Amazon WorkSpaces によるリモートワークで VDI コスト 30% 削減を実現

2020 年

ビジネスの世界では、絶えず変化し、発展し続ける市場に適応することがビジネスを長く継続していく鍵となります。その過程で、企業は競争力を維持・発展させるために必要な技術を見つけ出し、利用するようになってきておりますが、今般の COVID-19 パンデミックはまさに企業がそのプロセスを実行に移す引き金となりました。今回のパンデミックはビジネスの世界に大きな影響を与えています。このような状況下で生きぬくために、これまでと異なるアプローチをする企業もあります。アマゾン ウェブ サービス (AWS) のソリューションを導入したグローバルな製薬企業である協和キリンでは、従業員のリモートワークを迅速に実現し、ビジネスを加速させることに成功しました。これにより、同社は今後の市場の変化にも柔軟に対応できるようになっていくことでしょう。

協和キリンのリモートワークへの取り組みの中心となったのは、マネージド型でセキュアなデスクトップ (DaaS) ソリューションである Amazon WorkSpaces です。Amazon WorkSpaces の導入の結果、協和キリンでは従業員が在宅で勤務できるようなデスクトップ環境を素早く提供することが可能となりました。また Windows 7 から Windows 10 への移行やソフトウェアによるプロセスオートメーション (RPA) 技術を Amazon WorkSpaces 上で稼働させたことで、協和キリンはビジネスを加速させています。

Back view of business woman talking to her colleagues about plan in video conference. Multiethnic business team using computer for a online meeting in video call. Group of people smart working from home.
kr_quotemark

「マネージドサービスである Amazon WorkSpaces を採用することで、不必要な運用負荷を軽減でき、本来の注力領域にリソースを割り当てることが出来るため、このサービスは当社にとって重要です」 

楠本貴幸氏
協和キリン、ICT ソリューション部マネジャー

AWS でクラウドに構築

協和キリンは、日本を拠点とするキリンホールディングスの主要な子会社であり、「腎」「がん」「免疫・アレルギー」「中枢神経」の 4 つの領域を重点カテゴリとして、テクノロジー主導で新薬を創出するグローバルな製薬企業です。

協和キリンにとって、Amazon WorkSpaces への移行は、10 年近く続いている AWS への大規模な移行の一部でした。2011 年よりビジネスを加速できるソリューションを求めて AWS の評価を開始しました。クラウド化はインフラストラクチャのメンテナンスに対する情報システム部の負荷を軽減すると同時に、協和キリンのビジネスを促進する大事なソリューションとして認識されました。「世界中の市場で価値を創出するには、世界規模の俊敏性を備えた ICT システムが必要です」と協和キリンの ICT ソリューション部マネジャーである楠本貴幸氏は言います。協和キリンでは、クラウド内のセキュアでサイズ変更可能なコンピューティング性能である Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) などのサービスをテストした後、2013 年に "クラウドファースト" 戦略を導入し、クラウド化を加速させる取り組みを開始しました。「クラウド黎明期の中で、AWS はインフラストラクチャとしてのクラウドサービスで当社の要件を唯一満たしていました。本番環境を移行・運用出来るのは AWS だけであり、今後の将来性を評価のうえで、利用していくことができると確信しました」と楠本氏は話します。 2019 年には同社のサーバー全体の約 85% が AWS で運用されていました。

このように、協和キリンでは、AWS に強い信頼を抱いていたからこそ、2017 年に Amazon WorkSpaces の採用を決めました。以前のオンプレミスの仮想デスクトップインフラストラクチャ (VDI) では、必要となるサイジングを予測するために、多額の初期投資と時間のかかる計画が必要でしたが、Amazon WorkSpaces は未知の将来のニーズを正確に予測する必要性を排除し、コストを 30% 削減することができました。これにより、小規模に利用を開始しても、ニーズに応じて拡大することができ、リードタイムを大幅に短縮できました。さらに、VDI ではユーザーデータを物理的に保存はしないため、Amazon WorkSpaces は、セキュリティリスクを軽減させることができます。そして何よりも、このソリューションによって ICT チームの作業負荷を軽減できました。「マネージドサービスである Amazon WorkSpaces を採用することで、不必要な運用負荷を軽減でき、本来の注力領域にリソースを割り当てることが出来るため、このサービスは当社にとって重要です」と楠本氏は述べます。

AWS で事業運営を加速

協和キリンでは、2019 年までには 1,000 人を超えるユーザーに Amazon WorkSpaces を提供しています。この移行により、協和キリンでは、2020 年 1 月の Windows 7 のサポート終了にすばやく対応することができ、わずか 6 か月間でデータ、プロファイル、設定を Windows 10 に移行することができました。1 か月の併用期間中、各ユーザーは Windows 7 と Windows 10 両方にアクセスでき、サポート体制を維持し、ユーザーの作業負荷を最小限に抑えました。

