本格化する情報教育をオンラインプログラミング教材で支援
全国の中高生が“学び”に没頭できる環境を AWS で実現

2022

中学生 / 高校生向けの IT ・プログラミング教育サービスを提供するライフイズテック株式会社は、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用して多彩な学習サービスを実現しています。近年、学習指導要領の必修科目に情報科目が加わるなど、日本の IT 教育を巡る状況は大きく変化。そこでライフイズテックは文部科学省の方針に則りながら、全国の教育現場が教員側の準備や IT の整備に時間を削られることなく、子どもたちの“学び”そのものに集中できる環境づくりに取り組んでいます。

AWS 導入事例  | ライフイズテック株式会社
kr_quotemark

ライフイズテックが貢献したいのは、地域を問わず、日本国中の先生方や生徒たちが教育に専心し、学びに没頭できる環境づくりです。それは、すべてのエンジニアリングにかかわる人たちの幸せを根底に置く、AWS の思想にも通ずるものだと思います

奥苑 佑治 氏
ライフイズテック株式会社
執行役員 VPoE

学習指導要領に基づくプログラミング教材で新科目「情報I」の学習をサポート

ライフイズテックは、「中高生一人ひとりの可能性を最大限に伸ばす」をミッションに掲げる EdTech 企業として、2010 年に創業されました。プログラミングの基礎から学べるオリジナルの教育プログラムを、教室やオンラインのレッスン、短期集中型のキャンプ形式で開催しており、現在までにのべ 5 万 2,000 人が参加しています。

日本の国際競争力低下の一因として指摘されているのが、IT 人材の不足です。そこで文部科学省は、初等、中等、高等の各教育段階におけるカリキュラムに情報教育を取り入れる施策を進めています。学習指導要領も改定され、2022 年度から高校の教程において「情報I 」が必修科目となり、2025 年の大学入学共通テストでは「情報」が新教科として取り入れられます。

「情報活用能力の育成を公教育に組み入れて強化していくことは、きわめて意義深いものです。一方、情報Iにはプログラミングが含まれるなど、教える側に相応のスキルが求められる点が課題となっています」と指摘するのは、ライフイズテック 執行役員 VPoEの奥苑佑治氏です。自治体によっても異なりますが、教壇に立つ教員の配置の工夫や適切な教材など環境整備が十分図られているとは言えない状況です。

そこで、同社が開発した学校向けプログラミング学習教材『ライフイズテック レッスン』は、新学習指導要領に対応し、中学生/高校生に情報教育を実施する学校現場をサポートする強力なツールとして、すでに国内 1,650 校以上に導入され、32 万人に利用されています。

各生徒が専用の環境でプログラミングを学べるレッスンを提供

ライフイズテック レッスンでは、テキストコーディングの基礎学習から、オリジナルの Web サイトの制作、さらにはネットワークと AI を活用した Web サービスの制作まで体験できるコンテンツを提供します。教員はこれらのコンテンツを使う年間スケジュールや各日の授業内容といったカリキュラム(シラバス)を柔軟に設計し、生徒はそれに則ってライフイズテックレッスンのコンテンツを 1 つひとつ着実に理解しながら学習を進めていけます。

授業進行を管理する機能も充実。教員は、生徒一人ひとりの進捗をリアルタイムに確認しながら授業を進め、遅れている生徒には必要なフォローをすることで、指導要領で求められる教育を着実に進められます。

また、特に注目されるのが“オリジナル制作”と呼ばれる機能です。これは生徒一人ひとりの開発環境をクラウド上から提供するという仕組みです。「プログラミングや AI の活用、コンテンツの作成などの技術は、自らトライして PDCA サイクルを回していくことで初めて身に付くものです。生徒が自分の手で実際にものを作り上げ、デジタル技術が課題解決につながることを実感できる環境を用意しています」(奥苑氏)

信頼性の高い AWS を活用しプログラミング学習環境のコストを最適化

ライフイズテック レッスンのインフラを構築するにあたり、ライフイズテックがまず重視したのはセキュリティ面での信頼性です。学校教育で用いるデジタル教材について、文部科学省はパブリッククラウドの活用を加味した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を提示しており、各教材はそれに準拠することが求められます。
「AWS は、各種認証の取得などガイドラインの要件を問題なくクリアできる基盤となっていることはもちろん、何よりもガバメントクラウドを推進する政府のシステムにおいて広く採用されており、信頼感は圧倒的といえます」(奥苑氏)

