AWS はマイクロサービスの構成に必須のサーバーレスアーキテクチャで市場を牽引しています。
さらに、IoT プラットフォームを構築するうえで、必要な技術要素がフルマネージドで利用できるサービスとしては、ほぼ AWS 一択でした。

佐々木 義 氏 株式会社 LIXIL LIXIL HOUSING TECHNOLOGY エクステリア事業部 エクステリア商品開発部 第三商品開発室 開発3グループ 主査

 

LIXIL は、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの 5 社が統合して 2011 年に誕生した総合住宅設備機器メーカーで、積極的に国内外にビジネスを展開しています。同社は IoT 製品の開発を加速しており、エクステリア設備をホームネットワークと連携する『スマートエクステリア』、建材や家電などを一元的につなぐ IoT ホーム Link『Life Assist』、配管の水漏れを自動検知する『GROHE Sense』(欧州にて展開)など、BtoB、BtoC ともに各事業体が持つ強みを活かしながら高度なサービスを追求しています。

LIXIL がいま注目している社会問題の 1 つに、宅配便の再配達があります。ネットショッピングなどの普及により宅配便の取扱量が急増し、再配達による労働生産性の低下、CO2 排出量の増加などが物流の危機としてクローズアップされています。そこで同社は『スマートエクステリア』シリーズの製品として、スマートフォンを介して外に居ながらでも荷物の受け取りや集荷の依頼/管理ができる『スマート宅配ポスト』の開発に乗り出しました。

「スマートエクステリアでは、以前から個人向けの IoT として、スマートフォンから操作できる車庫前ゲート、屋外カメラ、宅配ボックスなどのアイテムを展開してきました。今回、“社会とつながる IoT” をコンセプトに外部までネットワークを拡張し、オープンなサービスとして提供することにしました。」と語るのは LIXIL HOUSING TECHNOLOGY エクステリア事業部の佐々木義氏です。

スマート宅配ポストは、戸建住宅の門まわりの顔となるポスト、照明、サイン、インターフォンを複合した門柱に、宅配ボックスを組み込んだ商品です。この宅配ポストと社会サービスとをつなぐ IoT プラットフォームの構築を進めることになりました。

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IoT プラットフォームの構築に際し、LIXIL では当初からクラウドを前提に構想しました。ハードウェアの調達に時間をかけることなく、迅速にサービスをリリースするとともに、その後のサービス保守の負担も軽減するためです。必要となるサーバーリソースは、商品の販売状況によってに変化するため、インフラには柔軟性が求められます。また、サービスを充実させていくために、開発と運用保守をセットで進める DevOps を前提に検討。その中で AWS を採用した理由は、同社が求める機能を網羅するサービスの充実度と、公開技術情報の豊富さにありました。

「AWS のサービスは当社内で既に利用実績もあり、以前から Amazon とそのインフラを支える AWS の自己組織化や少人数制、担当外との連携体制などに共感を覚えていました。インターネット上の情報や事例集も豊富で、自己学習にも困りません。今回、開発を進めるうえでは各パーツを分割してシステムをシンプル化するマイクロサービスを意識していましたが、AWS はマイクロサービスの構成に必須のサーバーレスアーキテクチャで市場を牽引しています。さらに、IoT プラットフォームを構築するうえで、必要な技術要素がフルマネージドで利用できるサービスとしては、ほぼ AWS 一択でした。」(佐々木氏)

開発は、必要最小限の社内体制を組み、2018 年 2 月ごろから着手し、AWS パートナーの支援のもと、AWS のソリューションアーキテクトとともにアーキテクチャを検討しました。

「AWS IoT Core をベースに、データ取得側の構想から始め、マネージドサービスの特徴を学習しながら組み上げていきました。データ取得側、サービス側ともにフルマネージドサービスを最優先とし、Amazon API Gateway、AWS Lambda、Amazon DynamoDB などを採用してサーバーレスアーキテクチャを実現しました。開発時は、宅配事業者や機器メーカーとの連携に難航することもありましたが、AWS の担当者に仕様検討の場に同席いただけて本当に助かりました。外資系企業とのビジネスはドライなものと思っていたので、”人” が見える形でサポートしていただいたことは正直意外でした。」(佐々木氏)  

IoT プラットフォームの開発は 6 カ月で終了し、2018 年 10 月 1 日にスマート宅配ポストを全国で一斉発売しました。AWS のサービスは、新商品においてさまざまなメリットをもたらしています。インフラコストは想定以上に安価で、開発中からリリース後まで面倒な社内手続きが発生することはありません。インフラ調達におけるリードタイムもゼロに等しく、意識する必要がありません。システムの柔軟性や可用性は、フルマネージドサービスによって容易に確保でき、セキュリティについてもオンプレミスでは対処が難しい DDoS 攻撃などを考慮すると、クラウドのメリットのほうがはるかに大きいといいます。

また、社内の意識にも変化が現れてきていると佐々木氏は語ります。「私自身、事業と IT をつなぐことを意識し、ビジネスとしての方向性と市場環境を考慮しながら実現性を模索してきました。方向性が定まった段階でアーキテクチャについて社内で説明したところ、当社の IoT ガイドラインの推奨構成と合致度が高く、部内や社内からも信頼を得られるようになった印象があります。現在、さらなる活動拡大に向けてメンバーも増やしつつあり、今後はアジャイル化された組織になるよう社内に働きかけていきたいと思っています。」

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満を持して発売に至ったスマート宅配ポスト。今後はデータをオープンな仕様として宅配業者、ハウスメーカー、EC 事業者に公開することで社会全体への浸透を図り、API を介してさまざまなサービスと連携することを目指しています。

「社会問題の解決と来たるべき超スマート社会に向けて、エンドユーザーのバリューを最大限に重視しながら、オープンな協業を進めていきます。」(佐々木氏)

また LIXIL は、宅配事業者の協力を得て東京都江東区・江戸川区で実証プロジェクトも開始。戸建住宅モニター世帯にスマート宅配ポストを設置し、約 1 年間かけて宅配事業者の業務効率化、CO2 の削減効果やエンドユーザーのストレス軽減などを検証していきます。

広く普及させていくために、機能や価格のバランスを満たす宅配ボックスの開発を進めるほか、IoT セキュリティにも取り組んでいく考えです。そして、エンドユーザーがより便利で安心して利用できるホーム IoT サービスへとさらなる進化を目指しています。「LIXIL の API エコノミーは始まったばかりですが、何よりエンドユーザーの価値となり、“楽しい”と思っていただけるサービスを提供していきます。LIXIL の総合力と各部門の技術力を発揮したスマートサービスで、社会とつながるという実感を高めていただきたいです。」と佐々木氏は力強く展望を語っています。

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佐々木 義 氏

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