AWS によってインフラの運用負荷を劇的に軽減できたことで、SaaS アプリケーションで提供するサービスの開発にリソースが集中できるようになりました。
エンジニアのモチベーションも高まり、ユーザーニーズに基づく新たな機能開発のスピードが加速されています。
 
アラム サルキシャン 氏 ファイルフォース株式会社 代表取締役

企業向けのクラウドストレージサービス『Fileforce』を展開するファイルフォース株式会社。サービス提供基盤をオンプレミスで構築していた同社は、市場のニーズに素早く対応するため AWS に移行し、2014 年より SaaS (Software as a Service) アプリケーションとして提供しています。クラウド化によってサービス提供時間を 1/5 に短縮するとともに開発者の負荷軽減をすることで、サービス開発の柔軟性と開発者のモチベーションの向上が実現し、機能追加の迅速な対応が可能となりました。


 

ファイルフォースが提供する『Fileforce』は、あらゆるデバイスから企業におけるファイルを蓄積、保管、整理、管理、追跡、共有ができる高セキュアでスケーラブルなクラウドファイルサービスです。企業が保有する大容量のファイルサーバーを丸ごとクラウド化することをコンセプトとし、集中的な権限管理のもとで柔軟なアクセス権限が付与できるように設計されています。高い水準の可用性とデータ保護機能、セキュリティ機能を確保し、Active Directory との連携など充実した管理機能を装備していることから、大企業から中小企業や組織・プロ
ジェクト単位まで広く採用されています。ユーザー企業は 国内 300 社を超え、製造業、建設業、流通業、メディア、製薬業や金融業等の規制の厳しい業界など、業種も多岐にわたります。

ファイルフォースが提供するサービスは、2013 年頃まではデータセンターにサーバーやストレージなどをハウジングしてシステムを構築し、ASP サービスとして提供していました。しかし、ユーザー企業の増加とともに、インフラ増強に手間と時間を要することからサービス基盤を AWS に移行しました。「市場の変化にスピーディーに対応していくためには、柔軟にインフラをスケールアウトできるクラウド化が不可欠でした。クラウドに移行することで、エンジニアをインフラの運用保守から解放し、開発に注力する環境を整える狙いもありました。」と語るのは、代表取締役のアラム サルキシャン氏です。

同社は 2012 年から2013 年にかけて国内外のクラウドサービスを複数用いてサービス提供環境を構築し、試験運用を実施しました。最終的にユーザー企業の満足度、運用の柔軟性、システムの安定性などを評価して採用したのが AWS でした。「AWS を採用した理由の 1 つは Windows 環境の安定性です。Fileforceは Windows サーバーを前提とし、プログラムを .NET で開発しています。そのため、Windows/.NET システムの稼働実績が重要でした。決め手となったのは、お客様にサービスを提供するうえで欠かすことのできない安定性の高さです。AWS はテスト期間中に一度もサービス停止や再起動がなく、卓越した安定性の高さを見せました。」(アラム氏)

データベースの Amazon RDS がオープンソースの MySQL に対応し、マネージド型で提供されることもポイントになりました。「オンプレミスでサービスを提供していた時のデータベースの運用負荷は多大なものでした。データベース部分に RDS を採用することにより、メンテナンスの負荷が大きく減り、本来の開発業務に注力できるようになりました。」とアラム氏は語ります。また、サーバー数を自動で増減する Amazon EC2 Auto Scaling、複数のアベイラビリティゾーンを利用した冗長性および負荷分散などの機能が充実しているなど、常に進化を続ける AWS は将来の競争力を維持するうえでも必要なサービスと判断しました。

AWS をサービス提供基盤に採用した Fileforceは、アプリケーションサーバー(Amazon EC2)、データベース(Amazon RDS)、ストレージ(Amazon S3)で構成され、ユーザー企業の要望に応じてマルチテナントとシングルテナントで提供しています。その他、負荷分散の Elastic Load Balancing と Application Load Balancer、メッセージキューの Amazon Simple Queue Service、権限管理の AWS Identity and Access Management、管理ツールのAmazon Cloud-Watch、Amazon EC2 Auto Scaling、AWS CloudTrail、Amazon ElastiCache、AmazonRoute 53 を実装し、可用性とセキュリティを確保しています。オンプレミスから AWS への切り替えに要した期間は約 3ヶ月で、ほぼ自社リソースだけで構築と移行を終えたといいます。

AWS に移行したことで、Fileforce の新機能の追加にかかるリードタイムは従来の 5 分の 1 以下の 1 ヶ月となり、短期間でサービスを提供できるようになりました。リソースの増減もフレキシブルに対応できるため、システムのパフォーマンスを低下させることなく、安定したサービスレベルを維持しています。また、新機能を検証したいユーザー企業にはテスト環境を立ち上げて提供することも可能になりました。執行役員 CFO 経営企画室 室長の髙原慎太郎氏は「可用性やセキュリティレベルも高く、お客様にサービスを提供するうえで、インフラ基盤に AWS を採用していること自体が、信頼の獲得につながっています。」と語ります。AWS を採用することにより、インフラやデータベースの運用保守が自動化されたことで、エンジニアのリソースをサービス企画・機能開発に集中できるようになったことも大きな効果です。「インフラに関することはすべて AWS に任せることができるので、エンジニアの発想を活用する場が拡がり、新たなことにチャレンジするモチベーションが高まりました。例えば、監視カメラの映像を Fileforceに取り込みたいというお客様からのリクエストに対して、2 週間で PoC を実施するなど、エンジニアの発想で機能を提案する動きが見られるようになりました。」(アラム氏)

ユーザー企業から寄せられた意見を、必要に応じてサービスや機能に素早く反映できることも AWS への移行で得られたメリットです。マーケティング マネージャー エバンジェリストの佐々木裕子氏は「SaaSアプリケーションであればユーザー企業のニーズに合わせて、汎用性が高いものはすぐに共通サービスとして提供することができます。ユーザーからのフィードバックに対しても、すぐに環境を用意して機能を追加し、検証ができます。AWS を採用したことで、お客様にはさまざまな価値を提供することが可能になりました。」と話します。

今後については .NET や MySQL の Linux 対応を進め、よりコスト負担の少ない環境の構築を目指す考えです。また、MySQL に代わるデータベースとして、完全マネージド型の Amazon Aurora を利用することも視野に入れています。

Fileforce の機能強化については、AI の実装に向けて準備を進めている段階です。「ファイルサービスでは、データの自動ダグ付けや画像のタグ付けなど AI の活用が求められる場面が数多くあります。まだ計画段階ですが、Amazon Rekognition を適用すれば、お客様にさまざまなメリットを提供できると考えています。」とアラム氏は意欲的に語ります。

アラム サルキシャン 氏

髙原 慎太郎 氏

佐々木 裕子 氏


AWS での SaaS ソリューション構築についての詳細は、AWS での SaaS ページをご参照ください。