さらに AWS では、AI、ブロックチェーンや分散台帳といった最新技術にかかわるサービスがいち早く実装されます。そのため、必要に応じて生徒たちの学習にそれらを随時組み込んでいくことができる体制が整っていることも大きな魅力だといいます。

AWS のベネフィットはそれだけではありません。例えば、オリジナル制作のための開発環境は、ブラウザのみでコードを記述/ 実行 / デバッグできるクラウドベースの統合開発環境(IDE)である AWS Cloud9 や、ブロックストレージの AWS Elastic Block Store(Amazon EBS)といったサービスで実現。ライフイズテック レッスンでは生徒ごとの開発環境をセットアップ済みの状態でクラウド上に準備しています。授業開始の際にこの環境を読み込むだけで、すぐ生徒が学習できる状態になります。
「プログラミングを学習するには、その前に必要な環境をセットアップする必要があります。しかし、セットアップの時点で問題が起きると、その解決に時間を取られ、肝心のプログラミング授業の時間が削られてしまうおそれがあります。当社が目指しているのは、教育現場がリテラシーの差異や設備面のトラブルに左右されることなく、本来の学習に専念できる環境を提供していくことです」と、奥苑氏は強調します。

なお、生徒個別のライフイズテック レッスン環境を単純に運用するとコストがかさんでしまうため、利用していない時間帯はストレージにあるデータを退避させ、サーバープロセスを停止する自動制御の仕組みにより、リソースの利用を最適化。この工夫でクラウド利用にかかわる原価は 4 分の 1 に圧縮されています。

必修の授業のみならず情報教育を支援し社会変革を支えるデジタル人材を育てたい

今後もライフイズテックはレッスンの機能拡充を図りつつ、情報教育の現場にさらに高度な価値を提供していきます。「例えば進捗確認やフォローについて、AI が自動的に遅れを検知して、生徒がどこに困っているかを解析し、必要な解説やガイダンスを提示する仕組みを検討しています」(奥苑氏)

また「公教育だけで高スキル人材を育てることは難しい」という考えのもと、同社ではライフイズテック レッスンでサポートする必修の授業の範囲を超えて、さらに広範に学びたいという子どもたちへの支援も行っており、その 1 つが、2022 年に始まった『Life is Tech ! School X』という“学校横断型デジタル部活”です。土曜日の放課後に参加校の中高生がネットワークでつながり、最新の IT やテクノロジーを学内外の仲間と一緒に学べる、日本初の取り組みとして注目を集めています。

奥苑氏は、情報教育が抱える課題の解消こそ、将来的には日本の社会変革につながることを強く意識しています。
「子どもたちが学びに専念できる期間は、ほんのわずかです。教える側の IT リテラシーも地域などによってばらつきが大きいため、教育格差が生まれないようにすることも重要だと考えています。情報教育に取り組む先生方は大変ですが、デジタル技術を学んだ子どもたちによって将来の社会変革が起こるという意味でインパクトは一番大きいと思っており、ここ 3 年ほどが日本にとっての勝負どころとなります。3 年後に成功したね、と言われるように、自治体や教育関係者の方々と手を取り合って進めていきたいです」

奥苑 佑治 氏

奥苑 佑治 氏


カスタマープロフィール:ライフイズテック株式会社

  • 設立:2010 年 7 月 6 日
  • 従業員数:96 名(2022 年 7 月 1 日現在)
  • 資本金:40 億 9,308 万円(資本準備金等含む)
  • 事業内容:中高生向け IT ・プログラミング教育キャンプ / スクール / イベントの企画・運営、オンラインプログラミング教育サービスの開発・運営

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • セキュアかつ高信頼なサービス提供基盤の実現
  • 生徒一人ひとりに専用の開発環境を提供
  • 動的なリソースの縮退 / 拡張によるコスト最適化
  • 環境準備やトラブルシューティングから教員や生徒を解放

ご利用中の主なサービス

AWS Cloud9

AWS Cloud9 は、ブラウザのみでコードを記述、実行、デバッグできるクラウドベースの統合開発環境 (IDE) です。

詳細はこちら »

Amazon EBS

Amazon Elastic Block Store (EBS) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と共に使用するために設計された、スループットとトランザクションの両方が集中するどんな規模のワークロードにも対応できる、使いやすい高性能なブロックストレージサービスです。

詳細はこちら »

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

詳細はこちら »

Amazon ECS

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) は、完全マネージド型のコンテナオーケストレーションサービスです。Duolingo、Samsung、GE、Cook Pad などのお客様が ECS を使用して、セキュリティ、信頼性、スケーラビリティを獲得するために最も機密性が高くミッションクリティカルなアプリケーションを実行しています。

詳細はこちら »