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株式会社三越伊勢丹

三越伊勢丹が創る新しい百貨店の価値

人々のつながりを支援する DX とは

2021

お客さまに最高の体験を届けるために AWS 上にビジネス基盤を構築するとともに、ビジネスの表舞台に立つデジタル人材の育成に注力。

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私たちの伝統であり得意とするところ──すなわちお客さまと直接的に向き合うスタイリストの能力や意志を支えていくことが、三越伊勢丹の目指すべき DX だと考えています

三部 智英 氏
株式会社三越伊勢丹ホールディングス
執行役員 情報システム統括部長
株式会社 IM DigitalLab(アイムデジタルラボ)
代表取締役社長

時代に問われる百貨店の価値

伝統を守りながら DX を目指す

株式会社三越伊勢丹は2008年、日本を代表する百貨店である三越と伊勢丹が統合されて誕生しました。以降、日本最古の三越の歴史とファッションの伊勢丹というブランドイメージを礎にして、店舗を中心とした対面販売に注力して多くのファンを獲得してきました。年間入店客数 2 億 4,000 万人、連結売上高 1 兆円超(2019 年)を誇る、名実ともに日本一の百貨店です。

「私たちは、高品質なコンテンツ(商品)とサービスの強化、バイヤーやスタイリスト(スタッフ、以下スタッフ)の育成に努めてきました。しかし、時代は変わり、お客さまのデジタルに対するリテラシーが高まっているなか、今こそ新しい時代の三越伊勢丹へと変革し、お客さまに対して新たな価値を提供していかなければならないと感じています」と三越伊勢丹ホールディングス 執行役員 情報システム統括部長の三部智英氏は述べます。

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三越伊勢丹では、2015年ごろからアマゾンウェブ サービス(AWS)を活用していましたが、当時はまだ、IaaS としての活用が中心でクラウドネイティブなものではありませんでした。三部氏によれば、同時期に「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に着目していたものの推進するまでに至ってなかったといいます。実際、具体的にアーキテクチャの見直しやシステム全体をモダナイズしていく取り組みがスタートしたのは 2019 年ごろです。また、同年 10月、三越伊勢丹グループの DX を推進する機能子会社アイムデジタルラボが設立され、三部氏が代表となり、店舗やスタイリストを活かした DX の取り組みも並行してスタートしました。

「私たちは、本当にお客さまと向き合っていたのか、お客さまにとっての最高の体験とはどのようなものなのか。何が嬉しくて、何が不満なのかという重要な点に注目する必要がありました。それは、単にデジタルツールを導入することが目的ではありません。私たちが長年培ってきた伝統であり得意とするところ──すなわち店舗にあるさまざまなコンテンツ(商品)とお客さまと直接的に向き合うスタイリストの力を活かしていくことこそ、三越伊勢丹の目指すべき DX だと考えています」(三部氏)

AWS Prototyping Program を活用して

モダンな開発手法を学ぶ

三越伊勢丹のお客さま 1 人ひとりと向き合って、最適な価値を提供するには、“百貨店のマイクロサービス化”が必要だと三部氏は考えました。ここでいうマイクロサービスとはソフトウェア開発の技法のことではなく、お客さまごとに異なるニーズに合わせて、ショップや商品、スタッフの応対に至るまで、細分化されたものを最適な形に組み合わせて提供できるという仕組みです。百貨店では、古くから熟練したスタッフがさまざまなサービスを提供してきましたが、人的リソースには限りがあります。これからはデジタルの力を活用することで、より多くの人に高品質なサービスを提供し、お客さまと継続的につながりつづけたいという思いがありました。

この百貨店のマイクロサービス化を実現するにあたり、IT インフラは重要な役割を果たします。洗練されたクラウドネイティブなアプリケーションを作りたいと思っても、既存の基幹システムとの連携が課題になります。そこで三越伊勢丹では、アイムデジタルラボが推進役となりながら、IT 子会社である三越伊勢丹システム・ソリューションズと連携し、小規模なチームで新しいサービスをすばやく作っていく DevOps 環境の構築に取り組みました。

そこで生まれたのが、ビジネスの基盤となる「ビジネスプラットフォーム(BPF)」です。AWS 上に構築した BPF が一元的な橋渡し役として機能することで、アプリケーションごとに調整することなく、基幹システムのデータや機能をフロントサービスから柔軟・容易かつ横断的に活用できるようになります。将来的には、既存の基幹システムからの完全な移行も計画されています。

