IoT デバイスとクラウド基盤を使った独自の『つながるボタン』の提供により、お客さまとの新たな接点が生まれ、
『つながるボタン』を活用いただいた契約者の事故対応満足度が向上している傾向が出ています。
 
綿貫 辰耶 氏 セゾン自動車火災保険株式会社 マーケティング部 課長代理

 

お客さま一人ひとりに納得感をもって選んでいただける『オンリーワンの保険会社』を目指すセゾン自動車火災保険。ダイレクト型自動車保険では、1 歳刻みの保険料体系を設定することで、事故率の低い 40 代・50代のお客さまの保険料を割安にした『おとなの自動車保険』を 2011 年 3 月より販売。2017 年 11月 末時点で保有契約件数が 70 万件を突破する主力商品となっています。

2016 年 4 月には、モバイル端末を活用して事故情報を連携するサービスにおいてダイレクト自動車保険としては業界初となる『ALSOK 事故現場安心サポート』を契約者向けに提供開始。このサービスは、事故時に加入者が事故受付センターに電話をかけることで綜合警備保障株式会社(ALSOK)の隊員が事故現場に駆け付け、事故対応をサポートするものです。 2017 年 7 月からは、事故などの緊急時に車内に設置した緊急ボタンを押すことで、専用アプリが起動して事故受付の電話をすることができる『つながるボタン』と『つながるアプリ』を使ったサービスを追加しています。

『つながるボタン』は、加速度センサーや Bluetooth Low Energy(BLE) モジュールなどを搭載した IoT デバイスです。運転席の近くなどに設置し、『つながるアプリ』をスマートフォンにインストールすることで、Bluetooth 経由でアプリが自動的に起動してボタンとつながる仕組みです。

もしもの時には『つながるボタン』を押すことでアプリが事故発生を認知し、すぐに事故受付担当者に相談できたり、ALSOK 隊員による事故現場への駆け付けを依頼したりすることができます。また、衝突事故などで『つながるボタン』が大きな衝撃を感知するとサポートセンターに通知され、一定の時間が経っても契約者から連絡がない場合は ALSOK 隊員が現場に急行してお客さまをサポートします。

日常のドライブでも、『つながるボタン』に内蔵された加速度センサーが取得したデータをもとにした『ドライブレポート』を提供。スマートフォンからアクセル、ブレーキ、ハンドル操作などの運転特性を確認したり、急発進、急ブレーキ、急ハンドルの回数から事故の危険性に対する気付きを得たりすることもできます。  

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『つながるボタン』と『つながるアプリ』が生まれた背景には、ダイレクト型保険特有の課題がありました。「お客さまの声を分析したところダイレクト型は安価であるものの、代理店型と比べるとサポートに不安がある、という傾向が見られました。また、ダイレクト型保険の後発である当社にとって、他社との差別化も課題となっていました。そこで、お客さまとつながることでより安心を提供したいという思いから、独自の新しいサービス開発に着手しました。」と語るのは、セゾン自動車火災保険株式会社 マーケティング部 課長代理の綿貫辰耶氏です。

同社は 2014 年 11 月に社内を横断するプロジェクトを立ち上げ、契約者の利便性、コスト面、実現方法など検討を重ねた結果、IoT デバイスを車内に設置し、スマートフォンで通信するサービスの提供を決定しました。とはいえ、ものづくりが本業ではない同社にとってハードウェアやアプリの開発、導入後のシステム運用などすべてが初めてのことです。そこで IoT ソリューションの開発を手がける株式会社 ACCESS をパートナーに選定して、2015 年 8 月より共同開発に取り組みました。

開発にはハードウェアやアプリ開発のためのツール、IoT デバイスや配信コンテンツを管理するためのクラウド型管理システムなどがワンストップで提供される『ACCESS Beacon Framework』を利用。インフラとなるクラウド基盤には、AWS を用いました。その理由について株式会社 ACCESS IoT 事業本部 第 1 開発部 3 課 課長の池内康樹氏は「スモールスタートで始められることと、ビーコンの台数の増加に応じて柔軟にリソース容量が増強できるスケーラビリティの高さに注目して決めました。」と話します。

AWS 上に開発したプラットフォームでは、スマートフォンから送信されたデータを Amazon API Gateway を介して Web サーバーの Amazon EC2 またはサーバーレスコンピューティングの AWS Lambda で処理し、ログデータをロードバランサーの Elastic Load Balancing (ELB) を介してストレージの Amazon S3 に蓄積します。契約者のデータはセゾン自動車火災保険のデータセンターでセキュアに管理され、AWS 上のクラウド環境と連携することで個々の契約者に情報を配信しています。「大量のデータを扱う IoT 基盤の開発では、レスポンスを落とさないためにもコンピューティングリソースやストレージのスケーラビリティが重要で、AWS のサービスは私たちの要求に応えるものでした。」と池内氏は語ります。

システム開発と並行して進めた『つながるボタン』のサービス開発は、段階を踏んで品質を高めていきました。セゾン自動車火災保険株式会社 商品業務部 副長の鈴木実苑氏は次のように語ります。

「このサービスは、ボタンとスマートフォンの接続が安定的に行われることが大前提です。大きな事故の際に通信が途切れてしまっては一番必要とされる時にサービスの利用ができなくなってしまいます。ですので、大きな衝撃があった際にもスマートフォンとビーコン間の Bluetooth 通信が途切れないようにするため、パートナーの ACCESS とともに繰り返し車の衝突実験を行い、サービスの有効性を検証しました。」

約 1 年にわたる開発期間を経て、2016 年には試作品を製作して実環境でのテストを実施。2017 年 2 月にはモニターを募集し、パイロットテストを行いました。約 2 ケ月間の検証後、4 月に『つながるボタン』と『つながるアプリ』をリリース。2017 年 7 月 1日以降に補償開始となる新規契約者または継続契約者で、希望するお客さまに無料で『つながるボタン』を提供しています。

「現時点で『おとなの自動車保険』を契約するお客さまの半数以上が申し込んでいます。お客さまアンケートでは、“いざという時に役立ちそう”、“他社の商品より安心感がある”という声が寄せられました。実際に事故に遭った契約者からも“パニックに陥っている状態でも、ボタンを押すだけで助けてもらえてありがたかった”といった声が届いています。」(綿貫氏)

今後は、お客様満足度のさらなる向上のために『つながるボタン』と『つながるアプリ』を通して取得したデータの活用を検討していきます。「例えば、日常的な走行データを活用した付加価値の高いサービスを契約者に提供したり、契約者の運転状況を分析して新たな保険商品の開発に活かしたりすることが考えられます。今後もパートナーの ACCESS に支援いただきながら、よりよいサービスの提供を目指していきます。」と綿貫氏は語ります。

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綿貫 辰耶 氏

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鈴木 実苑 氏

 

APN テクノロジーパートナー
株式会社 ACCESS 

1984 年の設立以来、独立系ソフトウェア企業として、世界中の通信、家電、自動車、放送、出版、エネルギーインフラ業界向けに、モバイル並びにネットワークソフトウェア技術を核とした先進の IT ソリューションを提供しています。AWS IoT Competency、Amazon CloudFront サービスデリバリーを保有し、組込とクラウド技術を融合した IoT ソリューションの開発・事業化と電子書籍配信サービスプラットフォーム等の電子出版事業に注力しています。 

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