運用と社内折衝の負荷を軽減
● AWSを使い倒すことでエンジニアのスキルも向上




ご利用の主なサービス

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Amazon Interactive Video Service

Amazon Interactive Video Service (Amazon IVS) は、素早く簡単にセットアップできるマネージド型のライブストリーミングソリューションであり、インタラクティブな動画エクスペリエンスの作成に最適です。

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Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) は、完全マネージド型のコンテナオーケストレーションサービスです。Duolingo、Samsung、GE、Cook Pad などのお客様が ECS を使用して、セキュリティ、信頼性、スケーラビリティを獲得するために最も機密性が高くミッションクリティカルなアプリケーションを実行しています。

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AWS サポート

AWS サポートでは、ツールやテクノロジー、人材、そしてプログラムなどを組合せて、お客様がパフォーマンス最適化、コスト削減、イノベーションの推進をする際のサポートを提供しています。

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