AWS Well-Architected に沿うことで、ユーザーである大手企業やメガバンクから評価され、
クラウド移行に不安があるお客様にも安心してお使いいただいています。

髙橋 佳朗 氏 株式会社カオナビ プロダクト本部 SREグループ マネージャー

顔写真をキーにしたクラウド人材管理システム『カオナビ』の開発、運用を手がける株式会社カオナビ。2012 年の事業開始当初は顧客先のオンプレミス環境に個々にシステムを構築していましたが、急成長するサービスに合わせるため SaaS 化に着手。AWS のクラウドサービス上にマルチテナント型の環境を構築して提供しています。利用企業数は事業開始から 7 年で 1,500 社を突破し、2 年前と比べて倍増を記録する中、マネージドサービスやサーバーレスアーキテクチャへの構成改善と AWS のリザーブドインスタンス、Savings Plans の活用によるコスト最適化を実現し、2 年前と同等のインフラコストを維持しています。


“マネジメントが変わる新たなプラットフォームを。”をビジョンに、企業の働き方改革への貢献を目指すカオナビ。同社が提供しているクラウド人材管理システム『カオナビ』は、社員の顔写真が並ぶわかりやすいインターフェイス、人材データベースや評価ワークフローなどの機能性や、それを自由にカスタマイズ出来る汎用性などが評価され、数十人規模のスタートアップから 1 万人以上の大企業まで、業種・業態を問わず 1,500 社以上に利用されています(2019 年 9 月時点)。

事業開始当初、『カオナビ』は顧客が用意したインフラ環境に同社がアプリケーションをインストールして構築するオンプレミス型で提供していましたが、ビジネスが順調に成長するにつれ SaaS 化について検討を開始しました。「事業開始当時は社員が数名ほどでしたので、利用企業が増えるほど既存の人的リソースではシステム構築もサービス開発もままならなくなってしまいました。そこで自社環境からサービスとして提供する SaaS に移行することを決断しました。」と語るのはプロダクト本部 SREグループ マネージャーの髙橋佳朗氏です。

SaaS 型に移行するにあたり同社が真っ先に注目したのが AWS でした。

「当社のエンジニアが、お客様との間でシステム要件の調整に苦労している中、ブラウザの管理画面をクリックするだけで簡単にスケールアップやスケールアウトができる AWS を見て衝撃を受けたと聞いています。」(髙橋氏)

さっそく自社に戻って検証を実施し、社内評価を受けて AWS の採用をすぐに決定しました。

「試したい時にすぐに環境を用意できたことが、AWS 採用の決め手になりました。2012 年当時、無料の利用枠やハンズオンセミナーなど、自ら学べる環境が整っていたのはAWS だけで、クラウド初心者の私どもにとっては願ってもないことでした。」(髙橋氏)

最初の SaaS 環境は、オンプレミスのシステムをそのまま AWS 上に移し替える方式としました。Amazon EC2 と Amazon RDSによるシンプルな構成で、一部の顧客にシングルテナント型で個別に環境を用意していたものの、今後の成長の阻害要因となると判断し完全なマルチテナント型に移行。顧客からの要望はサービス全体で吸収する方針に改めました。

2017 年にはさらなるバージョンアップを実施。パフォーマンスとコストの最適化のための AWS Auto Scaling、顔写真を高速に配信する CDN として Amazon CloudFront、人材情報を高速に検索するための Amazon CloudSearch などを採用し、インフラ構築・運用も Infrastructure as Codeによる自動化に一新しました。

2019 年には社員情報の一括処理など、バックエンドで大量のデータを更新するバッチ処理に、コンピューティングリソースを動的にプロビジョニングする AWS Batch を採用。コンテナサービスのAmazon Elastic Container Service (Amazon ECS) や AWS Fargate、 AWS Step Functions を用いてサーバーレスのバッチシステムを構築しました。これによって基盤の安定性が高まり、サービス提供時間中は再起動が難しかった運用面での負担も軽減する見込みです。「AWS Batch の導入時は、随時技術検討会を開催し、AWS のソリューションアーキテクトに相談して疑問を解消したり、AWS サポートに質問したりしながら進めました。」と髙橋氏は振り返ります。

AWS を活用し、継続的にサービス環境を進化させてきたカオナビは現在、マネージドサービスやサーバーレスアーキテクチャを積極的に活用しています。データベースは、プロダクトのすべてにおいて Amazon Aurora を採用。検証用の環境は CloudWatchEvents と AWS Lambda で Amazon EC2 の稼働時間を制御し必要な時に必要なリソースが柔軟に利用できるようにしています。髙橋氏は AWS を導入するメリットについて次のように話します。

「サービスを成長させながら、開発力を高めていこうとしている私たちにとって、新しい機能をすぐに検証し、短期間で意思決定できることが最大のメリットです。また、API やコマンドラインインターフェイスを使ってコントロールができるため自動化がしやすく、全社で働き方改革を推進している当社において開発の効率化に貢献しています。」

SaaS に求められるセキュリティ面では事業開始の 2012 年にプライバシーマーク、2015 年に ISO27001(ISMS) を取得し、継続的な個人情報保護マネジメントシステムを構築しています。システムセキュリティにおいては、AWS Well-Architected フレームワークに沿うことを指針としています。

髙橋氏は「AWS Well-Architected に沿うことで、ユーザーである大手企業やメガバンクから評価され、クラウド移行に不安があるお客様にも安心してお使いいただいています。」と語ります。

現在はさらなるセキュリティの強化に取り組んでおり、AWS WAF や脅威検出サービスの Amazon GuardDuty を導入し、運用の定着に向けたトライアルを続けています。アプリケーションのセキュリティとコンプライアンスの向上に向けて、セキュリティ評価サービスの Amazon Inspector の導入も検討しています。

カオナビの利用企業数は、サービス開始から順調に伸びていますが、さまざまな工夫によりインフラコストを抑えています。2016 年より定額割引のリザーブドインスタンスを定期的に購入し、適用範囲を拡大してきました。2019 年には新たな料金モデルである Savings Plans を購入してコストの最適化を図っています。

「2 年前の同時期と比べて利用企業数が約 2 倍となっているものの、インフラコストはほぼ横ばいです。機能拡充によって新たなサービスを追加していく中、現状のコストが維持できていることは大きなメリットです。」(髙橋氏)


 

機能強化、ユーザーエクスペリエンスの改善、バグの改修など常に開発中のステータスが複数あり、それぞれの開発者が常にコンピューティングリソースを利用する同社にとって AWS はすでに欠かせない存在となっています。HR テック企業として成長を続ける同社は、AWS を活用することでアプリケーションエンジニアやインフラエンジニアが、活発なコミュニケーションを図っているといいます。

今後はサービスの進化に合わせてクラウドネイティブなアーキテクチャへと進化させていく方針で、髙橋氏は「サービスのメインサーバーとして利用している Amazon EC2 を Amazon ECS や AWS Fargate に移行し、任せられるところは AWS に任せて、カオナビのサービスをより進化させていきます。」と話します。

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髙橋 佳朗 氏


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AWS での SaaS ソリューション構築についての詳細は、AWS での SaaS ページをご参照ください。