また、Amazon WorkSpaces により、RPA 技術を使用してマスター登録、データ入力など以前は時間がかかっていた作業をオートメーション化し、プロセスからヒューマンエラーを効果的に取り除き、年間あたり 3,500 時間分の仕事量を減らすことで、生産性をさらに向上させることができたのです。Amazon WorkSpaces は 24 時間 365 日動作する PC 環境であるため、夜間でも早朝でも処理を安全に実行して、待ち時間を減らすことができました。また、PC 本体の手配やメンテナンスを合理化することで、不必要なオーバーヘッドも削減できました。

Amazon WorkSpaces を使用してリモートワーク

COVID-19 のパンデミック発生後、Amazon WorkSpaces のある利点に着目しました。協和キリンでは 1 週間で 300~400 台の Amazon WorkSpaces を追加で導入し、米国と日本で合計 1,600 台の利用に達しました。これにより、在宅の従業員がデスクトップにすぐにアクセスしてリモートで作業できるようになりました。また、Amazon WorkSpaces では使用期間やアクティブな WorkSpaces の数に制限を設けていないため、今後はユーザーの要件に応じて 1 年以内には 2,000 人以上に拡大がされる予定です。「COVID-19 のパンデミックがきっかけとなり、Amazon WorkSpaces の価値を実感しました。従業員は自宅からデスクトップ環境を使用して、大きな混乱もなく仕事をし続けることができました」と楠本氏は話します。

楠本氏によると、AWS サポートは、Amazon WorkSpaces への移行と安定した運用の両方になくてはならない存在でした。同氏は、特に AWS ソリューションアーキテクトと AWS エンタープライズサポートのテクニカルアカウントマネージャーによるサポートを挙げています。チームでは必要に応じて Amazon WorkSpaces を追加し、ネットワークの問題を解決できるように支援したり、環境のデプロイやモニタリングに関するアドバイスを提供したりと支援してくれました。「特にこのような状況の中でも、AWS は当社のビジネスを支援し続けてくれています。当社が 7 年間 AWS を使用し続けているのは、常にお客様中心で、当社に耳を傾けてくれる AWS の姿勢を高く評価しているためです」と楠本氏は話します。

AWS インフラストラクチャへの投資を継続

協和キリンは AWS インフラストラクチャを利用し続けることで、エンタープライズシステムと研究開発部門での運営を加速させるだけでなく、海外のネットワークの再構築も行う予定です。AWS に移行することで、非合理的なハードウェア更新サイクルを回避し、古いオペレーティングシステムとセキュリティ更新プロトコルから脱却したいと考えています。

協和キリンでは、Amazon WorkSpaces によってそのクラウドファースト戦略をさらに進め、AWS クラウドインフラストラクチャを構築することで事業運営を合理化および加速しています。このイニシアチブにより、同社はこの不透明な時期にも事業を十分に継続し続けています。


協和キリンについて

協和キリンは、日本を拠点とするキリンホールディングスの主要な子会社であり、先進的なテクノロジーにより「腎」「がん」「免疫・アレルギー」「中枢神経」の 4 つの重点カテゴリで革新的な新薬を創出するグローバルな製薬企業です。

AWS の利点

  • オンプレミスの VDI から移行し、コストを 30% 削減
  • 1 週間で 300~400 個の Amazon WorkSpaces を導入
  • わずか 6 か月で Windows 7 から Windows 10 に移行
  • 年間 3,500 時間分の仕事量を削減

利用している AWS のサービス

Amazon WorkSpaces

Amazon WorkSpaces は、マネージド型でセキュアなサービスとしてのデスクトップ (DaaS) ソリューションです。Amazon WorkSpaces を使うと、Windows または Linux のデスクトップを数分でセットアップでき、すばやくスケールすることで世界中のたくさんの従業員にデスクトップを提供できます。自分が起動した WorkSpaces に対してのみ、月単位または時間単位のいずれかで支払うことができるため、従来のデスクトップやオンプレミスの VDI ソリューションに比べて、費用を削減できます。Amazon WorkSpaces では、ハードウェアのインベントリ、OS バージョンとパッチ、仮想デスクトップインフラストラクチャ (VDI) の複雑な管理作業をなくして、デスクトップ提供戦略を簡素化します。Amazon WorkSpaces では、ユーザーはどこからでも必要なときに、サポート対象デバイスからユーザーが選択した迅速で応答性のあるデスクトップにアクセスできます。

詳細はこちら »

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。デベロッパーがウェブスケールのクラウドコンピューティングを簡単に利用できるように設計されています。

詳細はこちら »


開始方法

あらゆる業界のさまざまな規模の企業が、AWS を活用してビジネスを日々変革しています。AWS のエキスパートにお問い合わせのうえ、今すぐ AWS クラウドジャーニーを開始しましょう。