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医療従事者向けサービス認証基盤に AWS を採用し前年比 3.2 倍の売上増に貢献
クラウド移行プログラム (MAP) により全サービスの AWS 移行を加速中

2022

医療従事者を対象としたポータルサイト『m3.com』のほか、さまざまな医療関連サービスを提供するエムスリー株式会社。設立以来、オンプレミス環境で運用してきた同社は、急成長するビジネスのスケールにスピーディーに対応するため、全サービスのクラウド化を決断。現在、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の包括的なクラウド移行プログラム(MAP)を利用して、移行作業を進めています。AWS を採用することで、新型コロナウイルス感染症の影響により数万人単位で急増した医療関係者からのアクセスにも耐えられるスケーラブルな基盤を実現しています。

AWS 導入事例  | エムスリー株式会社
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AWS への移行により得られた最大のメリットは、事業展開のスピードとスケールが、インフラに制限されなくなったことです。私たちが医療従事者のコミュニケーションの円滑化を支援し、医療 DX によって日本や世界の医療を前進させることに大きな貢献を果たしています

山崎 聡 氏
エムスリー株式会社 エンジニアリンググループ
執行役員 Vice President of Engineering

新事業立ち上げのリスク回避のため AWS を採用して 2 か月でシステムを開発

革新的な成長企業として国内外から注目を集めるエムスリー。同社が手がける医療従事者専用サイト『m3.com』は、国内医師の約 9 割 に当たる 30 万人以上が登録するサービスです。積極的な M&A で事業拡大を続け、現在は『m3.com』をベースに、製薬企業のマーケティング支援『MR 君』、医師向けの Web セミナー『Web 講演会』、医師求人・転職支援『m3.com CAREER』、電子カルテ『エムスリーデジカル』など、50 以上のサービスを提供しています。

これらのサービスをオンプレミス環境で運用してきた同社が本格的に AWS を採用したきっかけは、クラウド型電子カルテの自社開発を決定したことでした。「ユーザー獲得数が未知数のためオンプレミスの調達は事業リスクを伴いました。また、クラウドの方が短期間で高度なセキュリティを構築しやすいため、多少のノウハウがあった AWS を採用しました」と語るのは、エンジニアリンググループ執行役員 Vice President of Engineering の山崎聡氏です。

約 50 のサービスを AWS に移行しマイクロサービス化の加速へ

その後も、モノリシックで複雑な構造となっていたオンプレミス環境の m3.com を構成する各サービスの Docker 化・マイクロサービス化を段階的に進めていました。しかし、2018 年になるとインフラエンジニアの採用が追いつかず、人員不足に陥る懸念に直面します。エンジニアリンググ ループ グループリーダーの岩佐淳史氏は「当時、約 60 名のアプリケーションエンジニアに対して、インフラエンジニアは 3 ~ 4 名と少なく、新サービスの立ち上げ時、インフラ構築に数か月かかる状態となっていました。また、障害対応も増え、運用も回らなくなってきました。その他にもコストの最適化、ユーザー増に対するスケール対応など次々とインフラ課題に直面しました」と振り返ります。

そこで、将来のさらなる事業拡大を見据えて、m3.com を含む全サービスの基盤を AWS へ移行し、各サービスのマイクロサービス化を加速することにしました。
「電子カルテで本格的に AWS を採用して以来、4 年間のノウハウがあり横展開がしやすかったこと、熟成度が高く他社クラウドと比較して相当先行していたこと、特に Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) や Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) などのサービスや機能が他社のクラウドに比べて独特な癖がなく経験の浅いエンジニアにも扱いやすかったことが、AWS 採用の決め手となりました」(岩佐氏)

プロジェクトは 2020 年 4 月からスタートし、2022 年 4 月までに国内で稼働している 200 システム、600VM を移行する予定です。2021 年 11 月の時点では約 70% が移行を終えています。移行するシステムは、難易度とリスクの 2 軸で優先順位を付け、簡易で低リスクのもので成功体験を積んでから、難易度が高く、スケールが求められるシステムを移行する方針です。

移行に際しては、AWS クレジットの付与によるコストの最適化を目的に、包括的なクラウド移行プログラムの AWS Migration Acceleration Program(MAP)を採用しました。プロジェクトでは、MAP で提供される診断サービス(MRA)や、AWS のカスタマーソリューションマネージャー(CSM)によるアドバイスを積極的に活用。アーキテクチャレビューを通して課題を洗い出し、改善を重ねています。
「MAP を活用し、AWS の支援を受けるようになったことでコミュニケーションが深まり、ワンチーム体制を実現することができました。エンジニアリングチームは、ソリューションアーキテクト、テクニカルアカウントマネージャー、CSM などの AWS 担当者と連携してクラウド化を前進させる雰囲気が醸成されています」(山崎氏)