「BPF やフロントサービスをすばやく効率よく作りたいと思い、DevOps にチャレンジしました。当初はどのように進めるべきかと悩みましたが、まずは先達に学ぼうと AWS Prototyping Program を活用しました。AWS のエンジニアとともに、課題をともに解決していくという経験を通じて、私たちは AWS の開発手法を 1  から学ぶことができました。このプログラムでは、PoC 用のデータではなく実データを用いるため、エンジニアにとっても “ジブンゴト” として理解が早かったと思います」(三部氏)

このような体験を機に、三越伊勢丹では、「POS情報 AP(I POS 情報連携)」や「在庫計算処理」などの基幹系機能もクラウドネイティブなアプリケーションとして実現しました。

「例えば  POS 情報との連携では、従来は約 1万点のマスターデータから 1 日あたり 6,500 万件の価格レコードを作る処理が必要で、夜間バッチで対応していました。それが、新しく構築したシステムでは  7  ~ 8 分で完了します。かかるコストは月間でたった数百円。日中に処理できるため一晩待つ必要もなく、すぐに業務を進められます。そのぶんコア業務に集中できるようになりました」(三部氏)

お客さまと向き合える

現場を理解した IT エンジニアを育成

三越伊勢丹が DX 推進を加速する中で、三部氏はデジタル人材の育成にも力を入れています。百貨店の現場で活躍する人材は、IT の専門的な知識はなくとも UX やサービスデザインには力を発揮できる可能性があります。AWS という外部の知見を取り入れながら、DevOps を実践していくという取り組みは、理にかなったものでした。デジタル活用の重要な点は、データを基にお客さまのニーズや満足/不満と向き合えるところにあります。そのため三部氏は、データサイエンティストのようなプロフェッショナルの育成・獲得に先立ち、社員一人ひとりがデータを起点に業務を組み立てるようにすることこそが重要だと考え、DX の取り組みを強化していく方針です。

また、三越伊勢丹システム・ソリューションズには、若いエンジニアが数多く在籍しています。将来の三越伊勢丹の DX を支える人材として、彼らをフルスタックエンジニアとして育てていくことも必要です。アイムデジタルラボのメンバーも一緒に寄り添っていくことで、積極的にエンジニアが活躍できる場を設けることも重要だと三部氏は考えています。

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ワークショップ実施の風景(イメージ)

「私は三越伊勢丹のシステム担当として長く働いてきましたが、 “ IT 部門は縁の下の力持ち” と捉えられ、喜ばれたり褒められたりする場面が少ないと感じていました。しかし、このデジタル時代において、IT エンジニアが先頭に立つ場面が増えてきています。私は、IT エンジニアをスタイリストなど現場スタッフとともに活動させて、現場スタッフと IT エンジニア自身もお客さま起点に同じ視点をもって活動していけるように努めています」(三部氏)

三越伊勢丹では、今後もさらなる DX を推進し、データの活用を積極的に進めていく考えです。ただし、たとえデジタル化が今まで以上に進展しても、「三越伊勢丹の価値は人と人とのつながりにある」と三部氏は強調します。DevOps のサイクルを繰り返してスタッフをデジタルでサポートし、伝統的な魅力を失うことなく新しい価値を提供していくことが同社の目標です。

「 “地球上で最もお客さまを大切にする企業” を目指し、すばらしいサービスを提供している Amazon や AWS のノウハウを吸収しながら、三越伊勢丹独自の魅力でもって差別化を図っていきたいと考えています。私たちの取り組みはまだ始まったばかりで、今後いろいろな “武器” を持てることを楽しみにしています。AWSは、ともに成長できる力強いパートナーとして、今後も活躍していただきたいと思います」(三部氏)

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カスタマープロフィール:株式会社三越伊勢丹ホールディングス

● 代表執行役社長 CEO 細谷 敏幸 氏 
● 設立 2008 年 4 月 1 日
● 事業内容 百貨店業等の事業を行う子会社およびグループ会社の経営計画・管理ならびにそれに附帯または関連する事業 

実施施策

●    百貨店の “マイクロサービス” 化の推進
●    AWS Prototyping Program による開発手法の習得
●    データの民主化を実現する BPF の構築


ご利用の主なサービス

Amazon Athena

Amazon Athena はインタラクティブなクエリサービスで、Amazon S3 内のデータを標準 SQL を使用して簡単に分析できます。

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のあるクラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています。

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AWS Fargate

AWS Fargate は、Amazon Elastic Container Service (ECS) と Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) の両方で動作する、コンテナ向けサーバーレスコンピューティングエンジンです。Fargate を使用すると、アプリケーションの構築に簡単に集中することができます。

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AWS Step Functions

AWS Step Functions は、AWS Lambda 関数および AWS の複数のサービスを、ビジネスに不可欠なアプリケーション内に簡単に配列することができるサーバーレスの関数オーケストレーターです。

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