アカウント認証基盤を AWS に移行し 5 万同時アクセス、前年比 3.2 倍の売上増に対応

進行中のプロジェクトにおいて象徴的な出来事が、急増するサービス需要への対応です。コロナ禍で医師同士あるいは医師と製薬企業の MR(医薬情報担当者)が対面することが難しくなった結果、リアルタイムに Web 会議に参加できる『Web 講演会』への同時アクセス数が従来の 1 万から 5 万へと急増し、キャパシティを早急に拡大する必要に迫られます。そこで、m3.com のアカウント認証基盤を、2020 年 5 月から 8 月までの 3 か月で AWS 上に移行しました。
「オンプレミスの ロードバランサ―機能を Elastic Load Balancing(ELB)に切り出してトラフィックを抑制し、アプリケーションサーバーは Amazon ECS、DB サーバーは Amazon Aurora と、マネージドサービスを積極的に活用してクラウド最適化を図りました」(岩佐氏)

アカウント認証基盤を AWS に移行した結果、全国の医師の 15% を超える 5 万同時アクセスに対応できるようになり、Web 講演会の売上も前年比で 3.2 倍に増加しました。
「最大のメリットは、事業展開のスピードやスケールが、インフラに制限されなくなったことです。キャパシティに限界があれば、営業活動が十分にできず、ビジネスチャンスを逃すことにつながります。そのためにも技術的な理由でボトルネックとなるのは避けなければなりません。AWS への移行は、私たちが医療従事者のコミュニケーションの円滑化を支援し、医療 DX によって日本や世界の医療を前進させることに大きな貢献を果たしています」(山崎氏) 

エンジニアリング組織を変更し DevOps 体制へと移行

AWS への移行でサーバー調達などが不要になり、サービスの開発スピードは飛躍的に向上。運用負荷も削減され、インフラのスケールも容易になりました。マネージド型サービスの積極的な活用でセキュリティ環境の整備や可用性の確保の負荷も減り、過度にインフラエンジニアに頼らない環境が実現しています。それに合わせてエンジニアリング組織も変更しました。
「アプリ開発とインフラ運用を一体化した DevOps 体制へと改めました。その結果、エンジニアの意識も変わり、チームの一体感が高まり、開発効率の向上やサービス品質の向上などの効果が見られています」(岩佐氏)

今後は、AWS へのサービス移行を進める中で、オンプレミスに残った他社製 RDBMSからの脱却を進め、ライセンスコストのさらなる軽減を目指します。ビジネス面では、海外事業の拡大に向けてフルクラウド化を加速し、新たなサービスを提供していく予定です。
「当社は国内だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの 10 か国以上でビジネスを展開しています。今後は海外グループのサービスもクラウドで接続し、世界の医療の高度化に貢献していきます。医療 DX の加速に向けて、ビジネスのスケールを支える AWS には、さらなる支援を期待しています」(山崎氏) 

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山崎 聡 氏

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岩佐 淳史 氏


カスタマープロフィール:エムスリー株式会社

  • 設立: 2000 年 9 月
  • 資本金: 290 億 3,600 万円(2021 年 3 月 31 日現在)
  • 従業員数:連結 8,249 名(2021 年 3 月 31 日現在)
  • 事業内容:『m3.com』を中心とするプラットフォームを活用した医療関連サービスの提供

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • ビジネスのスケールとスピード化に貢献
  • サービスの急激なトラフィック増に対応
  • アカウント認証基盤の移行で 5 万人の同時アクセスに対応し、Web 講演会のサービス売上が 3.2 倍に増加
  • AWS の移行プログラム(MAP)を活用した質の高い移行プロジェクトを実現
  • 海外事業の拡大に向けてフルクラウド化を加速

ご利用中の主なサービス

Amazon ECS

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) は、完全マネージド型のコンテナオーケストレーションサービスです。Duolingo、Samsung、GE、Cook Pad などのお客様が ECS を使用して、セキュリティ、信頼性、スケーラビリティを獲得するために最も機密性が高くミッションクリティカルなアプリケーションを実行しています。

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のあるクラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています。

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Amazon RDS

Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を使用すると、クラウド上のリレーショナルデータベースのセットアップ、オペレーション、スケールが簡単になります。

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Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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